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痛みの干渉 × 認知機能


📖 文献情報 と 抄録和訳

プエルトリコ人高齢者における4年間の認知機能低下と痛みの干渉の増加との関連性

📕Milani, Sadaf Arefi, et al. "Increasing Pain Interference Is Associated With Cognitive Decline Over Four Years Among Older Puerto Rican Adults." The Journals of Gerontology: Series A 78.6 (2023): 1005-1012. https://doi.org/10.1093/gerona/glac141
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar 🌲MORE⤴ >>> Not applicable

[背景・目的] 痛みは高齢者の認知機能低下と関連しているが、特にヒスパニック系の高齢者集団において、痛みと認知機能低下の双方向の関連を調べた研究はほとんどない。我々の目的は、プエルトリコ人高齢者のサンプルにおいて、痛みの干渉と認知能力の双方向の関連を評価することであった。

[方法] データはPuerto Rican Elderlyのベースラインと4年間の追跡調査から得た: データは、60歳以上のプエルトリコ人高齢者を対象とした縦断的代表研究であるPuerto Rican Elderly: Health Conditions Studyのベースラインと4年間の追跡調査から得られた。痛みと認知機能は各波で評価された。痛みの状態(yes/no)と痛みの干渉(yes/no;範囲0~2)の合計を用いて痛みの干渉変数を作成した。全体的な認知能力はMini-Mental Cabánで評価した。社会人口統計学的因子と健康因子で調整し、痛みと認知能力との間に同時パスと交差ラグパスを持つパスモデルを用いて双方向の関連を検証した(n = 2 349)。

✅ 痛みの干渉変数とは?
・痛みの状態:両波とも、参加者は "身体の痛みに苦しんでいますか?"と尋ねられた。
・痛みの干渉:もし「はい」と答えた場合、"その痛みの程度は、日常生活を妨げたり、困難にしたりしていますか?"と質問された。
・痛みの状態(yes/no)と痛みの干渉(yes/no)の和を用いて、0から2までの3段階の順序的な痛みの干渉変数が構築された。
・ スコアが0の場合は痛みがないことを表し、1の場合は干渉しない痛みがあることを表し、2の場合は干渉する痛みがあることを表す。

[結果] ベースライン時の疼痛干渉は、ベースライン時の認知能力(p = 0.636)および追跡調査時の認知能力(p = 0.594)とは関連していなかった。しかし、追跡調査時の疼痛干渉の増加は、追跡調査時のより大きな認知機能低下と関連していた(β = -0.07、標準誤差[SE] = 0.02、p = 0.003)ベースライン時の認知能力の高さは、追跡調査時の疼痛干渉の低さと関連していた(β = -0.07、SE = 0.02、p = 0.007)

[結論] これらの所見は、疼痛治療の選択肢が存在する中で、認知機能低下の潜在的な修正可能な危険因子としての疼痛干渉の悪化の重要性を強調するものである。さらに、ベースラインの認知能力の向上は疼痛の防御因子である可能性があり、疼痛と認知能力との間のダイナミックな関係を示すさらなる証拠となる。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

以前の文献抄読において、慢性疼痛が脳体積の減少と関連することを学んだ。

そこから考えても、疼痛によって認知機能は落ちていきそうなイメージを持てるが、今回の研究はそれを前向き研究によって明らかに証明したものだ。
さらに、単なる疼痛の評価ではなく「痛みの干渉(痛み生活に支障を及ぼしているかどうか)」として評価している点も興味深い。

ベースラインの認知機能は、痛みの干渉と負の相関。
ベースラインの痛みの干渉は、認知機能と負の相関。

お互いがお互いに影響を与えている関係性。
片方に障害が生じている場合、他方の悪化に注意が必要ということか。
痛みの干渉と認知機能、双方への介入をしたときにどのような効果が得られるかを知りたくなる。

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