【読書日記】僕は僕のままで


何度かnoteで書いてきたけれど

私は「クィア・アイ」という番組が大好き。


Netflixで配信されているアメリカのリアリティ番組で、

番組のホストは、インテリアや美容など、各分野のプロフェッショナルであり、

かつ、クィアだと自認している5人組。愛称は「ファブ5」。

彼らの助けを求めている依頼人、通称「ヒーロー」の元をファブ5が訪れて、

1週間で彼らの人生を変える、という内容だ。

(…とここまで書いてみたけど、こんな説明を読むよりとりあえず見てみてほしい!)



今回ご紹介する本「僕は僕のままで」は、

この番組のホストの1人で、ファッションを担当している

タン・フランスによる著書。

年始に読みます!宣言をしたうちの一冊でもある。



学ぶことはとにかくたくさんあったけれど、

特に心に響いたポイント2つを、ご紹介したい。


自分らしさを大切にすることは、苦難を乗り越える力になる


南アジア系という生い立ちやセクシュアリティによって受けた差別。

自分で選んだ進路での挫折。起業での成功と苦難。

そして実は馴染みが全くなかったというエンタメ界への挑戦と、

「アメリカらしさ」との葛藤。


波乱万丈の人生に、思わず読みながら圧倒されてしまったのだけれど、

一貫して彼が大切にしているのが、「自分らしくあること」だ。


タンには「自分らしく」逆境や苦難を受け止めて乗り越える、

そんな強さがあるんだと思う。

差別や不当な扱いは、ユーモアとほんのちょっとの意地悪さで跳ね返し。

挫折しても、自分の力を信じて、

自分らしさをより発揮できる場を求めて、思い切って舵を切る。

エンタメ界に飛び込んでからは、求められる「ショービジネスらしさ」に悩みながらも、

周りの助言を受けて、最終的には「自分らしい」振る舞いを大切にヒーローたちと向き合っていく。


番組を見ているとき、いつも印象的なのが

タンがヒーローたちのファッションについてアドバイスする様子だった。

意見ははっきり言うけれど、物腰柔らかだから角が立たないし、

ヒーローたちの話をじっくり聞いて、悲しみや痛みに寄り添いながら

「あなたは素晴らしい」「あなたは美しい」と真剣に言葉を投げかける。

そして何より、ヒーローたちが望まない服装は、絶対に無理強いしない。


なんでこんな振る舞いができるんだろう。といつも胸を打たれていたけれど

この本を読んだら、その理由が少し見えてきた気がする。


良いパートナーシップの秘訣は、対話と敬意


この本では、タンが最愛のパートナーであるロブとの関係について語る箇所がいくつもある。

ちょっぴり毒が効いた、でも愛情あふれるタンの語り口からは

2人のなんとも温かな関係性が感じられて、読んでいる私までとても幸せな気持ちになった。


その中でも、印象的だった箇所が2つある。


一つ目は、タンがロブとの関係において大事にしていることとして

「感謝の気持ちを忘れないこと」と「お互いの気持ちを尊重すること」と併せて、

「イヤなことはイヤとすぐに言うこと」をあげていたこと。

喧嘩をすることを恐れるのではなく、

ぶつかったとしてもお互いに話し合って修復できる土台を築いておく、という考え方が

すごく素敵だと思った。

自分とパートナーとの関係性にも活かせたらいいな。



2つ目は、実はロブとのエピソードではなく、

タンが以前付き合っていたパートナー・デイブとの別れについて語られた場面。


「君は昔の君とは違う。身なりに気を使わなくなった」

別れる時に、デイブが言ったこの言葉を、

タンは当時は認めることができなかったが、後々その通りだ、と思うようになったという。

当時を振り返って、タンは著書の中で、こう語っている。

僕たちはついつい、そばにいるのが当たり前の人に対して気を遣わなくなりがちになる。人生で大事な存在であるパートナーにだって、ちゃんとした姿を見せるべきなんだ。自分のだらけた姿を見せる相手にしてはいけない。たしかに、パートナーのため、わざわざよそ行きの顔を見せる義務はなく、自分がくつろいでいられることは大事だけど、相手に魅力を感じさせるような努力を怠ることとは話が違う。


確かに、「くつろぐ」と「だらける」は一見似ているようでやっぱり違うし、

「気を遣わない」のと「何も気にしない」もまた、同義ではない。

相手に対しても、自分に対しても、敬意を持つことは

良いパートナーシップには必要なことなのかもしれない。




というわけで随分長くなってしまったけれど、

クィアアイを見たことがある方にも、そうでない方にもおすすめの一冊。

そして見たことがない方にはこの機会にぜひ、ご覧いただきたい。






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Judy
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