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【書評】武器としての交渉思考/瀧本哲史
評価点:4.5点 / 5点中
おすすめな人:社会人全般
要約
交渉時に、①パトナをもつこと、②アンカリングと譲歩を使いこなすこと、③相手のニーズを分析し双方にメリットのある案に落とし込むこと、を交渉思考として挙げる。
パトナ(代替案)は著者が主張するコモディティにならないためのまず一歩であり、パトナを持ちながら具体的な交渉術としてアンカリングと譲歩が重要と説く。
交渉とはコミュニケーションであり、最終的にはどちらか一方のBigWinでなく持続可能な関係を築くためのWin-Winの着地を目指す。
学びと共感
パトナとアンカリングの重要性を再確認した。常にビジネスでもプランBを考えて備えるようにしているが、交渉でも同様、常に決裂した時の代替案を良い条件で用意しておくことが事業成功の継続性を担保することにつながる。またアンカリングは旅行で苦い記憶とともに改めてその効果が呼び起された。現実的かつ説明できる範囲で高い条件を伝えることでプロでさえも引きずられる技術である。
概要(ネタばれあり)
大切なのはロマンとソロバン
・お金は資本主義社会で生きる上で「自由の範囲」が大きく変わる
・相手を動かすために具体的なメリットを提示する
・若いうちはロマンよりソロバンを優先させる。ロマンには夢バイアスがかかり本質からそれる
交渉はコミュニケーション
双方の利害を分析すると両者のニーズを満たす答えが出てきうる。そのため聞くことが重要
重要なのは相手のメリットを実現すること。そのうえで自分のメリットも得る
パトナ(代替案)が大事
パトナは交渉時にそれより良い条件じゃないと合意しないと言える他の選択肢
交渉は決裂時に双方にどういう選択肢が残っているかで決まる
交渉が決裂したときに相手がどうなるかを考える
相手のパトナを見極めるためにたくさん聞きたくさん提案する
自分のパトナが良いほど交渉力が高くなる。絶えず見直すべき
交渉がはじまったら自分のパトナは変えられないので準備が8割
自分のパトナを相手に悟らせないことが重要
かつ「相手に自分のパトナがどう認識されているか」を把握しコントロールすることも重要
ポーカーと同じ心理戦相手が自分のパトナを認識していない時は適切に誘導する
交渉時は自身を「代理人」人格として切り離して交渉する
「交渉する人」「分析する人」「意思決定する人」にわける強いのは相手を冷静に分析し適切な時に有効なカードを切れる人
アンカリングと譲歩を使いこなす
アンカリングとは最初の提示条件で相手の認識をコントロールすること
アンカリングはできるだけ高い目標・条件で行いつつ
①高い目標、②現実的、③説明が可能、の3条件を満たす必要がある相手から提示された時はアンカリングされないよう常に疑う。一切無視でもOK
疑ってかかられないよう暴利をむさぼらないことがビジネスの継続につながる
譲歩とは、自分の条件の一部を諦める、ないし相手にとって別の付加価値をつけること
①無条件の譲歩はしない、②相手にとって価値が高いが自分には低いものを譲歩する、③いろいろな条件付譲歩案を提示し相手の判断基準を知る、の3要素が大事
相手が譲歩した時はメッセージ。即断せず、まず背景を分析する。
新たな譲歩を引き出したり譲歩の満足度を高めるため、譲歩はもったいつける
非合理な人間と交渉する
大きく分けて6タイプ
①価値理解と共感を求める人:相手の価値観に合わせる、共通敵をつくり共犯関係に
②ラポール(信頼関係)を重視する人:好きになる、スモールギフト、共通項をみつける、共通作業
③自律的決定にこだわる人:リテラシーが高ければメリデメ提示。低ければメリットのみ提示
④重要感を重んじる人:反応速度を高める
⑤ランク主義者:すごい人をこちらのメンバーにする
⑥動物的な反応をする人:スルーする複数メンバーで交渉する際は、①アウトプット、②ドレスコード、③NGワード、を認識あわせ
相手の価値観は変えられない。冷静に分析しその価値観にあわせていく
最後に
ビジョンに社会的意義があり、実現できる力を証明すれば、実績がなくても人は動かせる
交渉により小さなネットワークを築いていけば道になる