良性発作性頭位めまい症。歩行と転倒への影響
📖 文献情報 と 抄録和訳
良性発作性頭位めまい症における歩行と転倒:系統的レビューとメタ分析
[背景・目的] 良性発作性頭位めまい症(Benign paroxysmal positional vertigo, BPPV)は最も一般的な前庭疾患の一つであり、粒子再配置操作(particle repositioning maneuvers, PRM)により効果的に治療される。本研究の目的は、歩行、転倒、転倒恐怖に対するBPPVの影響とPRMの治療効果を評価することである。
[方法] (1)BPPV患者(pwBPPV)と対照者、(2)PRMの治療前後で歩行および/または転倒を比較した研究について、3つのデータベースと含まれる論文の参考文献リストを系統的に検索した。バイアスのリスクを評価するために、Joanna Briggs Instituteの批判的評価ツールが使用された。
[結果] 25件の研究のうち20件がメタ解析に適していた。品質評価の結果、バイアスのリスクが高い研究が2件、中程度のリスクが13件、低いリスクが10件であった。
■ 歩行課題中の時空間パラメータとBPPV
PwBPPVは対照群と比較して歩行速度が遅く、タンデム歩行時の動揺が大きかった。PwBPPVはまた、頭部回転時の歩行も遅かった。PRM後、平地歩行時の歩行速度は有意に増加し、歩行評価尺度により歩行はより安全になった。タンデム歩行や頭部回転歩行時の障害は改善しなかった。
■ 転倒とBPPV
・転倒者数は対照群よりpwBPPV群で有意に多かった。
・BPPVは対照群と比較して転倒のオッズが2.34と有意に増加した
・治療後、転倒回数、転倒したpwBPPVの人数、転倒恐怖は減少した。
[結論] BPPVは転倒の確率を高め、歩行の時空間パラメータに悪影響を及ぼす。PRMは転倒、転倒恐怖、平地歩行時の歩容を改善する。頭を動かしながらの歩行やタンデム歩行時の歩容改善には、追加のリハビリテーションが必要かもしれない。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
転倒の受傷起点を聴取する際に、しばしばあるのが“めまい”だ。
だが、この受傷起点を聞いたとき、多くの理学療法士は困ってしまうと思う。
なぜなら、「どうしたらいいのか分からない」から。
トンカチを持っていれば、釘が輝いて見えるが、なす術がないことを聞いても辟易としてしまう。
今回の論文は、めまい症が確かに歩行と転倒に影響を及ぼすことを明らかにした。
もう、逃げている場合ではない。
めまい症についてもっと勉強して、トンカチをつくれ。
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