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変形性膝関節症者に対するToe-in, Toe-out歩行修正の効果


📖 文献情報 と 抄録和訳

変形性膝関節症患者に対するトーインおよびトーアウト歩行矯正介入の試験:パイロット無作為化臨床試験

📕D'Souza, Nicole, et al. "Toe-in and toe-out gait retraining interventions for individuals with knee osteoarthritis trial: A pilot randomised clinical trial." Clinical Biomechanics 121 (2025): 106376. https://doi.org/10.1016/j.clinbiomech.2024.106376
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[背景・目的] 歩行修正は、足の進行角度を変化させることで、変形性膝関節症患者の痛みを軽減し、内側脛骨大腿コンパートメントへの負荷を軽減する可能性がある。本パイロット研究では、内側膝関節症患者を対象に、つま先が内側に向く歩行(Toe-in)とつま先が外側に向く歩行(Toe-out)の歩行修正が、自己申告の痛みや身体機能、および膝内側への負荷の代理指標に与える影響を評価することを目的とした。

[方法] 症状のある内側膝関節症患者20名を無作為に抽出し、6週間にわたってToe-inまたはToe-outの歩行再訓練を実施した。歩行再訓練は、臨床医の監督下でのセッションを毎週実施し、毎日30分以上の自主練習を行うという内容であった。フィードバックは、装着可能なセンサーと感圧マットによって行われた。主要評価項目には、登録率、データの完全性、有害事象、服薬遵守、達成可能性、介入の受容性が含まれた。副次評価項目には、膝内側荷重の代理指標、および自己申告の疼痛および身体機能が含まれた。実現可能性と自己申告の評価結果の差異は、ITT(Intention-to-treat)分析を用いたサンプルt検定により解釈された。介入群の膝の生体力学への影響は、線形混合モデリングを用いて評価された。

[結果] 登録は許容範囲内(n = 4/月)で、データの完全性(93%)および出席率(82%)は良好であった。許容性は中程度で、両群間で差は認められなかった。
■ 介入前後の膝疼痛の変化
・膝の痛みおよび身体機能の平均値は、経時的に両群間で差は認められず、介入後に両群とも最大膝痛が軽減した(35%改善、p = 0.012)

■ 介入前後の膝負荷の変化
・膝関節内反モーメント(knee adduction moment, KAM)低減の効果は確認されなかった。
・膝の負荷軽減が直接的な痛みの改善要因とはならなかった可能性

[結論] Toe-in歩行とToe-out歩行修正は実行可能であり、変形性膝関節症患者の痛みを改善する。大規模な無作為臨床試験を実施すべきであり、介入の個別化を考慮すべきである。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

足部進行角の修正による歩行介入は、やる側にとって、とても分かりやすい。
「つま先を外に向けるようにして歩いて下さい」
「つま先を内側に向けるようにして歩いて下さい」

これだけで良いのだから。

今回のパイロットスタディでは、この足部進行角に対する歩行修正介入の効果を検証した。
その結果としては、Toe-in, Toe-outともに疼痛強度の軽減に有効だった。
ただし、その仕組みを紐解こうとすると、バイオメカニクスに変化はなく、またToe-in、Toe-outともに効果を有したことから、ぼんやりしている印象だ。
この部分は、被験者を増やし、更にコントロール群を作ることで、「単なる歩行量増大(身体活動増大)による疼痛改善効果」と足部進行角修正による効果を分離して考えることが可能になるだろう。
今回の限られた結果からは、Toe-inの方がやや疼痛強度改善には効果が大きそうだった。
この介入の有効性については、今後も注視していきたい。

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