陸上競技大会。決勝は最も筋損傷リスクが高い
📖 文献情報 と 抄録和訳
国際陸上競技選手権大会の100m、200m、400mスプリントの決勝では、それまでのラウンドよりも筋肉損傷のリスクが高いのだろうか?
[背景・目的] 国際陸上競技選手権の100m、200m、400mスプリントにおける下肢筋損傷(lower limb muscle injuries, LLMI)とハムストリング筋損傷(hamstring muscle injuries, HMI)の発生率を、決勝、準決勝、予選間で比較すること。
[方法] 研究計画前向き集団研究。方法2009年から2022年の間に開催された8つの選手権大会における女子および男子選手の競技中のLLMIおよびHMIを分析した。
[結果]
■ 下肢筋肉損傷の発生率
・100m: 男性および女性において、決勝での発生率が他のラウンドよりも高かった。
■ ハムストリングス損傷
・100mと200mで、男性の決勝での損傷率が高い(*)
・女性は200mで準決勝よりも決勝の方が高い(#)。
[結論] LLMIおよびHMIリスクは、国際陸上競技選手権大会の決勝において、それまでのラウンドと比較して高かった。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」という諺がある。
このことわざは、「虎の子を得るためには、虎の巣穴に入らなければならない」という意味で、リスクを取らなければ大きな成果を得ることはできないという教訓を示している。
全力で挑むことにはリスクが伴うが、それがなければ大きな成功や成果は得られない。
さて、今回の抄読研究は、陸上競技において「虎穴に入らずんば虎子を得ず」を明らかにした。
大会の決勝においては、どうしたって、全力中の全力を出さなければならない。
そして、その全力を出す最中において、下肢の筋損傷リスクが最も高まることになる。
大きな力を発揮すれば、大きな反作用が加わることは必定であり、確かにそうだろうと納得はできる。
大事なことは、この結果から何か行動が変わることであろう。
危険性が明らかになったからこそ、できることがきっとある。
例えば、決勝の前後にはより入念な身体のメンテナンスが必要になるかもしれない。
陸上競技の大会決勝に限らず、土壇場において、損傷リスクの高まりを認識したい。
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