エクサゲーム+VR。VRは気分をアゲる
📖 文献情報 と 抄録和訳
急性期Virtual Reality Exergamingの気分および実行機能に対する効果。探索的クロスオーバー試験
[背景・目的] 仮想現実(Virtual reality, VR)エクサゲームは、ヒトが身体活動を行うことで気分を向上させる新しい介入戦略である。VRエクサゲームは前頭前野に作用することで気分と実行機能の両方を改善する可能性があり、潜在的なベネフィットを拡大する。しかし、VRエクサゲームが実行機能に与える影響については十分に検討されておらず、関連する介入戦略もまだ確立されていない。目的本研究は、10分間のVRエクサゲームが気分と実行機能に及ぼす影響を調査することを目的とする。
[方法] 計12名の参加者が、(1)ヘッドマウントディスプレイを用いてプレイするVRエクサゲーム条件(すなわち、ヘッドマウントディスプレイを用いたエクササイズ条件[VR-EX])、(2)平面ディスプレイの前でエクサゲームをプレイする条件(2D-EX)、(3)椅子に座った安静条件の3条件でエクサゲーム「FitXR」をプレイしました。実行機能を評価するcolor-word Stroop課題(The color-word Stroop task, CWST)、気分を評価するProfile of Mood States second edition(the Profile of Mood States second edition, POMS2)短形式、2次元気分尺度(Two-Dimensional Mood Scale, TDMS)短形式を運動条件または休息条件の前後で実施した。
[結果] VR-EX条件では、POMS2活力活動スコア、TDMS覚醒・活力スコアが上昇し、VRエクサゲームが気分を高めることが示唆された。逆に、2D-EX条件、VR-EX条件ともに、CWSTパフォーマンスへの影響は見られなかった。興味深いことに、VR-EX条件では、CWST覚醒度の変化と反応時間の間に有意な正の相関が見られた(r=0.58、P=0.046)。このことは、VRエクサゲームにおける過剰な覚醒度の上昇下では、エクサゲームによる実行機能改善効果が消失する可能性を示唆している。
[結論] 本研究の結果、10分間のVRエクサゲームは気分を高めるが、実行機能には影響を与えないことが示された。このことは、VRコンテンツによっては認知的要求が高まり、利用可能な注意力の限界に近づくと、心理的疲労や認知機能の低下につながる可能性があることを示唆している。今後の研究では、脳機能と気分の両方を高める運動とVRの組み合わせについて検討する必要がある。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
エクサゲームについては、これまでもいくつかの文献抄読を行なってきた(⬇︎ 関連 note✨参照)。
今回抄読した文献の新規性は、『+VR (仮想現実)』だ。
その結果、+VRは「気分をアゲる」ことが明らかになった。
最近、Twitterの論文スナックにおいて、身体活動においては『楽しい』ことが大切で、楽しいとその身体活動は続く、という論文を紹介した。
気分をアゲる、ということはその役割を果たす気がする。
つまり、接着剤だ。
これまで行なっていなかった身体活動を始める、ということは自分自身に外から身体活動をとってつけるわけだ。
その際、接着剤が必要になる。
それがなければ、外部からの付着物は、容易に剥がれてしまうだろう。
楽しい、気分がアガる、という接着剤があれば、その行動を続けることができる。
続けていると、次第にその行動に血管や神経が通い、自分自身になる。
それが、習慣化のプロセスだろう。
エクサゲームに+VRをすることには、習慣化を手助けする機能が期待できる、かもしれない。
⬇︎ 関連 note✨
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