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腰部脊柱管狭窄症の臨床実践ガイドライン2021。PTの重要事項3選
📖 文献情報 と 抄録和訳
日本整形外科学会(JOA)腰部脊柱管狭窄症の管理に関する臨床実践ガイドライン 2021-2次刊行物
📕Kawakami, Mamoru, et al. "Japanese Orthopaedic Association (JOA) clinical practice guidelines on the management of lumbar spinal stenosis, 2021-Secondary publication." Journal of Orthopaedic Science (2022). https://doi.org/10.1016/j.jos.2022.03.013
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar 🌲MORE⤴ >>> Not applicable
[レビュー概要] 日本整形外科学会(The Japanese Orthopaedic Association, JOA)の腰部脊柱管狭窄症(lumbar spinal stenosis, LSS)診療ガイドラインは、2011年に初版が発行された。その後,LSSの診療体制が変化し,LSSの疫学・診断学,新しい薬物療法や理学療法などの保存的治療,低侵襲手術を含む手術療法に関する新しい論文が多数発表された。また、患者報告型アウトカム指標の検証や、腰部脊椎疾患患者の内科的管理の見直しによる経済効果など、様々な検討が必要となっている。そこで,2019年にJOA臨床ガイドライン委員会はガイドラインの更新を決定し,その結果,策定委員会が設置された。本研究の目的は,近年のエビデンスに基づく医療の進歩を取り入れ,ガイドラインの改訂のために実施したフォーミュレーションについて説明すること。
[臨床実践ガイドラインにおけるPTの重要事項3選]
■ LSS患者に特異的な身体検査所見は?
・Kemp's test:下肢の神経学的検査所見とKemp's testは有用であるが、LSSに対する特異性は高くないと考えられている。Kemp's testは、L4-5レベルの脊柱管狭窄症によるL5神経根障害では60.8%、L5-Sレベルの孔狭窄症によるL5神経根障害では79.6%の患者に陽性であったと報告されている(📕Yamada, 2015 >>> doi.)。
・脛骨神経圧迫試験:Adachiらは、脛骨神経圧迫試験における膝窩部の脛骨神経の圧痛がLSSの診断に有用であることを示し、LSS患者108名のうち92.6%が陽性であり、健常対照者のそれよりも有意に高い割合であったと報告している(📕Adachi, 2018 >>> doi.)。
・間欠性跛行:末梢動脈疾患(peripheral arterial disease, PAD)との鑑別が重要。足背動脈の脈動が悪く、足関節上腕血圧比(ABI)が低く、ブロック治療が効きにくい患者はPADの危険性があるため注意が必要(📕Lee, 2019 >>> doi.)。
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■ 腰部脊柱管狭窄症の適切な評価指標(質問票)は?
・Zurich Claudication Questionnaire(ZCQ)は、外科的治療が選択されるLSSの疾患特異的質問票として有用である。
・LSSに関する2007年北米脊椎学会ガイドラインでも推奨されているZCQは、LSSの疾患別質問票として最もよく使用されているものである(📕Stucki, 1996 >>> doi.)。
・ZCQは3領域(症状の重症度、身体機能、手術満足度)計18問で構成されており、翻訳された日本語版ZCQの妥当性が確認されている。ただし、開発および妥当性の対象が手術患者に限定されていることに注意が必要である(📕Hara, 2010 >>> site.)。
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■ 運動療法は有用か?
・運動療法(推奨度2,一致率100%,エビデンス強度C)
・専門医の指導による運動療法は、自己トレーニングよりも痛みの緩和や身体機能、ADL、QOLの改善に有効である。
・最適な運動療法の種類は明らかにされていない。
・減圧術より効果は低いが,有害事象のリスクが低く,費用対効果も高いので,重症例を除いて推奨できる。
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🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
3選としたが、そのほかにも「装具療法や理学療法は有用か?」「脊椎マニピュレーションは有用か?」など、PTにとっての重要事項が多く掲載されている。
このようなレビュー論文が無料で読めるということは、とても有難い。
このレビューをつくることに、一体どれだけの人間の、どれほどの時間と労力がかけられてきたことだろう。
・・・。
しっかりと読み込んだ上で、臨床において有効活用していきたい。
⬇︎ 𝕏での投稿✨
📕腰部脊柱管狭窄症(LSS)の臨床実践ガイドライン2021
— 理学療法士_海津陽一 Ph.D. (@copellist) February 27, 2023
・2011年初版の改訂
・PTの重要事項を3つ選びレビュー
🔹LSSに対する特異的な身体検査所見は?
🔹LSSに対する適切な評価指標(質問票)は?
🔹運動療法は有用か?
PTの重要事項が満載 & Open Access🔑
しっかり読み込んで、臨床に生かしましょう😲 pic.twitter.com/CANhqVSxpW
脊柱管狭窄症(LSS)者の保存療法のSR💡
— 理学療法士_海津陽一 Ph.D. (@copellist) May 23, 2023
徒手療法+運動がgood
最近,日本整形外科学会から
LSSの臨床実践ガイドライン2021が発行(抄読+)
この中で,
🔹運動療法は有用か?→最適な運動療法はまだ不明
今回のSRは,最適な運動療法を示す1論文ですね😲
🌱note link:https://t.co/uu2CNoLbsk https://t.co/gf3QKXXbrc pic.twitter.com/VxYmmfnECr
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