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日本の少年野球選手の発達パターン
📖 文献情報 と 抄録和訳
少年野球選手における運動能力と体力の発達パターン:縦断的分析
📕Tsutsui, Toshiharu, et al. "Developmental patterns of athletic performance and physical fitness in youth baseball players: A longitudinal analysis." Journal of Sports Sciences (2024): 1-8. https://doi.org/10.1080/02640414.2024.2416777
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[背景・目的] この研究は、青少年期における運動能力の発達パターンを評価し、体力の変化との関連性を明らかにすることを目的とした。
[方法] テストには、3つの運動能力(すなわち、投球の球速、打撃のスイング速度、30メートル走のタイム)と、2つの体力テスト(すなわち、メディシンボール[MB]バックスローと修正スターエクスカーションバランステスト[SEBT])が含まれた。6歳から14歳までの235人の選手(557回の測定)のデータが、経時的評価の対象となった。統計分析は、運動能力発達プロセスの潜在成長曲線モデルと、ボール速度、スイング速度、30メートル走のタイムに関するランダム効果パネルデータ多変量回帰分析に基づいて行われた。
[結果]
■ 日本の少年野球選手の発達パターン①:球速
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■ 日本の少年野球選手の発達パターン②:スイング速度
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■ 日本の少年野球選手の発達パターン③:その他
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修正スターエクスカージョンバランステスト(SEBT):縦軸は平衡能力を測定する修正SEBTのスコア、横軸は年齢(歳)である。SEBTは12~13歳頃にわずかな下降傾向を示し、この時期にバランス能力の伸びが鈍化することが示唆される。
多変量縦断分析により、運動能力の発達的変化は年齢およびMBバックスローと正の相関があることが明らかになった。
[結論] 本研究の結果は、野球に関連する運動能力の発達パターンに停滞と加速の両方が見られることを示しており、これは少年野球選手のパフォーマンス向上に効果的な年齢に応じた戦略を開発する上で役立つ可能性があります。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
生きとし生けるものの生長には、段階がある。
種からの萌芽、双葉が生い茂る、結実する、実が地面に落ちて次の種となる。
そして、重要なことは、そのそれぞれの段階によって、必要になるサポートも変わってくるということ。
萌芽に重要なのは土や、温度や、陽光なのかもしれない。
だが弱々しい双葉が生い茂っていく段階においては、風に負けないような添木が重要になるかもしれない。
そして、実が地面に落ちて次の種となる段階においては、「どこに落ちるか」が重要になろう。
だからこそ、経時的にどういう段階が、どのように最盛期を迎えるのかを知るのは重要なことだと思う。
今回の抄読研究においては、日本の少年野球選手における発達パターンを経時的に示してくれた。
その結果としては、12-13歳というのは、1つの転換点になっている可能性が高いということが分かった。
そして、この結果を受けて、それぞれのフェーズにおいて何をするのか、した方がいいのかを明らかにすることが次のステップだろうと思う。
球速が上がる時期に球速を単純に上げることが良いことなのかは、それは分からない。
球速を上げることは、同時に反動を大きくすることでもあり、筋骨格が未発達の選手に大きな変動が加われば、容易に壊れうるだろう。
色々な力学が加わる中で、どういう処方が、どういう段階で適しているのか・・・。
慎重に判断していきたい。
いつか空を飛ぼうとするものは、まず、立ち、歩き、走り、よじ登り、踊ることを学ばなければならない
いきなり飛んでも飛べるものではない
【ニーチェ】ツァラトゥストラはこういった(下) P. 89
⬇︎ 関連 note & 𝕏での投稿✨
📕日本の少年野球選手の発達パターン
— 理学療法士_海津陽一 Ph.D. (@copellist) November 13, 2024
・235人の選手(6~14歳)🇯🇵
🔹球速:12~13歳頃に成長が鈍化
🔹スイング速度:12~13歳頃に増加率が緩やかに
🔹30m走タイム:12~13歳頃に加速的な向上
🔹動的バランス(SEBT):12~13歳頃にわずかな下降傾向
12-13歳は発達パターンの転換点になっていそうですね😲 pic.twitter.com/jdaaSxUvb8
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