ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』2 ~第一編 ある家族の歴史 「一 フョードル・パーヴロウィチ・カラマーゾフ」

まず、この名前が超読みにくいというか理解しにくいのが、19世紀ロシア文学のつまづきの石みたいな感じなんだよな。いや、そんな覚えろよ、という意見もわかる。わかるけど、なんとかならないか、という。馴染みがない言語だからしょうがないっちゃないわけで、あとはほら、お決まりの文化的違いの理解という話で、気持ちを収めなきゃいけないわけだよ。

で、はいはい、フョードル・パーヴロウィチ・カラマーゾフ。「わが主人公」のアレクセイの親父、ですね。ああ、親父の話か。

今からちょうど十三年前、悲劇的な謎の死をとげて当時たいそう有名になった…この郡の地主

日本でいうところの、例のドンファンさん、みたいな有力者だね。もう、W県のドンファンにしかみえないなフョードル。

およそ俗物で女にだらしがないばかりか、同時に常識はずれの、ただ常識はずれと言っても自分の財産上の問題を処理するうえでは大いにやり手で、それだけしか能がないといった感じのするタイプの人間

Wのドンファンで、いいね。そんなフョードルの三男がアレクセイ。いやー、きな臭い匂いプンプンですな。

そんなフョードルは「二度結婚し、子供が三人あった」らしい。最初の妻は「この郡の地主でかなり裕福な名門の貴族、ミウーソフ家の娘」であったよう。アデライーダ、という人らしい。

アデライーダとフョードル、明らかに、無茶な結婚だと思うんだけど、こういう婚姻が昔はあったということだね。そうでもしないと、今と同じくらい結婚なんてしないよね。明らかに、フョードル、ヤバイ奴っぽいし。

で、フョードルはアデライーダの財産を食い物にしようとして、マジもめた。そのもめた経緯については、引用するのがクソ面倒なのでしない。

結局、アデライーダは離婚して出て行っちゃうんだけど、フョードルがこれまたクソな感じで、アデライーダの悪口を四方八方に言って回る、ろくでもない男って感じ。

で、出ていったアデライーダがどこに行ったか、途中まではわからなかったんだけど、ペテルブルクにいるってわかって、会いに行くぞーと酔っぱらってくだを巻いているときに、アデライーダの訃報が舞い込む。で、フョードルは、喜んだのか、悲しんだか、その辺はよくわからない、奇矯なふるまいに及んだそうだ。

ああ!ここまでの一代記は、なるほど、読みやすいね。読みやすい。長いけど、読みやすいなら、それでもいいか。

昔、長い本を読むとき、どうしたらいいんですか、と先輩に聞いたら、食パンと牛乳を用意して、コタツの中で終わるまで読み続ける、と言ってた。「途中で、やめないんですか?」と聞いたら、途中でやめたら忘れちゃって読まなくなる、と言ってた。確かに、途中にして、流れを忘れて、もう一回最初から読まないとダメだね、って本たくさんある。ロレンス・ダレルの『アレクサンドリア四重奏』とか。

その先輩、トルストイとかドストエフスキーは、そのようにして読んだということだった。俺、それ、できない。途中で、動きたくなるんだもん。違うことしたくなるんだもん。だから、『カラマーゾフの兄弟』読まなかったんだよ。ギリ、『罪と罰』と『悪霊』と『白痴』は読めた。でも『未成年』は途中でやめた。

長い本、だから、細かくメモ取って、読む。それが俺のnoteの使い方。途中からそうした。50にもなると、前のこと、三章くらい読み進めると、忘れちゃうんだもん。もう忘れてるよフョードルのこと。格闘家だっけ?そんなんだから、自分が書いたものをみて、ああW県のドンファンみたいな奴かって、思い出すしかないんだよ。

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