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「そうだ、今日はお惣菜屋さんに寄って帰ろう」手描きイラストで伝える、あの街での暮らしと休日【#住んだら手帳 note便り インタビュー①】

こんにちは、「#住んだら手帳」 編集部です。

「おいしそうなイラスト」って、なんでしょう?

「おいしそうなイラスト」には写真とはちょっと違う、人が「描く」からこそ湧き出てくる魅力があります。イラストを見ているだけなのに、パンの焼き目からはバターの香りが、ココアの湯気からは甘いチョコレートの匂いがしてきます。

そんな「おいしい」の魅力を伝えるイラストレーターの一人、まるやまひとみさんのイラストに一目ぼれした編集部が一緒に企画したのが、『休日のお散歩日記』です。まるやまさんが実際にその街で一日を過ごして描かれたイラストからは、たっぷりの時間と想いが詰まっていることが伝わってきます。

今回はまるやまさんに#住んだら手帳の読者に届けたいことや、フードイラストレーターとして大切にしていることについて伺いました。

記事へのスキで、「あなたにおすすめの街」を紹介中。ぜひスキを押してみてください!

▼ #住んだら手帳の取り組みについては、下記をぜひご覧ください。


「暮らし」を想像して、その地に根付いたものを発信する

実際にその街で過ごし、丁寧に「休日のお散歩日記」を制作してくださるまるやまさん。街やスポットへの想いが詰まった作品です

――約2年半の間、『休日のお散歩日記』を一緒に作りあげてくださっているまるやまさん。#住んだら手帳にどんな想いをお持ちなのでしょうか?

私はもしその街に住んだら、通いたいと思ってくれるようなお店を紹介したいんです。

家は駅近で探す人が多いと思うんですけど、実際に住んだらもっと遠くまで歩いたりすることもあります。「そうだ、今日はお惣菜を買って帰りたいから商店街を通っていこう」とか。だから、そこでの暮らしを想像してお店を観察します。#住んだら手帳は20~30代の方が多く見てくださっているコンテンツなので、新しいお店も紹介したいと思っています。

――どれも本当に素敵なお店ですね。

ありがとうございます。
もし休日のお散歩日記を見て行きたいお店を見つけたら、実際に足を運んで「休日のお散歩日記を見て来ました」と、お店の方に言ってみてほしいです。お店の方も喜んでくれるでしょうし、私にとってもすごく励みになります。

――特に印象に残っているお店や街はありますか?

全部思い入れがあるので、どこかを選ぶのは難しいですね……。選ぶのがおこがましいくらい、全部が素敵な街なんです。どの街でもおすすめできるお店を紹介しているので、安心して行ってほしいです!

――そんな風に言っていただけると、編集部としてもありがたいです。まるやまさんはお店の方との関係性も大切にされていますよね。

仕事で取り上げたから終わり、ではなくて、ご縁を大切にしたいですね。

▼そんな「休日のお散歩日記 」の第一弾「高円寺」のイラスト。

「暮らしに彩りを与えてくれる街」というテーマの通り、一つひとつのモチーフのかわいらしさに、思わず見とれてしまいます。

あの街に住んだら、どんな休日を過ごしたい?

――『休日のお散歩日記』のイラストを描かれるとき、どんなことを意識していますか?

休日のお出かけって聞くと遠出を思い浮かべる人も多いかと思いますが、近所をお散歩するのもひとつの楽しみ方ですよね。まずは私がその街を好きになって、ここに"住んだら"どうやって過ごそう、と想像を巡らせて描いています。

Instagramはハッシュタグで検索する人も多いので、なるべくクリスマスとかお花見とか、季節に合わせたハッシュタグが付けられるテーマを取り上げるようにしています。SNSなので、まずは見てもらうきっかけを作ることも大切だと思うんです。

――Instagramの検索でお出かけスポットを探す人も多いですもんね。

そうですね。
でもきっかけを意識し過ぎると、今度は観光ガイドっぽくなってしまうんです。読者には「そこに住んだら何をしたいか」を想像してほしいので、地元の人が通いたくなるようなお店や、暮らしにまつわるものを売っているお店を選ぶようにしていますね。

『休日のお散歩日記』は、イラストマップなど他の#住んだら手帳の投稿よりもページ数が多いので、その街を代表する有名な場所だけでなく、地域に根付いたお店なども取り上げるようにしています。

――読者にお店を紹介するにあたって、やはりよく知っている街を取り上げることが多いのでしょうか?

それもありますけど、あまりなじみのない街ももちろん取り上げます。そういうときは、その街の好きなところを思い浮かべますね。あの街に行ったら、どこで何をしたいか……? 読者もわくわくした気持ちで考えたいですよね。私がその街を好きでいることで、読者も「住んだら」が想像しやすくなるんじゃないかと思うんです。

手描きだからこそ表現できる「おいしいは楽しい!」

――『休日のお散歩日記』のイラストを手がけるうえで、特にどんな部分にこだわっていますか?

多くの人がスマホで見てくださっていると思うので、絵に強弱をつけるようにしています。飲食店であればメイン料理をどんと出す、雑貨屋であればそのお店の個性が光るものを取り上げるなど、イラストにするモチーフは一つひとつお店の方に伺いながら選んでいます。

――お店の方もこだわりがあるものを取り上げてくれたら、嬉しいですよね。

そうなんです。
お店の方にも、「人気のアイテムはこれだけど、私はあれが好き」といったそれぞれの想いがあります。Instagram上で簡単に見つけられるものよりも、そういった誰かのこだわりがあるものを深掘りして取り上げるようにしています。

――それでは『休日のお散歩日記』に登場するお気に入りのアイテムを教えてください。

はい! 今まで企画で実際に足を運んだ場所のアイテムをいくつか持ってきました。

左から①御朱印帳、②川越いもみくじ、③ジェットストリームのボールペン、④木彫りの熊

①「桜神宮」 御朱印帳(桜新町)
色合いが桜神宮らしいなと思って買いました。桜神宮はもちろん、その他にもさまざまな御朱印を集めています。行く先々でこんなに個性豊かな御朱印があるんだって気が付きましたし、旅先での楽しみがひとつ増えました。街歩きが、そういうきっかけになるのがいいですね。

▼「御朱印帳」は、下記の1ページ目をチェック

②「川越氷川神社」川越いもみくじ(川越)
これ、実は手作りなんですよ!  国内外から訪れる人たちに満足してもらえるように、1個ずつ丁寧に作られているんです。そういう素朴さや一生懸命さに惹かれて買いました。

▼「川越いもみくじ」は、下記の1枚目をチェック

③ジェットストリームのボールペン(大宮)
私、ジェットストリームが大好きなんです。トラベラーズノートと一緒にずっと愛用しています。これは鉄道博物館限定のもので、鉄道のイラストが入っているのがかっこいいです。

▼「ジェットストリーム」は、下記の2ページ目をチェック

④「白と熊 藝品」木彫りの熊(大船)
北海道出身のご主人がご夫婦で営んでいらっしゃる雑貨店で購入しました。それぞれの出身地や思い入れのある場所のものに触れると、こちらも旅をしている気分になれるんです。

▼「木彫りの熊」は、下記の2ページ目をチェック

――そんなまるやまさんが、イラストを通じて最も伝えたいことはなんでしょうか?

「おいしいは楽しい!」ということです。
「おいしい」っていうのは、単に味覚の話だけでなく、その周りにあること――カウンター席でお店の方とお話したり、出てきた器を目で楽しんだり――そういった発見を楽しむこと。

私が描いているものって、どれも「人」が関わっているものなんです。工場生産のものでも、それは同じ。そういったアナログのものを、手描きというアナログの表現で返していきたいです。

――まるやまさんのイラストからはそういった想いも伝わってきますね。

ありがとうございます。
私にとって「食」は、楽しいものであることが大切です。描くときは焼き目とか、実際に食べてみて美味しかった部分をある意味、誇張するようにしています。

だから私の絵は、実際に食べてからでないと描けないんです。写真は食べる前に撮りますが、実際に五感で感じた部分を強調して描けるのは、イラストならではだと思います。読者の皆さんには、私が描いたものから想像を広げて、実際に見て、味わって、楽しんでほしいですね。

心に残った「おいしい」は、普段からイラストで記録しているそう

『休日のお散歩日記』を手がけるイラストレーターとして

――『休日のお散歩日記』を担当するなかで、嬉しかった読者からのお声などはありますか?

やっぱり紹介したお店に行ってくださると、すごく嬉しいですね。「このお店に行きました」という声をいただくと、ちゃんと見てくれてるんだって思います。あとは、コメントやいいねが付くだけでも嬉しいです。

――読者の反応が直接見られるのは、SNSのいいところですね。

そうですね。でもやっぱり、直接お声掛けいただくのが一番嬉しいです。私自身がリアルな声を発信しているからこそ、読者からもリアルな声をいただけるんだなと思います。

――今後挑戦してみたいことはありますか?

今は首都圏を中心に描いていますが、そのうち全国でやってみたいです。最近では、旅行で魅力を感じたからその土地に住むかたちでの移住なども増えてきていますし、それこそ「住んだら」ですよね!

――いろいろなエリアが取り上げられるよう我々も頑張ります! では最後に、イラストレーターとしての意気込みを教えてください。

2025年でイラストレーターになって10年目を迎えます。その節目として、改めて土台をしっかり作るのが目標です。どんなプロでもやったことがないことはゼロからのスタートなので、「初心忘るべからず」で続けていきたいですね。

2025年、イラストレーターとして10年目の節目を迎えるにあたり、これまでの作品を振り返るまるやまさん

実は2024年12月6日(金)~25日(水)で個展を開くのですが、場所をお貸りしている「Coffee and Baked Ura」さんも、以前に取材をしたことがあるお店の方とお知り合いだったんです。いろんなお店に足を運ぶと、そんな不思議なつながりがあることを改めて実感しますね。

2024年12月6日(金)~25日(水) 「Coffee and Baked Ura」(最寄り駅:東急東横線 東白楽駅)にて開催

――クリスマスらしくて素敵な個展ですね!

はい、今回はせっかくなのでクリスマスっぽいことをしたくて。イラストでもスパイスを使ったお菓子をテーマに、冬にまつわるものを取り上げています。お店で焼いているキャロットケーキなどもおいしいですよ。

特別掲載:あのレアチーズケーキのイラストを描いてもらいました!

――今回は初のnoteインタビュー企画ということで、特別に西洋菓子店「しろたえ」さんのレアチーズケーキをお持ちしました。ぜひ、イラストを描いていただけないでしょうか ……?

よろこんで! じっくり味わって食べさせていただきますね。

箱の中になんとも上品に収まっているレアチーズケーキ。箱を開けた瞬間、「しろたえさん!」と喜ぶさすがのまるやまさんでした

そして、出来上がったイラストが……。

チーズのきらめきと、ビスケットのザクザク感が伝わる一枚

「私の絵は食べてからでないと描けない」と語ったまるやまさん。見るだけで味覚をそそるレアチーズケーキを、「新雪のようなチーズと舞い落ちる葉のようなピスタチオ」と表現するまるやまさんの言葉にも惹きつけられます。ただおいしいだけでなく、食べることで生まれる幸せがイラスト越しにも伝わってきますね。

お休みの日、ふと入った近所のお店で大好きな味に出会えたり、お店の方と新たな関係性が築けたり。ぜひ、まるやまさんのイラストから、その街に「住んだら」できる休日の過ごし方のヒントを得てくださいね。

▼まるやまさん作『休日のお散歩日記(二子玉川)』の投稿はこちらから!

illustrations by まるやまひとみ(@ma_ru_co)

*この投稿は2024年12月20日時点での情報をもとに作成しております

▼「手描きイラストで楽しむ、クリスマス特集」の記事には、まるやまさんのイラストも登場! ぜひあわせてご覧ください

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