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うつ病患者の窓から見えているのは、暗く否定的な世界かもしれない

▼ 文献情報 と 抄録和訳

後期高齢者のうつ病における解釈と表情認識の負のバイアス;症例対照研究

Baruch, Nina, et al. "Negative bias in interpretation and facial expression recognition in late life depression: A case control study." International Journal of Geriatric Psychiatry (2021).

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[目的] 若年層のうつ病患者における認知バイアスは広く研究されているが、晩年層のうつ病患者における認知バイアスの存在についての調査はほとんど行われていない。本研究では、後期高齢者うつ病の参加者において、さまざまな認知領域に否定的な認知バイアスが存在するかどうかを確認することを目的とした。

[方法] 参加者は、19名のLLD患者と19名のマッチした非うつ病高齢者であった。参加者は、顔の表情の認識、注意、形容詞の想起、解釈の偏りを評価する標準化されたテストを行った。

[結果] LLD患者は、驚いた顔を認識するのが遅く、解釈課題では否定的な発言をする傾向があった。記憶や注意には負のバイアスは見られなかったが、LLDの参加者は想起課題の成績が悪かった。

[結論] 本研究は、LLDの解釈に負のバイアスがあることを示す新たな証拠を提供したが、この知見はグローバルな認知バイアスとは一致しない。 LLDの認知バイアスを調査するには、さらなる研究が必要である。認知バイアスの修正など、否定的な解釈の偏りを対象とした介入が、LLDの治療に役立つかもしれない。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

景色は気分である
アミエル

珠玉の名言だと思う。
僕たちが見ている現実世界は、なまの、あるがままの現実世界ではない。
あるがままの現実世界が『わたし』というフィルターを通った後に、カルテジアン劇場に映し出される、『表象』である。

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経験される対象は脳の中に住んでいる小人の前で上映される >>> wiki

その世界には、色濃く『わたし』が滲み出る。
その歪曲・強調された部分を、バイアスといったり、デフォルメと言ったりする。
同じ景色を見、その人間がどのような反応をするか、どのような認識を得るか。
これは、その人間のもつ、気分・心の評価となりうる。
その方のもつ『わたし』というフィルターはどんなだろう?、という評価の一視点を持ちたい。

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