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青年期のバスケ&バレー経験は,高齢期の高い骨密度と関連する


📖 文献情報 と 抄録和訳

青年期にバスケットボールやバレーボールをすることは、老年期の高い骨密度と関連する:文京健康調査

📕Otsuka, Hikaru, et al. "Playing basketball and volleyball during adolescence is associated with higher bone mineral density in old age: the Bunkyo Health Study." Frontiers in Physiology 14 (2023). https://doi.org/10.3389/fphys.2023.1227639
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[背景・目的] 運動は、青年期における面的骨密度(aBMD)の増加や老年期における骨密度の維持に有効である。さらに、高負荷スポーツは低負荷スポーツよりもaBMDの増加に効果的である。本研究の目的は、学校を拠点とするスポーツクラブで行われる青年期のスポーツの種類と老年期のaBMDとの関連を明らかにすることである。

[方法] 日本の都市部に住む高齢者1,596人(男性681人、女性915人、年齢:65~84歳)を対象に、二重エネルギーX線吸収測定法を用いて大腿骨頸部と腰椎のaBMDを評価した。大腿骨頸部および腰椎のaBMDを従属変数とし、スポーツの種類および参加者の特徴(年齢、体重、血清25-ヒドロキシビタミンD[25(OH)D]値など)を独立変数として、スポーツクラブで行った青年期のスポーツと老年期のaBMDとの関連を重回帰分析を用いて解析した。

[結果] 大腿骨頸部については、バスケットボールは高齢男性(β=0.079、p<0.05)および女性(β=0.08、p<0.01)においてaBMDと関連していたが、現在の体重および25(OH)D値は男女ともにaBMDと関連していた。腰椎については、バレーボール(β=0.08、p<0.01)および水泳(β=0.06、p<0.05)が腰椎のaBMDと有意に関連していたが、高齢女性では現在の体重、25(OH)D、糖尿病がaBMDと関連していた。

[結論] 思春期にバスケットボールをプレーしていた男女はともに、老年期の大腿骨頸部aBMDが高かった。さらに、思春期にバレーボールをしていた女性は、高齢期において腰椎のaBMDが高かった。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

『ライフコース疫学』、という言葉がある。

✅ライフコース疫学とは?
・ライフコース疫学とは、胎児期,小児期, 思春期, 青年期, そしてその後の成人期における物理的また社会的な曝露についての,その後の健康や疾病リスクへの長期的な影響に関する研究と定義される。
・この言葉は1997年のKuhらの著書の初版本から広く使われるようになった。

📕近藤克則. 日本公衆衛生雑誌 57.4 (2010): 316-319. >>> Cinii

今回の研究は、骨密度についてのまさにライフコース疫学、である。
青年期にバスケットボール、バレーボールを経験していると、高齢期の骨密度が上がるという。
かつて文献抄読した『骨粗鬆症者のための運動ガイドライン』においても、骨密度の維持・向上に対して、インパクト(衝撃)エクササイズが推奨されていた。

高齢期を迎えてからやることももちろん尊いだろう。
しかし、青年期にそれらの運動を経験していることが、生涯を通じて骨強度の維持をサポートする、という側面もあるのかもしれない。
近々のこととしては、病前の情報収集において、青年期のスポーツ遍歴を探ることは有益なことかもしれない。

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