長期的視点・短期的視点で連携した支援の方策を取ることの大切さ
皆さんは、特別支援教育における指導・支援を行う場合、長期的視点・短期的視点のどちらを優先しますか?
結論から言えば、質問の答えにはなっていませんが、どちらも優先します。私は、両者にはどちらもメリットとデメリットが存在するので、両者の視点を連携した支援の方策を取ることが大切であると考えます。
なぜなら、短期的な目標達成が積み重なって、長期的な目標に近づくことになるからです。例えば、日常生活の中で自立するための基本的なスキル(身辺整理・対人関係スキル・コミュニケーション等)を短期的に学びながら、最終的には社会において独立して生活できるようになることを目指します。よって、両方の視点をバランスよく持つことが、特別支援教育において効果的な支援を行うために重要です。
今回の記事は、短期的視点と長期的視点のそれぞれの関わり方について、考えていきたいと思います。
短期的視点のメリット・デメリット
目の前の子どもを指導しようとする場合、毎日の授業で成果を出し続ける、つまり成功体験を積ませることは大切です。
「楽しかった!」「またしたい!」
という思いを高めることが、次の学びへのモチベーション向上につながります。成功体験を重ねることで自己受容することができ、失敗しても
「いつもは成功しているから、大丈夫!今回は失敗したけど、次は成功する!」
というポジティブマインドでいられます。
逆に、失敗体験を重ねることはデメリットでしかありません。自己否定が続き「どうせ、自分なんてだめなんだ…できないんだ」と心の中で訴え続けます。いざ成功しても「成功したのは、たまたまなんだ。どうせ、次は失敗する」という悪循環に陥ってしまいます。
日々の成功体験を積むためには、短期的視点を持って比較的短期間で達成可能な目標に焦点を当て、迅速な成果を目指すアプローチが大切です。日々の授業や特定の課題に対する具体的な支援が中心となります。
具体的支援例
特定の教科やスキル向上を目的とした個別指導や小集団指導、課題の精選が考えられます。また、学級内で適切な行動を促すためのルール設定や報酬システムの導入も検討できます。短期間での進捗を確認し、必要に応じて支援内容を調整することも効果的です。
メリット
迅速に成果が見えるため、児童生徒のモチベーションを維持しやすいです。即自的な課題解決に効果的です。さらには、柔軟に対応できるため、状況に応じた支援が可能になります。
デメリット
短期的な目標に集中するあまり、長期的な成長や自立に繋がる支援が疎かになる可能性があります。また、短期的な成果ばかりを重視するあまり、児童生徒の全体的なニーズを見落とすリスクも考えられます。
以上のような、短期的視点を持った支援を通して、成功体験を積み、主体的に学校生活を送ることが期待できる。
長期的視点のメリット・デメリット
自立活動の目標は以下の通りです。
つまり、将来の自立を目指すこと、社会に出て就労できる知識・技能・態度及び習慣を養い、心身の調和的発達の基盤づくりが自立活動には求められています。そして、特別支援教育の柱は自立活動であることを考えると、将来の自立まで見通した長期的視点は、欠かせないものです。
よって、将来にわたる成長や自立を目指し、継続的かつ包括的な支援を提供するアプローチを行います。また、生涯にわたる学習や社会参加を視野に入れ、個々のニーズに応じた支援計画・指導計画も重要です。
具体的支援例
キャリア教育や職業訓練を通して、生徒が卒業後に就職や自立生活を送るためのスキルを習得する支援が考えられます。また、社会的スキルの育成のために、コミュニケーション能力や問題解決能力の向上を図る学習活動をすることも重要でしょう。さらには、個別の教育支援計画を作成し、 生徒一人ひとりの長期的な目標とそれを達成するための具体的な支援内容を計画することで、学校、医療、福祉が連携し、就労まで一貫した支援を行うことができます。
メリット
生徒の持続的な成長を促進し、将来的な自立や社会参加を支援することができます。また、個々のニーズに応じた柔軟な支援が可能となります。教育機関や支援者との連携を深めやすいことも考えられます。
デメリット
計画の実行に時間とリソースが必要です。長期的な成果が見えるまでに時間がかかるため、即時的な成果を求める場面では効果が薄い場合があります。
両者のバランスのよい支援が必要である
個別の教育支援計画や指導計画でも、短期的視点は短期目標として、長期的視点は長期目標として計画し、効果的な支援に生かすことが求められています。それぞれのメリットやデメリットを理解して、最終的には自立と社会参加に繋がるように、一貫した支援が大切です。
今日の記事は以上になります。
最後までお読みくださりありがとうございました。