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パワーナップの威力。エリートサッカー選手の例

📖 文献情報 と 抄録和訳

日中の昼寝はエリートサッカー選手におけるパスパフォーマンスとスキャニング活性を高める

📕Nishida, Masaki, et al. "Daytime Napping Benefits Passing Performance and Scanning Activity in Elite Soccer Players." Journal of Sports Science & Medicine 22.1 (2023): 75. https://doi.org/10.52082/jssm.2023.75
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🔑 Key points
🔹日中の仮眠が、大学サッカー部のエリート選手のパスパフォーマンス、複雑な視覚的注意、スキャニング活動に及ぼす影響を調べた。
🔹パスとスキャニング活動の速度は、昼寝ありの条件と昼寝なしの条件では、昼寝ありの条件の方が有意に短かった。
🔹また、スキャニング活動の頻度は、昼寝をしない条件よりも昼寝をする条件の方が有意に高かった。
🔹昼間の仮眠は、視空間処理と意思決定に代表されるサッカー関連の認知機能に効果があると考えられる。

[背景・目的] 本研究では、日中の仮眠機会が、サッカーのパフォーマンスを成功させるために不可欠な要素であるスキャニング活動に及ぼす影響について検討した。

[方法] 男子エリート大学サッカー選手14名が、複雑な視覚的注意を評価するために使用されるトレイルメイキングテスト(TMT)を行った。また、ラフボロー・サッカー・パッシング・テストを参考に改良したサッカー・パッシング・テストを用いて、パッシング・パフォーマンスとスキャニング・アクティビティを評価した。

✅ Passing taskとScanning activity
■ Passing task
1. ❶❷にパス。
2. ❸の誰かが手を挙げる(ランダム)
3. ❷が指示された
場所にパスをする参加者はパス作業を10回行い所要時間を計測
■ Scanning activity
プレイヤーの顔が一時的にボールから遠ざかるような自己主導的な頭部運動(少なくとも2回のヘッドターン)と定義した

昼寝と昼寝なしの介入を検討するために、クロスオーバーデザインを適用した。参加者(N = 14、平均年齢:21.6 SD = 0.5歳、身長:1.73 ± 0.06 m、体重:67.1 ± 4.5 kg)は、昼寝(40分)グループと昼寝なしグループにランダムに割り当てられた。主観的な眠気はカロリンスカ眠気尺度で、知覚的な疲労は視覚的アナログスケールで評価した。

[結果]
■ 主観的測定値&TMT
・昼寝群と昼寝なし群では、主観的測定値やTMTに有意差はなかった。

■ Passing taskとScanning activity
・Passing taskのパフォーマンス時間は、昼寝ありの方が昼寝なしよりも有意に短く(p < 0.001)、Scanning activityの頻度も有意に高かった(p < 0.00005).

[結論] これらの結果から、日中の仮眠は、視空間処理や意思決定に代表されるサッカー関連の認知機能に有益であり、特に精神的疲労への対策として有効である可能性が示唆された。エリートサッカー選手において、睡眠不足と疲労の蓄積が一般的であることを考慮すると、この知見は選手の準備に実用的な意味を持つかもしれない。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

私にとって一番素敵なのは眠ること、そうすれば少なくとも夢を見ることができる
The nicest thing for me is sleep, then at least I can dream
マリリンモンロー

最近のエビデンスによれば、夢を見る以外にも眠ること(昼寝)の威力はある。

そして、その仕組みの一端も解明されつつある。

だが、その長さには注意が必要で特に過眠は弊害が報告されている。

さて、今回の論文はサッカーのパフォーマンスに対してかなり具体的な部分を示してくれた。
注意機能自体は変わらないが、探索回数が増える、結果的なパス時間が短縮されるなどの効果があるらしい。
眠ることは、パフォーマンスにとっても素敵なことのようだ。

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