パスワードはストロガノフじゃない
言語ビッグバン講座の2日目、私はフォーラムにこんな投稿をした。
2021年 08月 5日(Thursday) 16:14 -
DeepL で英語のジョークを訳してみました。
原文はこれ→
Apparently, you can’t use beef stew as a password. It’s not stroganoff.
すぐ吹きだした人は英語上級者です。
でも、これ、言葉遊びなので翻訳は難しいというかほぼ不可能。
DeepL の日本語訳はこれ→
ビーフシチューをパスワードにしてはいけないらしいです。
ストロガノフじゃないんだから。
「じゃないんだから」という表現、なかなかいいと思うのですが、やっぱりジョークになってません。いきなりDeepLをディスってしまいましたが、今はまだこれが限界みたいです。
私の投稿を読んで、一生懸命考えたけどジョークのキモはとうとうわからなかったという人もいた。
でも、3時間後に、運営チームのリーダー田原真人さんからは、
2021年 08月 5日(Thursday) 19:30 -
strong enough って、ようやく気付きました。
と返信があった。
さすがは参加型社会の提唱者でありデジタルファシリテーターである。
AI翻訳には気付けなかったことに田原さんは、ちゃんと気付いた。
私はこう返信した。
2021年 08月 5日(Thursday) 22:46 -
正解です。たいへんよくできました!
Apparently you can't use beef stew as a password.
( It's not strong enough. )
It's not stroganoff.
パスワードの「強度がじゅうぶん」という意味の strong enough の音が stroganoff と発音が似ているので、It's not stroganoff という pun 駄洒落になる。
英語がじゅうぶんできる人は原文を読んで吹き出すけれど、AI 翻訳 DeepL が出した日本語訳「ストロガノフじゃないんだから」を読んでも全然面白くない、ということ。誤訳ではないが、ジョークにはなっていない。
海外ドラマや映画でこの手の駄洒落ジョークが使われている時、字幕翻訳ではまったく別のジョークを創作して当てはめる。たとえば、
- You can't use beef stew as a password.
- Why?
- It's not stroganoff!
- Hahahaha...
「パスワードの強度、最強にしたのね」
「なんできくの?」
「付箋に書いたヤツ、貼り付けたままよ」
「うわーっ」
・・・みたいに。
この創作は、 DeepL にはまだできない。
*記事中に引用した DeepL の翻訳は 2021年8月当時のものです。DeepL は日々進化中のため、現在は結果が異なる訳が表示される場合もあります。