学校に行かないという選択。「感じる数学と紅茶と、雨のキャンプ。⑥」
「感じるシリーズ」勝手にシリーズ化してきましたが、⑥にて、一度終わりにしたいと思っています。
数学に始まり、最後は、デザインについて感じたことを。
紅茶専門店・ルピシアは本社を東京・渋谷区から北海道ニセコ町に移した。
道の駅にも出店しており、紅茶だけではなく、お弁当やパン、お惣菜、アイス、ビールなどの販売を行っている。さらにレストラン、カフェ、ショップ、ミュージアムの複合施設も別の場所に構えている。
ルピシアの紅茶を見たことがある方であれば、一番に思う浮かぶのは、シルバーの丸い紅茶缶ではないだろうか。
缶の中央には、お茶の種類や季節、ブレンドのイメージに合わせたデザインが施されている。
〈紅茶を飲み終わったあとも、この缶をとっておきたい〉
そう思わせるのが、ルピシアの紅茶缶ではないだろうか。
子どもの頃、可愛らしいものや珍しいパッケージのお菓子の箱、綺麗な缶の中身がなくなるのをじっと待ち、「空になったらもらってもいい?」と何度も尋ねたことを思い出す。
缶の中に何かを入れることもあるけれど、何も入れず、その缶を持っているという喜びがあった。
ルピシアの紅茶缶はそんな記憶を呼び起こす。
感じる数学のワークショップ、雨の中のキャンプ、その帰り道に私たちは、ルピシアのレストラン、スイーツショップ、ミュージアムの複合施設「ヴィラ ルピシア」に立ち寄ることにした。
道の駅のカジュアルな雰囲気とは違い、やや高級感漂う建物。お店のあるその地域は、高級マンションやホテルなどが立ち並ぶ地域なので、そのような展開となったのだろうかと想像する。
買った飲み物やケーキをテラスで楽しむこともできる。リゾートを楽しんでいる様子のお客が数組いて、整った敷地と建物に、キャンプ帰りでややくたびれた感のある私たちは浮かないではなかったかもしれないが、まぁ、そんなこともある。
子どもたちは、すっかりルピシアに親近感を持ったようで、さっさとお店に入って見て回る。
パンやケーキ、チーズにビール、アイスにもちろんお茶も綺麗に並べられており、店内の一角には、Tシャツやポストカード、紅茶缶をモチーフにしたマグネットが置かれていた。
「あ、この缶の絵、みたことある!」
「自分ならこれがいいな」
「これも可愛い!」
子どもたちはマグネットのデザインを見比べて楽しんでいる。
店舗とは別にミュージアムも併設されているので、お店を出てそちらに向かう。ミュージアムは、この春にルピシアのデザインギャラリーとして新しくオープンしたばかり。
やや重たい扉を押して中に入ると・・・
「お茶の匂いがする!」
アロマのようにお茶の香りで出迎えられるギャラリー。
決して広くはないようだけれど、「ルピシア」という名前の由来から、ミュージアムの旅が始まる。
商品パッケージを元に再構築したポスターの展示は細かい部分のデザインをしっかりと目にすることができる。
そして、圧巻だったのは、歴代デザインラベル⽸の一部が展示されているコーナー。壁が丸く切り抜かれており、そこに丁度良く丸い缶が収まった様子は、美しい。
「これってどうやって収まってるの?」
子どもたちも興味津々。長男が触ってみると・・・くり抜かれた壁の部分の中央にはマグネットが入っていて、缶を取り外し出来るようになっていた。
触って良かったのかは、わからないけれど、駄目とも書いていなかったし・・・好奇心の勝利、ということで・・・笑 でも、駄目かも?と思っていたので、写真を取り忘れてしまった。こんな所で微妙に小心者?
季節や展示のコンセプトによって、缶の種類を簡単に入れ替えることができる設計、ということなのだろうか。今度行ったときは、そのあたりも詳しく聞いてみたい。
季節のパッケージデザインもお茶のイメージを壊すことなく、飲む前から、そのお茶の香りを誰もが想像できるように考えられているのだろう。
飲んだことがないお茶でも、缶や箱のデザインを観るだけで、ワクワクし、「飲んでみたい」と思わせる。
〈ルピシアのデザインは、あくまでもお茶が主役であることを前提とし、お茶のおいしさやその魅力を最大限引き立てるデザインを目指しています。〉
この一文が見事に形となっていることに、感動を覚える。
〈デザイン〉の語源とその意味合いが、ルピシアのデザインーパッケージ、本社の建築、どちらにも含まれている気がした。
正直に言うと、私はフレーバーティーが苦手だ。できれば、ストレートにその茶葉の味を感じたいので、香り付けされていることが邪魔に思えてしまうこともある。
でも、パッケージを見ていると、「どんな味かな?」と興味をそそられ、「贈り物にしたら喜ばれるかな。」という気持ちになる。
デザインの力
そんな言葉を感じたルピシアのミュージアムショップ。
デザイナーの方々は線一本、点ひとつ、一色一色、どこを足し、どこを差し引くか、どうしたら最大限の魅力が現れるのかを日々研鑽されているのだろう。
感じる数学、雨のキャンプ、紅茶缶や建物のデザイン・・・どの部分を感じ、自分の中に取り込んでいくのか。
どこを足し、どこを差し引くのか。
私は、私をデザインしていくことができる。
身に纏うもの、暮らしも、言葉も、人間関係も。
短くも様々なデザインを感じた二日間だった。
感じる
頭で考えるだけでは わからないこと
感じて 感じて
未来をデザインする
レストラン&デリ、ルピシアミュージアムのサイトはこちらから。
感じるシリーズ①~⑤はこちらから。
今日も読んでいただき、ありがとうございました!