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ジュンク堂書店で1万円分、本買ってみた!

あけましておめでとうございます。ご挨拶が遅れてしまいましたが、2025年もどうぞよろしくお願いいたします。夕影です。


ジュンク堂1万円企画について

ルールはシンプル。

本屋で1万円に収まるように買い物をする。以上!

🌟

必要と思う本を2,3冊ずつ買っていくのが普段のスタイル。

その結果、ジャンルが固定化されたり、作家の新規開拓が疎かになったりしていませんか?(自分への問いかけ)

そこで、1万円企画です。

予算と気持ちに余裕が生まれ、単行本を衝動買いしちゃったり!

普段はあまり見に行かないような棚にも行っちゃったり!

要するに、購入本に”バリエーション”が生まれるのでは?と期待しているわけです。

さあ、本屋に行くぞ〜!!!

まずは気になる本を探していく

ジュンク堂書店札幌店は地下2階から地上4階まで、非常に多くの本を取り揃える大型書店です。

最上階から1つずつ下の階に降りていき、全フロアを探索しようと思います。

4階:コミック 学参 児童

集めている漫画の最新刊があったものの、「別に今日買わなくてもいいな……。どうせ買うし……」と見送りました。

参考書エリアで赤本の見慣れないフォントに慄き、

児童書エリアで青い鳥文庫の見慣れないデザインに震え、

足早に3階へと向かいます。

また時間がある時にゆっくり見たい!

3階:新書 文庫 文芸 人文

はい、来ました3階。

「3階で絶対時間使うだろうな〜」と予想していたので、4階は泣く泣く控えめにしたのでした。

ゆっくり見るぞ〜! ワクワク!

🌟

まずは新書エリアに来ました。

新書か〜。興味を惹かれるタイトルが多く、脳内積読は沢山ありますが、実際に読んだ冊数は意外と少ないんですよね……。

※脳内積読とは
脳内にある積読。実際にブツとして所有し、積読しているわけではなく、「買いたいな〜読みたいな〜」と思っているだけの本たち。「ほしい本リスト」と同義。(夕影のオリジナルかと思っていましたが、ググると用例が沢山ありました。)

新書を速く読める人は、どうして速く読めるんですか?(?)  教えてください。

……あっ!!

『今を生きる思想 ハンナ・アレント 全体主義という悪夢』[牧野雅彦,講談社現代新書]

『今を生きる思想 ミシェル・フーコー 権力の言いなりにならない生き方』
[箱田徹,講談社現代新書]

2年ぐらい前にTwitter(当時)で見かけて気になっていた「現代新書100」シリーズだ!!!!

100ページで教養をイッキ読み!
現代新書の新シリーズ「現代新書100(ハンドレッド)」刊行開始!!
1:それは、どんな思想なのか(概論)
2:なぜ、その思想が生まれたのか(時代背景)
3:なぜ、その思想が今こそ読まれるべきなのか(現在への応用)
テーマを上記の3点に絞り、本文100ページ+αでコンパクトにまとめた、
「一気に読める教養新書」です!

講談社BOOK倶楽部より

100ページなんだ。それなら読めそう。

気になるのはミシェル・フーコーとハンナ・アレント。うん、権力に抵抗したいし全体主義を阻止したいもん。

両方……でもいいけれど、最初から飛ばしすぎな気がする。

最近読んだ小説の影響で関心が高まっていたため、アレント(学校の倫理では「アーレント」って習いました)の方をカゴに入れます。

記念すべき一冊目!

🌟

その後もしばらく新書エリアに留まりました。面白いタイトルが多いので、ついつい背表紙を丁寧に調べてしまいます。

しかし、気になるものが多すぎて、逆にコレという一冊を選ぶことができず。

カゴの中身は一冊のまま、小説エリアへ行きます。

🌟

小説エリアには、絶対に見つけようと決めていたものがありました。

2024年に読んだ本10選でも触れた、須賀しのぶ先生の本です。

『夏空白花』[須賀しのぶ,ポプラ文庫]

あれ? 一万円企画の趣旨って、「普段は買わない本を買える」ところにあるんじゃないの?

そうであれば、好きな作家の本は射程外では?

……と思ったあなた、正しいです。

でも聞いてください。この「夏空白花」は……野球のお話なんです。

私、これまで「野球」という概念と触れ合った経験が極端に乏しくて……。野球と決して交わらない人生だったというか……(?)

いくら好きな作家の本でも、手が伸びるのは最後になってしまいそうなんですよね。

1945年夏、敗戦翌日。
昨日までの正義が否定され、誰もが呆然とする中、朝日新聞社に乗り込んできた男がいた。全てを失った今だからこそ、未来を担う若者の心のために、戦争で失われていた「高校野球大会」を復活させなければいけない、と言う。

ボールもない、球場もない、指導者もいない。それでも、もう一度甲子園で野球がしたい。己のために、戦争で亡くなった仲間のために、これからの日本に希望を見せるために。

「会社と自分の生き残り」という不純な動機で動いていた記者の神住は、人々の熱い想いと祈りに触れ、全国を奔走するが、そこに立ちふさがったのは、思惑を抱えた文部省の横やり、そして高校野球に理解を示さぬGHQの強固な拒絶だった……。

ポプラ社HPより

野球×戦後史という感じなのかな……? 須賀しのぶ先生による史実を絡めたお話にハズレ無し。

……というわけで、この機会にイン!

🌟

『逆ソクラテス』[伊坂幸太郎,集英社文庫]

つい最近読んだ同著者の「ペッパーズゴースト」が面白かったので、あらためて別の作品も読んでみようかな〜と、こちらの本もインします。

「ペッパーズゴースト」はニーチェでしたが、こちらはソクラテス。しかも「逆」って何? 気になりすぎる。

主人公が小学生っていうのも新鮮ですよね。

表紙のイラストが目を引くのはもちろん、ページをパラパラっとめくってみると、ちっちゃいソクラテス(ちっちゃいソクラテスって何?と思うが、そうとしか言いようがない)もいてかわいい。

敵は、先入観。
世界をひっくり返せ!
伊坂幸太郎史上、最高の読後感。
無上の短編全5編を収録。

集英社HPより

🌟

『ヴァイオリン職人の探求と推理』[ポール・アダム著,青木悦子訳,創元推理文庫]

海外ミステリです。

フェア中らしく、お洒落なイラストの限定カバーがかけられています。

この直球なタイトルがいいですよね。ヴァイオリン職人が探偵役なの!?っていう。

ジャンニはイタリアのヴァイオリン職人。ある夜、同業者で親友のトマソが殺害されてしまう。前の週にイギリスへ、“メシアの姉妹”という一千万ドル以上の価値があるとされる、幻のストラディヴァリを探しにいっていたらしい。ジャンニは友人の刑事に協力して事件を探り始めるが、新たな殺人が……。名職人が、豊かな人脈と知識、鋭い洞察力を武器に、楽器にまつわる謎に挑む! 訳者あとがき=青木悦子

東京創元社HPより

ストラディヴァリウスが謎の中心というのはベタな気もしますが、そのど真ん中な感じがよき。

ということで、イン。

🌟

『ラヴクラフト全集(1)』[H.P.ラヴクラフト著,大西尹明訳]

幻想と怪奇の作家ラヴクラフト。その文庫判全集第1巻! 彼の生みだしたクトゥルー神話が怪しく息づく傑作「インスマウスの影」そして「闇に囁くもの」、デラポーア家の血筋にまつわる恐るべき秘密を描いた「壁のなかの鼠」、彼の知られざる一面を垣間見せるブラック・ユーモアの「死体安置所にて」の4編を収録した、怪奇小説ファン必読の書。訳者あとがき=大西尹明

東京創元社HPより

こちらもフェア限定カバーがかかっていました。真っっっ黒でかっこいい!

完全なるジャケ買い(※まだ買うって決めてない)でカゴにイン。

🌟

『夏の祈りは』[須賀しのぶ,新潮文庫]

再び、須賀しのぶ先生の野球小説。

県立高校の野球部を舞台に、汗と泥の世界を繊細な感覚で紡ぎだす。王道の青春部活小説!

新潮社HPより

とりあえずインします。新書エリアでのスローペースが嘘のように、カゴがどんどん重くなる。

🌟

ちょっと文庫本コーナーに長居しすぎた感があります。ようやく単行本コーナーへたどり着きました。

『生殖記』[朝井リョウ,小学館]

どこへ行っても平積みor面陳列されている。超目立っている。ジュンク堂書店札幌店も例に漏れず。

真っ白な紙に、ホログラム箔のタイトル三文字がドンッ。

その内容をシンプルな表紙から読み取るのは困難。

これほど話題になっていても、やはり内容が聞こえてこない不思議(ネタバレ厳禁、を読者が遵守している模様)。

そして、今年度最大の衝撃作という帯の文句。

これはもう、自分で読んで確かめるしかないですよね?

はい、イン!

🌟

『墨のゆらめき』[三浦しをん,新潮社]

棚に掲げられていた、こちらの画像にやられました。

Amazon 作品紹介ページより

正反対の二人!!

こういうバティ小説好き!!!

都内の老舗ホテル勤務の続力は招待状の宛名書きを新たに引き受けた書家の遠田薫を訪ねたところ、副業の手紙の代筆を手伝うはめに。この代筆は依頼者に代わって手紙の文面を考え、依頼者の筆跡を模写するというものだった。

新潮社HPより

依頼者の筆跡を模写する奔放な書道家に「あなた本来の書風を、俺は見てみたい」と伝える実直なホテルマン……。

これは単なる想像なので間違っていると思うんですが、絶対(絶対って言ってるじゃん)書道家の方が本心見せないし相手との間に一線引くタイプで、それなのに真っ直ぐに関わってくるホテルマンに心動かされちゃうタイプのバディじゃないですか!? ねえ!? ねえ!! わかんないけど!!!

しかも三浦しをん先生なので面白さは担保されています。

(これぞ実店舗で本を買う醍醐味。こんなに好みなあらすじの本を1年(初版2023年)も見逃していたわけで、もちろんネット書店でも表示されなかったものを、店舗のディスプレイのおかげで発見できたわけですから……。)

🌟

4階と3階だけでもう2時間近く使っています。まずい。そろそろフロアを移動しよう。

2階:洋書 語学 社会 コンピュータ


2階の注目エリアはやはり語学ですね。

『古典ギリシア語のしくみ(言葉のしくみ)』[植田かおり,白水社]

白水社の「〇〇語のしくみ」、いいですよね〜!

話せるようになりたいわけでも作文できるようになりたいわけでもなく、ただただ外国語の仕組みを知りたいだけのエンジョイ勢が、一番求めてるやつ。

堅苦しさがなく、つまらない例文と練習問題の反復もなく、やさしく効率的に「しくみ」を教えてくれます。この本が人間だとしたら、授業が面白いと生徒から慕われるタイプの教員(?)

今回は古典ギリシア語をインします。本当は大学で履修したかったんですが、時間割の調整がどうしても上手くいかなかったので。

🌟


一応見ておくか……と法律のコーナーにも寄りました。

すぐに退散しました。

立ちっぱなし歩きっぱなしの疲労と、棚の前に立った途端に襲ってきた緊張感と、脳内で出された「今くらい勉強のことは忘れて! 基本書を視界に入れてはいけない!」という信号のせいか、謎の頭痛が発生したためです。こんなんでいいのか。

1階:文具 雑誌 話題書

地下1階:理工 数学

1階と地下1階も一応一周しましたが、一瞬で見終えてしまいました……(この文、「一」が多い)。

地下2階:地図 実用 芸術

まずは音楽の棚から見ていきます。ポピュラーミュージック、ジャズ、そしてクラシックのコーナーへ。

『ラヴェル(作曲家・人と作品シリーズ)』[井上さつき,音楽之友社]

数年前に一度読んだ本ですが、所有はしていません。

作曲家の生涯と作品の解説がコンパクトに収まっていて、よきよきでした。

なんか欲しくなってきたな〜……。

でも、カゴが……すでにめちゃくちゃ重い……。

名残惜しいですが、次へ行きます。

🌟

棚を順番に見ていくと、河出書房新社の「らんぷの本」を発見。

「らんぷの本」は大正・昭和の文化を中心に取り上げたヴィジュアル系叢書です。

夕影はこういうの、集めたくなるタイプ。

たとえば、こんな本があります。


おお、これは……!

『遊郭・花柳界・ダンスホール・カフェーの近代史(らんぷの本)』[小針侑起,河出書房新社]

迷うことなくカゴにイン。

貧しさゆえに少女たちは遊郭へ売られ、あるいは騙されて遊里へと流れ着いた。
「夜の仕事」に従事していた女性の歴史を実資料を駆使してひもとく。遊女、芸妓、私娼、からゆきさん、カフェーの女給、ダンスホールのダンサーの実態まで……。

本書帯より

遊女に芸妓……。2024年に読んだ本10選にて紹介した「芙蓉千里」[須賀しのぶ,角川文庫]で、ちょうど興味が湧いていたテーマです。

今までに読んだことのある「らんぷの本」同様、写真が沢山掲載されています。女性の写真が多い。

目次を見てみると、それぞれの職やその用語の解説の他、実在した個人にフォーカスした「名妓図鑑」や、戦争との関わりについて等、「確かにそれが知りたかった」と思わされるトピックが並んでいます。

絶対に買おう。

🌟


これで、全フロアを一周しました。

なんだかんだ言って小説ばかり選んでしまったので、もう一度エッセイのコーナーでも見ておきましょう。

3階へ戻ってきました。

(どう低く見積もっても1万円に収まっていないカゴの中身からは、しっかりと目を逸らします。)

旅行記とか、グルメ系のエッセイとか、面白そうだな〜。

今はアジアの旅行エッセイが読みたい気分かも。台湾とか……。

……ん?

グルメ……台湾……。

あっ!!!!

突然、単行本の「海外文学」コーナーへ歩き始める私。

ええと、あの本のタイトルと作者名、なんだっけ……!

ググるぞ!

『台湾漫遊鉄道のふたり』[楊双子著,三浦裕子訳,中央公論新社]

「台湾_グルメ_小説」でググったら出てきました。しかも面陳列されていました。ありがたい。

こちらは1年ほど前にTwitterで見かけて「面白そうだな〜」と思っていた作品です。

その後、色々忙しくて完全に忘れていましたが、書店を歩き回っているうちに記憶が呼び覚まされました。

台湾グルメ×百合×鉄道旅
結婚から逃げる日本人作家・千鶴子は、台湾人通訳・千鶴と"心の傷"を連れて、1938年、台湾縦貫鉄道の旅に出る

本書帯より

面白そうすぎない???????

要素てんこ盛りすぎる。

それに舞台は植民地時代の台湾。日本が植民地化していた時代の、です。

読まねばなりません。

炒米粉、魯肉飯、冬瓜茶といった台湾グルメが登場するそうです。文字だけでお腹が空きます。


厳選して1万円に収める

まずは、現時点でカゴに入っている本の合計金額を計算しましょう。

>14,479円<

ですよね〜!

こっから3分の2に削るのか……。

今回の1万円企画では、「普段買わなそうな本を買うこと」が期待されています。そうであれば……。

須賀しのぶ「夏の祈りは」は、同じ作者で同じく野球がモチーフの「夏空白花」がハマれば絶対に買うと思うので、今回は外します。


「ヴァイオリン職人の探求と推理」も、すごく興味をそそられるけれど、文庫なんですよね……。

文庫→比較的安価→いつでも買える→今日買わなくてもいい
論理的ですね〜(知らんけど)

「逆ソクラテス」も、伊坂先生の本が面白いことはもうわかっているので、近いうちに買います。


「ラヴクラフト全集(1)」は、カバーの破れがずっと気になっていた……🥲


「古典ギリシア語のしくみ」も、別に今日買わなくてもいい気がします。いずれにせよいい本なのは知っているし。

それに、ちょっと今は脳が疲れすぎて勉強から一旦離れたいかもしれない……(本音)

ということで、これらの本とはしばしお別れです。また会いに来ます……!

会計、そして合計金額は……


9,778円!

やった〜! いい感じに収まりました!

振り返り

夕影が1万円で買った本はコチラ!

嬉しくてキラキラつけちゃった


最初に読みたい本は「生殖記」。

特に買えて嬉しかったのは「遊郭・花柳界・ダンスホール・カフェーの近代史」と「台湾漫遊鉄道のふたり」。

よきよきな買い物ができました!

要するに、購入本に”バリエーション”が生まれるのでは?と期待しているわけです。

本記事冒頭より

こう書いたものの、結局、ジャンルはあまり変わらなかった気がします……(笑) 小説が多かったですね。

今振り返ると、謎解きとか、エッセイとか、普段は見ないけれどうっすら興味があるジャンルがポンポン浮かんできます。

まあ、普段よりも単行本の割合が高い(一気に4冊も買うことはあまりない)し、第1回としては上々の出来では!?


オンライン書店も便利ですけれど、実店舗を歩き回るのが最高に楽しいポイントでした。

またやりたい〜!

次回があれば、もっと衝動に任せて選びます!

今回は元々存在を認識していた本が多かったので、次は「完全に初見の本」をカゴに入れたい。

長くなってしまいましたが、最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

以上です。

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