変形性膝関節症。過体重にはご用心
📖 文献情報 と 抄録和訳
成人変形性膝関節症患者における肥満クラス間の臨床的、健康関連QOLおよび歩行の違い
[背景・目的] 目的本研究の目的は、成人の変形性膝関節症(osteoarthritis, OA)における臨床的特徴、健康関連QOL(health-related quality of life, HRQL)、歩行の特徴が肥満カテゴリーによって異なるかどうかを明らかにすることであった。
[方法] 膝関節OAを有し、過体重または肥満の高齢者823名(平均年齢64.6歳、SD 7.8歳)を対象としたこの横断的解析では、肥満分類(過体重またはクラスI、体格指数[BMI]27.0~34.9、クラスII、BMI35.0~39.9、クラスIII、BMI≧40.0)ごとに臨床的、HRQL、歩行の転帰を比較した。
[結果] 肥満クラスIIIの患者は、体重過多または肥満クラスI群(平均8.6 vs 7.0;差1.5;95%信頼区間[CI]1.0-2.1;P<0.0001)および肥満クラスII群(平均8.6 vs 7.4;差1.1;95%CI0.6-1.7;P=0.0002)よりも、Western Ontario McMasters Universities Arthritis Index膝関節痛(0-20)が悪化していた。身体的HRQoL指標であるShort Form 36は、過体重またはクラスI(平均31.0 vs 37.3;差-6.2;95%CI -7.8~-4.7;P<0.0001)およびクラスII(平均31.0 vs 35.0;差-3.9;95%CI -5.6~-2.2;P<0.0001)肥満群と比較して、クラスIII肥満群で低かった。III度肥満群では、歩行速度が過体重群やI度肥満群およびII度肥満群よりも遅かった。
[結論] 膝関節OAを有する成人において、クラスIIIの肥満者は、過体重、クラスIまたはクラスIIの肥満者と比較して、疼痛レベルが有意に高く、身体的HRQLおよび歩行の特徴が劣っていた。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
近年、Obesity Paradoxという言葉がしばしば聞こえるようになった。
つまり、太っている方がネガティブと思いきや、痩せている方がむしろネガティブというParadoxだ。
今回の抄読研究は、変形性膝関節症においては、少なくともそのパラドックスは起こっていないかもという結果が示された。
(厳密には肥満者だけを対象にしているので言えないが)
肥満者を対象としてアウトカムをBMIで3区分して比較すると、過体重者(ClassⅢ)は疼痛、QOL、歩行速度で不良なアウトカムを示した。
変形性関節症に対しては、体重は直接的に関節に加わる負荷量に関わってくる。
そのため、やはり重ければ重いほど、不利になるイメージはもって良さそうだ。
変形性膝関節症者の生活指導において、『減量』は重要な1項目である。
⬇︎ 関連 note & 𝕏での投稿✨
○●━━━━━━━━━━━・・・‥ ‥ ‥ ‥
良質なリハ医学関連・英論文抄読『アリ:ARI』
こちらから♪
↓↓↓
‥ ‥ ‥ ‥・・・━━━━━━━━━━━●
#️⃣ #理学療法 #臨床研究 #研究 #リハビリテーション #英論文 #文献抄読 #英文抄読 #エビデンス #サイエンス #毎日更新 #最近の学び