めまい × 転倒リスク
📖 文献情報 と 抄録和訳
高齢者のめまいと将来の転倒および転倒によるけがとの関連:系統的レビューとメタアナリシス
[背景・目的] 高齢者、特に転倒サービスを利用している高齢者では、めまいが一般的である。しかし、めまいが将来の転倒とどの程度関連しているかについては、これまで検討されていない。本システマティックレビューおよびメタアナリシスでは、高齢者のめまいと将来の転倒および関連する外傷との関連性を評価した。
[方法] EMBASE、CINAHL Plus、SCOPUS、PsycINFOのデータベースを、開始から2024年2月5日まで検索した。本レビューはPROSPERO(登録ID:CRD42022371839)に登録された。 めまいと将来の転倒 (再発性および有害な転倒を含む)との関連性についてメタアナリシスを実施した。 あらゆるタイプの転倒 (1回以上の転倒)、再発性転倒 (2回以上の転倒)、有害な転倒という異なる転倒の結果について、3つのメタアナリシスを実施した。
[結果] 29件の記事が系統的レビューに含まれた(N = 103,306人)。14件の記事(N = 46,795人)のメタ分析では、めまいはあらゆるタイプの将来の転倒のオッズを有意に高めることが分かった(OR = 1.63、95% CI = 1.44–1.84)。別のメタ分析では、7つの論文(N = 5630人)を対象に、めまいを訴える人々は将来の再発性転倒の確率も有意に高いことが示された(OR = 1.98、95% CI = 1.62–2.42)。いずれのメタ分析においても、重要な交絡変数を調整した場合でも、全体的な関連性は有意であることが観察された。
一方、あるメタ分析(3つの論文、N = 46,631人)では、めまいと将来の有害な転倒との間に有意な関連性は認められなかった(OR = 1.12、95% CI = 0.87–1.45)。
[結論] めまいは高齢者の将来の転倒の独立した予測因子である。これらの知見は、めまいを転倒のリスク因子として認識し、適切な介入を実施することの重要性を強調している。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
転倒の受傷起点を聴取する際に、しばしばあるのが “めまい” だ。
だが、この受傷起点を聞いたとき、多くの理学療法士は困ってしまうと思う。
なぜなら、「どうしたらいいのか分からない」から。
トンカチを持っていれば、釘が輝いて見えるが、なす術がないことを聞いても辟易としてしまう。
今回の論文は、めまいが確かに転倒に影響を及ぼすことを明らかにした。
めまいとそれに対するリハビリテーション介入についてもっと勉強して、トンカチを作りたい。
まずはその領域に関するアンテナの感度を、さらに高めよう。
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