腎不全×骨粗鬆症。その病態, 評価, 管理
📖 文献情報 と 抄録和訳
慢性腎臓病患者における骨粗鬆症の管理
■ 慢性腎不全(CKD)患者における骨粗鬆症の病態
・骨形成と骨吸収の不均衡が骨量減少の主なメカニズムである。
・Wnt阻害剤(スクレロスチン、DKK-1)の増加、PTH抵抗性/反応性低下に加えて、高年齢、糖尿病がLTBDを誘発する。
・副甲状腺摘出術やカルシウム、VDRA、カルシメチックの過剰使用もLTBDの一因である。
・高FGF-23レベルはビタミンDの活性化を阻害し、高リン血症および低カルシウム血症は副甲状腺機能亢進症を誘発する。
・さらに、VDRとCaSRのダウンレギュレーション、OPG/RANKL経路の障害もすべてHTBDの一因である。
・FGF-23、線維芽細胞増殖因子-23;OPG、オステオプロテジェリン;RANKL、核因子κ-Βリガンドの受容体活性化因子;VDR、ビタミンD受容体;CaSR、カルシウム感受性受容体;PTH、副甲状腺ホルモン;Rs、受容体;VDRA、ビタミンD受容体活性化因子;PTX、副甲状腺摘出;HTBD、高代謝回転骨疾患;LTBD、低代謝回転骨疾患
■ CKD患者における骨粗鬆症の評価
・骨の強さは骨の量と質によって決まる。
・DXAとQCTは骨量を評価する。BTMは骨のリモデリングを示し、TBSは海綿体の微細構造を分析する。
・骨生検とHRpQCTは骨の量と質を評価するより正確なツールである。
・DXA:二重エネルギーX線吸収測定法、QCT:定量的コンピュータ断層撮影法、HRpQCT:高分解能末梢定量的コンピュータ断層撮影法、TBS:海綿骨スコア、BTM:骨代謝マーカー、VC:血管石灰化、TMV:骨代謝、石灰化、体積。
■ CKD患者における骨粗鬆症の管理
・CKD患者における骨粗鬆症管理ピラミッド。
・バランスのとれた食事、定期的な運動、禁煙、飲酒の制限をすべての患者に勧めるべきである。
・ビタミンD欠乏症、高リン血症、HPTなどのCKD-MBDの生化学的異常を是正することは、特定の薬理学的介入を検討する前の次のステップである。
・抗レゾルピン薬は基本的にHTBD患者に有用であるが、骨吸収抑制薬はLTBD患者により有用である。PTXは難治性HPTに対する最後の手段として考慮すべきである。
・PTX, 副甲状腺摘出術; HPT, 副甲状腺機能亢進症; PO4, リン酸塩; HTBD, 高代謝性骨疾患; LTBD, 低代謝性骨疾患
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
学校の生理学で習った腎臓の大まかなイメージである。
だが、その一本槍だけでは、臨床においては失敗する。
“肝腎要”の言葉に入っている通り、腎臓とは身体の中で実に重要な働きをしているようだ。
例えば、腎臓は身体の水分の量や体液中の様々なミネラルの濃度を調整する働きをしている。
腎臓が適切にそれぞれのミネラルを調整できるように、骨は体内にあるカルシウムの99%以上、リンの85%、マグネシウムの60%、ナトリウムの30%を貯蔵しており、必要に応じて体液への出し入れを行っているらしい。
さらに、腎臓は、骨を強くするのに大切な働きを持つ活性型ビタミンDを作っている。
活性型ビタミンDは、骨を丈夫にするカルシウムを腸で吸収する時に必要である。
このように、腎臓は一側面として、骨に対して重要な役割を担っている器官である。
今回の抄読論文は、まさにその部分に関して、美しい図と、たくさんのEvidenceにサポートされた情報を与えてくれた。
腎不全患者、透析患者は特に骨折に留意する必要がある。
そして、大事なことは、その管理ピラミッドの土台の大きな一部を、理学療法士の主戦場である運動や転倒予防が担っている、ということ。
ここは、しっかりと責任を感じていきたい。
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