最大意図速度で筋トレ。8週間の自宅運動の介入効果
📖 文献情報 と 抄録和訳
高速または低速で行うホームベースのレジスタンストレーニングは高齢者のパワー出力を改善する
[背景・目的] 我々は、高齢者を対象に、速い収縮速度または遅い収縮速度で実施した、監視なしの、体格に応じたホームベースのレジスタンストレーニングプログラムが、膝伸筋の筋力、筋容積、筋組織、および疲労抵抗の変化に及ぼす影響について検討した。
[方法] 男性高齢者32名(65~88歳)を、1)高速運動群(Fast-group)、2)低速運動群(Slow-group)、3)運動なし群(Control-group)に無作為に分けた。運動群の参加者は、週3回、30~45回の膝関節伸展運動と座位から立位への運動を、群間で運動速度を変えながら8週間行った。
介入期間の前後に、以下の変数を測定した: 等張性パワー、等尺性筋力、筋収縮特性、筋活動、筋構造、筋質、膝伸筋の神経筋疲労抵抗、大腿筋容積。
[結果] ピークパワーは、Fast-group (+24 %, P < 0.01, d = 0.65)とSlow-group (+12 %, P < 0.05, d = 0.33)の両方で増加したが、Control-groupでは増加しなかった。動的トルクに関しては、有意な交互作用効果(P = 0.036, F(2, 29) = 3.74)がみられ、トレーニングによる増加はFast-groupでみられた(+22 %, P = 0. 003, F(1, 10) < 0.01, d = 0.02)。
トレーニングにより、外側広筋のペネーション角は、Fast群(+8%、P<0.01、d=0.42)、Slow群(+8%、P<0.01、d=0.42)ともに増加したが、Fast群のみ、大腿直筋のペネーション角(+12%、P<0.01、d=0.64)と大腿筋量(+16%、P<0.01、d=0.52)の増加がみられた。
その他の神経筋指標については、時間×群間相互作用効果はみられなかった。
[結論] 高齢者において、速い速度または遅い速度のいずれかで実施される非監督下での体幹トレーニングおよび自宅でのレジスタンストレーニングは、筋パワーを向上させることができるが、速い速度の運動は、筋パワー、筋容積、筋構造の相対的な向上、および時間効率の向上により、遅い速度よりも望ましいと考えられる。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
これまでも、最大意図速度での筋力トレーニング、高速レジスタンス運動の効果についての文献抄読をしてきた(関連note参照)。
その効果として、
・(即時的に)神経筋活性化の速度指標↑
・(介入効果, レビュー)最大歩行速度,TUG,5回立ち上がり,6MDに効果
今回抄読した研究は、高齢者の自宅運動として、最大意図速度を取り入れた運動介入を8週間実施し、その効果を調査した。
その結果、ピークパワー、動的トルクの増大に対して有利であること、より広範囲の羽状角の変化、筋量の増大を引き起こすことが明らかとなった。
同じ運動を、同じ回数していて、速度の意識で効果が変わる、これは凄いことだ。
是非、入院中の筋力トレーニング、そして退院後の自主トレーニング指導に生かしていきたい!
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