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NEJM誌の解説。高齢者のフレイル


📖 文献情報 と 抄録和訳

高齢者のフレイル

📕Kim, Dae Hyun, and Kenneth Rockwood. "Frailty in older adults." New England Journal of Medicine 391.6 (2024): 538-548. https://doi.org/10.1056/NEJMra2301292
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[レビュー概要表の説明]

この図は高齢者のフレイルに関する分類と管理の概要を示している。フレイルは、身体的・精神的な脆弱性を示す状態であり、加齢に伴って多くの人に見られる。この表では、「Robust(健康)」「Prefrailty(プレフレイル)」「Frailty(フレイル)」「End-Stage Frailty(末期フレイル)」の4つの段階に分けて、それぞれに応じた管理方法を提案している。

■ Frailty Score(フレイルスコア)
- Robust: フリードのフレイル表現型では0点、デフィシット累積フレイル指数が0.10未満、臨床フレイルスケールでは1-3点。
- Prefrailty: フリード表現型では1-2点、フレイル指数が0.10-0.20、臨床フレイルスケールでは4点。
- Frailty: フリード表現型3-4点、フレイル指数0.20-0.55、臨床フレイルスケール5-7点。
- End-Stage Frailty: フリード表現型5点、フレイル指数0.55以上、臨床フレイルスケール8-9点。

■ Goal(目標)
- Robust:身体的予備能力を高めることを目標とする。
- Prefrailty:身体的予備能力を高めることが引き続き重要だが、より慎重に管理する。
- Frailty:身体的予備能力を維持し、ストレス要因を避けることが重要。
- End-Stage Frailty:患者の快適さを提供することが主な目標となる。

■ Lifestyle(ライフスタイル)
- Robust:運動や高品質な食事(特に高タンパク質食)が推奨され、社会的交流も大切。
- Prefrailty:同様に運動や高タンパク質食が勧められるが、身体に負担をかけない範囲で行うことが推奨される。
- Frailty:運動は耐えられる範囲で行い、食事も高タンパク質を中心に継続。社会的交流も引き続き重要。
- End-Stage Frailty:運動や食事は耐えられる範囲で行い、社会的交流も無理のない範囲で進める。

■ Disease Management(疾患管理)
- Robust/Prefrailty:疾患に対する標準的なガイドラインに従って治療を行う。
- Frailty:疾患の治療において、治療の利点と負担のバランスを慎重に考慮する。
- End-Stage Frailty:治療の段階を減らし、負担を軽減することが求められる。

■ Preventive Care(予防医療)
- Robust/Prefrailty:予防接種とがん検診が推奨される。
- Frailty:予防接種に加えて、がん検診については期待される寿命と検診による利益を考慮する。
- End-Stage Frailty:予防接種は行うが、がん検診は中止される。

■ Interventions for Frailty(フレイルに対する介入)
- Robust:フレイルの兆候が現れないよう、運動や栄養管理、社会的支援が重要。
- Prefrailty/Frailty:フレイルの可逆的な要因を治療し、運動やリハビリテーション、栄養補助、包括的な多職種介入を行う。
- End-Stage Frailty:薬物療法の見直しが主な介入となる。

■ Patient Engagement(患者の関与)
・各段階において「患者中心の目標」を設定することが重要。

■ Social Support(社会的支援)
・各段階において、家族や介護者による社会的支援が欠かせない。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

“ビッグファイブ” という言葉を知っているだろうか。
世界五大医学雑誌を指す言葉であり、世界五代医学雑誌とは掲載する論文のインパクトファクターの高さにより国際的に信頼されている5種類の総合医学雑誌のことである。

・『The Lancet』 - エルゼビア発行 (IF=202.731)
・『New England Journal of Medicine』 - 米国マサチューセッツ内科外科学会が発行(IF=176.079)
・『JAMA (Journal of the American Medical Association) 』 - 米国医師会が発行(IF=157.335)
・『BMJ (British Medical Journal)』 - 英国医師会が発行(IF=93.333)
・『Annals of Internal Medicine』 - 米国内科学会が発行(IF=51.598)
※上4つで世界四大医学雑誌と呼ぶこともある

この中で、IFで言えばナンバー2である『New England Journal of Medicine』
その『New England Journal of Medicine』から、高齢者のフレイルについてのレビュー論文が出ている。
これは、しっかり読み込むとともに、自らのうちに刻み込むほどに学びたい論文である。
さらに、今回和訳した表は、デザイン的にも洗練されている印象を受けた、さすがNEJMである、抜かりがない。

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