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良性発作性頭位めまい症。歩行と転倒への影響

📖 文献情報 と 抄録和訳

良性発作性頭位めまい症における歩行と転倒:系統的レビューとメタ分析

📕Pauwels, Sara, et al. "Gait and Falls in Benign Paroxysmal Positional Vertigo: A Systematic Review and Meta-analysis." Journal of Neurologic Physical Therapy (2023): 10-1097. https://doi.org/10.1097/NPT.0000000000000438
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✅ 前提知識:良性発作性頭位めまい症(Benign paroxysmal positional vertigo, BPPV)とは?
● 原因:BPPVは、炭酸カルシウム粒子の結晶(耳石または聴砂)が内耳のなかで剥がれることで起こる。この疾患のある状態で頭を動かすと、耳石が移動して三半規管に入り込み、めまいを引き起こす。
● 症状: BPPVの代表的な症状は、頭を動かしたり、身体の位置を変えたりした際、例えば横になる、起き上がる、寝返りを打つ、頭を上下する、といった動作の際に突然生じる、周囲のすべてのものがぐるぐると回っているような感覚。症状が続くのは頭を動かしてから短時間の間で、徐々に治まる。激しいめまいの場合、吐き気や嘔吐といった症状を伴うこともある。
● 治療:現在、有効とされる治療法のひとつに理学療法がある。Semont法、Epley法、Lempert法(「バーベキュー回転」)などの頭位変換療法。Brandt-Daroff法体操などを行い、前庭代償を促進して脳によるバランス制御を取り戻す。

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[背景・目的] 良性発作性頭位めまい症(Benign paroxysmal positional vertigo, BPPV)は最も一般的な前庭疾患の一つであり、粒子再配置操作(particle repositioning maneuvers, PRM)により効果的に治療される。本研究の目的は、歩行、転倒、転倒恐怖に対するBPPVの影響とPRMの治療効果を評価することである。

[方法] (1)BPPV患者(pwBPPV)と対照者、(2)PRMの治療前後で歩行および/または転倒を比較した研究について、3つのデータベースと含まれる論文の参考文献リストを系統的に検索した。バイアスのリスクを評価するために、Joanna Briggs Instituteの批判的評価ツールが使用された。

[結果] 25件の研究のうち20件がメタ解析に適していた。品質評価の結果、バイアスのリスクが高い研究が2件、中程度のリスクが13件、低いリスクが10件であった。

■ 歩行課題中の時空間パラメータとBPPV
PwBPPVは対照群と比較して歩行速度が遅く、タンデム歩行時の動揺が大きかった。PwBPPVはまた、頭部回転時の歩行も遅かった。PRM後、平地歩行時の歩行速度は有意に増加し、歩行評価尺度により歩行はより安全になった。タンデム歩行や頭部回転歩行時の障害は改善しなかった。

■ 転倒とBPPV
・転倒者数は対照群よりpwBPPV群で有意に多かった。
・BPPVは対照群と比較して転倒のオッズが2.34と有意に増加した
・治療後、転倒回数、転倒したpwBPPVの人数、転倒恐怖は減少した。

[結論] BPPVは転倒の確率を高め、歩行の時空間パラメータに悪影響を及ぼす。PRMは転倒、転倒恐怖、平地歩行時の歩容を改善する。頭を動かしながらの歩行やタンデム歩行時の歩容改善には、追加のリハビリテーションが必要かもしれない。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

転倒の受傷起点を聴取する際に、しばしばあるのが“めまい”だ。
だが、この受傷起点を聞いたとき、多くの理学療法士は困ってしまうと思う。
なぜなら、「どうしたらいいのか分からない」から。
トンカチを持っていれば、釘が輝いて見えるが、なす術がないことを聞いても辟易としてしまう。

今回の論文は、めまい症が確かに歩行と転倒に影響を及ぼすことを明らかにした。
もう、逃げている場合ではない。
めまい症についてもっと勉強して、トンカチをつくれ。

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