高齢者の昼寝。寝過ぎは認知機能を低下させる【啓発ポスター+】
📖 文献情報 と 抄録和訳
中国人高齢者における日中の仮眠と認知機能との縦断的関連性
[背景・目的] 中国における日中の仮眠と認知機能の縦断的な関連はほとんど知られていなかった。そこで、本研究では、中国の高齢者集団における日中の仮眠と認知機能の横断的および縦断的な関係を調査することを目的とした。
[方法] データはChina Health and Retirement Longitudinal Study(CHARLS)から得たものである。日中の仮眠は自己申告とした。認知機能は構造化質問票により、エピソード記憶と精神状態の2つの側面から評価した。線形回帰と混合効果モデルを用いて、日中の仮眠と認知機能との関連を調べた。
[結果] 65歳以上の2,875人と2,440人が、それぞれ横断的研究と縦断的研究に参加した。横断的研究では、非昼寝と寝過ぎは、適度な昼寝と比較して、グローバル認知スコア(P<0.01)、エピソード記憶(P<0.05)、精神状態(P<0.01)において有意に低いスコアとなった。縦断的解析では、非昼寝と寝過ぎはグローバルな認知機能の低下と有意に関連し(P<0.05)、寝過ぎのみが精神状態と同様にエピソード記憶の低下と有意な関連性を示した(P<0.01)。制限事項:日中の仮眠時間は、参加者の自己申告によるものである。
[結論] 本研究では、寝過ぎと認知機能の低下との間に縦断的な関連性があることを見出した。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
これまでも『昼寝の威力』については、いくつかの文献抄読をしてきた。
その結果、昼寝は身体的にも認知的にも良い影響を与え、その仕組みは血流の分散制御にあることを理解してきた。
今回の論文は、高齢者の生活指導に大いに役立つと思っている。
入院中の高齢者は、日中の23.2%臥床していることが報告されており、寝ている時間が非常に長い(📕Kaizu et al., 2022 >>> doi.)。
日中が朝7時〜19時とすれば167分の臥床だ。
今回の研究結果からすれば、明らかに『寝過ぎ』。
入院中の高齢者に、寝過ぎの弊害を知ってもらうことは重要だ。
そこで、以前「離床の目標時間」で作ったポスター(以下note参照)と類似の啓発ポスターを作ってみた。
この啓発ポスター、たかがポスターと侮るなかれ。
何人か実践したが、高い効果性を実感している。
ベッドサイドに貼っておくだけで、
「4時間、6時間だよね。分かっているよ。それを目標に起きてようと思うよ」
「4時間、6時間、なんかそれだけ頭に残っているんだよ」(認知機能低下者)
常に目に入る、ということの威力を感じないわけにはいかない。
というわけで、以下に示した啓発ポスター、是非活用あれ!
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