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漫画みたいな毎日。「”かまくら”とは、秘密基地だ。」
12月までは、積雪量が多くなかったので、「今年はかまくら、作れなかったらどうしよう~!」と子どもたちから心配の声が上がった。
我が家でかまくら作りがはじまったのは、4、5年くらい前だっただろうか。
長男が通っていた幼稚園でスタッフが、大きなかまくらを作ってくれていたので、庭のある一軒家に引っ越したことから、「かまくらを作りたい!」と子どもたち、特に長男が、意気込んでいたのだ。毎年、何かしら穴を掘るのだが、長男の力だけでは、溶けて凍ってを繰り返した硬い雪を掘るのはなかなか難しい。
去年は、積雪量が少なくはなかったのだか、かまくらを作り始めるタイミングが少し遅く、思っていたよりも、掘り進められないまま、雪が溶け始め、かまくらの天井が崩れてしまい、終わったのだった。
そして、今年、長男は、しばしば夫に協力を要請しつつ、雪を積み、踏み固め、着実にかまくら建設の歩みを進めていった。
「第1かまくらから、作るから!」
・・・第1?
・・・っていうことは、第2もあるのか?
黙々と、淡々と、掘り進める長男。二男と夫と私は、中の雪を外に出す。
この、「掘った雪を外に出す」という作業が、実は重要だと思う。いくら掘っても、外に出さないと、空間は広くならず、掘り進めにくいのだ。
さらに、入口からどんどん奥に入ると、外に掘り出した雪を出すのがとても手間になる。入口も狭いので、ママさんダンプを中に入れることも出来ない。そこで、ソリに掘り出した雪を乗せて、順々に出していく。
夫も雪かきの合間に、仕事の合間に、事務仕事の合間にと、「手伝って~!」と招集がかかり、「やれやれ・・・」といいつつも、かなりの時間を割いてくれていた。
やはり、成人男性の力は大きく、あっという間に第一かまくらの奥まで掘り進み、翌日には、秘密の通路が出来上がっていた。
夫、スゴイ。
身長100センチ程の末娘が立って走れる程の高さのある通路だ。
その通路が、家の玄関に近い第2かまくらの出入口と繋がる予定とのことで、長男と二男は第2かまくら方面から掘り進める。
しばらくして・・・・
「光が透けて見えた~!!!!」
第1かまくらと第2かまくら、開通!
翌日。
長男は、また新たに穴を掘り始めていた。
どんだけ掘るんだろう?完成予想図とかあるのか?と思いつつ、聞いてみる。
「あと、どれくらい、かまくら作るの?」
「できるだけ、たくさん。」
・・・聞いたのが間違いだった。
長男が、掘り始めた第3かまくらは、除雪車が道をかき分けて行ったあとの塊の雪や、屋根から落とした重い雪を積み上げていた部分だったので、そうとう硬い場所だった。
「お父さん~手伝ってぇぇ~」と半分泣きが入っている長男を見かねて、手伝う夫。
「今日、雪かきと、かまくら作りしかしてない・・・。なんでだろう。」
自営業者である夫は、この時期、確定申告というものがある。日々の業務の事務処理も、月末の事務処理もある。それでも、なんとかかんとか、子どもたちの声を拾い上げてくれている。ありがたいことだ。
夫の力もあり、第3かまくらが、第1、第2かまくらを繋ぐ通路と無事に繋がった。
もはや、〈かまくら〉ではなく、〈潜伏秘密基地〉だ。
そして、昨日。矛先はついに母に。
「お母さん~第4かまくら手伝って~」
第4かまくらは、第1~第3かまくらとは、つながらず、単体のかまくらだ。
「雪が硬い~!」と嘆くので、手伝いに行く。
→せっせとせっせと雪を掘る。
→掘った雪をかまくらの外に出す。
→長男が、かまくらの上へと投げて積み重ねる。
→最初に戻る。
リピート。リピート。リピート。
2時間程、掘り続け、奥にはこれ以上進むと穴が開通してまうと長男が判断したので、一旦終了。
「次は、脇に広げられると思う。」
・・・まだ、掘るんですね。はい、わかりました。
なんだかんだと必死に掘り進め、掘り進めていたら、もっと掘ったほうがいいな、もうちょっとかな、と途中で止められなくなっている母を見て、「お母さんって、ホントにがんばり屋さんだよねぇ・・・。」と、長男が半分呆れたように、仕方ない人だなぁ、とでもいう様子で微笑んでいた。
どちらが大人かわからなくなってきたが、長男の素直な感想がなんだか可笑しかった。
日頃の運動不足解消になる、はず・・・・。
と、自分に言い聞かせ、せっせと穴を掘る。
そして、一日が終わる頃には、雪と格闘した大人の身体は疲れのピークを迎え、一刻も早く布団に横になりたいと思うのだ。
子どもの頃は、毎日、遊び尽くし、倒れるように布団に入っていた。
そんなことを思い出しながら、布団に横になった瞬間に、布団の柔らかさに安堵し、この上ない幸せの溜息が漏れるのである。
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二男、身長約120センチ。
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しゃがめば、余裕で通れます。
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飾られる二男。
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