糖尿病性足病変のコア・アウトカムセット
📖 文献情報 と 抄録和訳
糖尿病性足潰瘍に対する介入を評価する研究のためのコア・アウトカムセットの開発
[背景・目的] 糖尿病は世界で5億3700万人に影響を及ぼしており、そのうち34%が生涯に足潰瘍を発症すると予測されている。糖尿病に関連する足潰瘍は、世界中の医療制度に負担を強いており、その管理を導くための高品質なエビデンスの提供が必要とされている。報告された結果の異質性を踏まえ、糖尿病に関連する足潰瘍の治療を評価する研究における結果の測定基準を標準化するために、コア・アウトカムセット(COS)が開発された。
[方法] COSは、Core Outcome Measures in Effectiveness Trials(COMET)の方法論を用いて開発された。系統的レビューと患者インタビューにより、多数のアウトカムがリストアップされ、デルファイ調査の第1ラウンドでは、患者と専門家が9段階のリッカート尺度(1[重要でない]から9[極めて重要])を用いて評価を行った。あらかじめ定められた基準に基づき、コンセンサスが得られなかったアウトカムは、2回目のデルファイ調査で再優先順位付けされた。2回のデルファイ調査でコンセンサスが得られなかった重要なアウトカムは、コンセンサス会議で討議され、そこでCOSが承認された。
[結果] 系統的レビューと患者インタビューにより、103の候補アウトカムが抽出された。2回連続のデルファイ調査は、336名と176名の回答者によって完了し、全体的な2回目の回答率は52%であった。コンセンサス会議で議論された37のアウトカム(22のクリティカルアウトカムと2回目のラウンド後にコンセンサスが得られなかった15のアウトカム)のうち、8つがCOSを構成した。
[結論] 糖尿病性足潰瘍の治療を評価する研究のためのCOSは、COMETの方法論を用いて開発された。このCOSが研究コミュニティに採用されれば、現在および進化中の介入の比較的有効性の評価が促進されるであろう。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
同じものを見ていたとしても、違う定規で測っていたら、その現象を1つの数字で共有することはできない。
また、類似の領域を違う評価尺度で計測していたら、別々のものを束ねて一緒に解析したりすることも、しにくくなる。
つまり、使用される評価指標を統制することは、集合知の可能性を高めることにつながる。
それは、科学や科学論文といったものが目指す、そもそもの方向性だとも思う。
そんな中で、今回の抄読研究においては、糖尿病性足病変についてコアセットを示してくれた。
このコアアウトカムセットの領域に『主要切断』『軽微切断』が入ってくることは、疾患の重大性を感じた。
少しでも気づきが遅れたり、ケアが遅延したりした場合には、切断になってしまうリスクがあるのだ。
改めて、危機感を感じつつ臨床に臨みたい。
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