肩甲骨位置を決めるキーマッスルとは?
📖 文献情報 と 抄録和訳
肩甲骨安定筋の筋力が肩甲骨の位置に与える影響について
[背景・目的] 肩甲骨のメカニクスを維持することは、上肢の機能性と姿勢にとって重要である。肩甲骨安定筋が肩甲骨の位置にどの程度影響を与えるかを明らかにすることは、肩甲骨ジスキネシス患者のための運動プログラムを作成する際の指針となる。仮説:上腕骨挙上時の肩甲骨位置について、前鋸筋(serratus anterior, SA)、僧帽筋上部(upper trapezius, UT)、僧帽筋中部(middle trapezius, MT)、僧帽筋下部(lower trapezius, LT)は異なる役割を果たす。
[方法] 研究デザイン横断的研究。エビデンスレベルレベル4。包括基準を満たした40歳から65歳の女性(平均年齢、49±7歳)計70名を本研究に組み入れた。SA、UT、MT、LTの等尺性筋力は、ハンドヘルドダイナモメーターで評価した。肩甲骨の位置の評価には、肩甲骨外側スライドテスト(lateral scapular slide test, LSST)を使用した。肩甲骨のパラメーターの評価には、多段階回帰分析を使用した。
[結果は] SA筋、UT筋、MT筋、LT筋の等尺性筋力とLSSTの異なる上腕骨位置での値との間には、正の統計的有意な相関があった(P < 0.05)。UT筋とSA筋は肩甲骨下部の位置の変化に大きく影響した(R2>24.5%)。
■ 肩甲骨の内-外側方向の位置変化と影響するキーマッスル
・ニュートラルポジション(0度):LT(11.3%)が大きく影響
・45度外転位:MT(25.4%)が大きく影響
・90度外転位:SA(34.5%)が大きく影響
[結論] 肩甲骨の縦方向の位置はLT筋が大きく影響するが、肩の挙上量が増えるにつれてMT筋、SA筋の筋力が有効になる。SA筋とUT筋の筋力は肩甲骨下部の位置に大きな影響を与える。臨床的な関連性肩甲骨の異なるレベルでジスキネシスが観察されることがある。したがって、各個人がどのレベルでジスキネシスが顕著であるかを判断し、その結果、機能を高め、ジスキネシスを制御するための個人別の運動プログラムを形成することが重要である。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
と言ったら、まずどこを評価しようと思うだろうか?
大腿四頭筋の筋力。もちろん、そうだ。
なぜなら、膝関節伸展の作用を持つキーマッスルの筆頭だと知っているから。
と言ったら、まずどこを評価しようと思うだろうか?
今度から、僕たちは『僧帽筋下部』と答えるだろう。
今回の研究は、臨床においてそのような役立たせ方ができると思う。
肩甲骨位置を規定するキーマッスルの仮説。
それを裏打ちする知識として。
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