メタボ成人の最適な運動のタイミングとは?
📖 文献情報 と 抄録和訳
メタボリックシンドロームの構成要素の減少に対する朝と午後に行う有酸素運動トレーニングの効果:無作為化比較試験
[背景・目的] 厳重に管理された高強度の有酸素運動プログラムは、メタボリックシンドローム(MetS)患者の健康状態を改善する。しかし、1日24時間のうちのトレーニングのタイミングが、こうした健康上の利点に影響を与えるかどうかは不明である。本研究では、午前と午後の運動が体組成、代謝性疾患の健康状態、およびMetSの構成要素に与える影響を明らかにすることを目的とした。
[方法] 139名のMetS患者を、午前(AMEX;n=42)または午後(PMEX;n=59)の運動トレーニンググループ、または非トレーニングの対照グループ(Control;n=38)にブロック無作為に割り付けた。運動トレーニングは、16週間にわたって48回の監督付き高強度インターバルトレーニングで構成された。身体組成、心肺機能(最大酸素摂取量(VO2max)で評価)、最大脂肪酸化(FOmax)、血圧、血中代謝物質は、介入の前後で評価された。
[結果] 非トレーニングのコントロール群と比較すると、両方の運動グループは同様に身体組成(脂肪減少率 -0.7%、P = 0.002)、ウエスト周囲長(-2.1cm、P <0.001)、拡張期 血圧(–3.8 mmHg;P = 0.004)およびVO2max(3.5 mL kg-1 min-1;P < 0.001)が改善し、トレーニンググループ間の差は認められなかった。
AMEXはPMEXと比較して、収縮期血圧(-4% vs. -1%; P = 0.019)、空腹時の血漿インスリン濃度(-12% vs. -5%; P = 0.001)、インスリン抵抗性(-14% vs. -4%; P = 0.006)を減少させた。さらに、MetS Zスコアは、トレーニング後、AMEXではPMEXと比較してさらに減少した(-52% vs. -19%; P = 0.021)。
[結論] まとめると、午後のトレーニングと比較して、朝に高強度の有酸素運動トレーニングを行うと、心代謝性危険因子(すなわち、収縮期血圧およびインスリン感度)を減少させる上で、やや効率的である。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
同じ運動をしたとしても、時間によって効果の大小が変わってくるなら、それは効果的な時間に行いたいものだ。
今回の抄読研究は、メタボ者を対象として、メタボ構成要素(収縮期血圧およびインスリン感度)に有益な運動時間帯を明らかにしてくれた。
そして明らかになったこととして、どうやら「朝」が望ましいらしい。
僕自身のことで言えば、午前にも午後にも有酸素トレーニング(通勤;自転車)を行っているので、さして考慮することは少ない。
だが、例えばメタボ者が、午後だけにトレーニングをしている場合には、検討に値することかもしれない。
僕たちは、時間の使い方を工夫することによって、自分を素晴らしい存在に変えることができる、かもしれない。
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