”便利”と”意味”について考える。『世界観をつくる 「感性×知性」の仕事術』
本日はこちら、『世界観をつくる 「感性×知性」の仕事術』について紹介したいと思います。
”くまモン”や”中川政七商店”などの高度なブランディング戦略を手掛けたことで知られるクリエイティブディレクター水野学氏と、
”武器になる哲学”などいくつもの書籍を出版し、イノベーション、組織開発、リーダーシップ育成の専門家でもある著述家山口周氏による
働きかたについての白熱の対談です。
ディズニーランドやapple、家電ブランドのバルミューダ…
そういったものには一連の世界観、ブランド力がありますよね。
でも、世界観ってなんだろう?ブランドって一体なんだろう?
なんとなく言葉は知っているけれど、その本質はよくわからない。
この本ではそういった世界観やブランドをテーマにした対談を通じて、
これからの仕事について考えを巡らせています。
それでは解説していきます!
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対談では、今私たちが働いているなかで抱えている課題として、「正解」の供給が過剰になっていることを挙げています。
考えてみると、わからないことがあっても今ならほとんどのことはインターネットで調べればすぐわかります。
家電ひとつみたって、どの冷蔵庫をみてもそれほど性能も見た目も変わらないですよね。
こうなってくると、ただ物知りなだけの人や、他と同じで突出したものがないものには魅力がなくなっていきます。
その一方で、足りないものは何かというと「問題」を生み出す力だというのです。
ひとがほんとうは一体なにを欲しがっているのか?
そういった問題を認識する力がこれからの仕事には必要だと、対談では語っています。
問題を見つけることが大事、こういうこと自体はよく聞く話なのですが、「正解」とは何か、「問題」とは何か?をあるアプローチで突き詰めていったところに本書の魅力があります。
そのアプローチ手法について次に説明していきたいと思います。
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本書のアプローチでは
「正解」=便利であること
「問題」=意味のあること
としてとらえています。
ここで言う便利とは、パフォーマンスを数値で計測可能で直線的であることです。例えば、電卓だったら計算するのにかかるスピードだったり、パソコンだったらメモリの大きさだったり、早ければよい大きければよい、と間違いなく言えるものです。
便利である、というのは非常に熾烈な争いのなかにあるものです。
googleで検索する人に比べて、bingで検索する人はほとんどいません。
便利なものは1位総どりのビジネスなのです。
一方で、ここで言う意味とは、評価が複雑であることです。
例えば、あなたにとって理想のパン屋さんとはなんでしょうか。
ぼくが考える理想のパン屋とは、
出来立てのパンを提供してくれること。
食パンのサイズは5枚切りであること。
バゲットも置いてあること、
家から近いこと…、
そしてなによりコロッケパンが置いてあること。
ひとつだけ欠けても理想ではないように、
その人にとって意味があることというのはとても複雑なことなのです。
複数の選択肢があるなかで何を選ぶか、何を選ばないか、
そういったものの総合で勝負することで多くの人の共感を得ることが出来る…それが本書の言うところの意味のあるビジネスモデルです。
これから先、わたしたちは便利なものをつくり続けるのをやめて、意味のあるものをつくることにシフトしなければ国際競争に取り残されていきます。
思えば、ディズニーランドが役に立つのか?
他のスマホと比べると異様に高いiphoneのデザインが役に立つのか?
というのは非常に怪しいものですが、
それでも私たちはそれぞれのものに惹かれます。
それは、そのもののもつ世界観やブランドに
惹かれたからにほかなりません。
世界観とは何か?ブランドとは何か?
それに対するひとつの答えとして、本書では意味のあることを追求した結果が世界観であり、ブランドである、と説明しています。
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この本を読んで、ぼくは身近なものの中の便利と意味について
とても考えさせられました。
例えば、ぼくのライフスタイルのなかで、
ハンドドリップでコーヒーをつくることが挙げられます。
自分に好みの豆を選んで、
選んだコーヒーをスプーンで大体2杯分とったら、
コーヒーミルで豆を挽く。
ドリッパーにペーパーフィルタをのせて、丁寧にたたんだら、
ほどよくこなごなになったコーヒー豆をのせて平らにする。
そこに90℃くらいに温めたお湯を30ccくらい入れて30秒。
そうして、いい香りが部屋に充満してきたら、
くるくると、円を描くようにゆっくりお湯を足して大体200cc。
ぽたぽたと、零れるように。
ハンドドリップコーヒーの出来上がりです。
これは、ぼくの毎朝の習慣です。
(シュークリームは毎朝は食べませんが笑)
一時期はコーヒーマシンを購入することも考えましたが、
ぐっと考えて結局やめることにしました。
その時気づいたのですが、
ぼくはコーヒーを淹れるときのゆっくりした一時が何よりも好きなのです。
コーヒーマシンではなく、
ハンドドリップでコーヒーを淹れることを選択したこと
この選択そのものが、いい悪いではなく、ぼくの世界観なのです。
それが一貫してブレないものになっていればなっているほど、
大きなブランド力になるのですね。
自分というものをひとつのブランドとして考えたとき、
ブランドを確立するうえでも、この考え方はとても参考になるものでした。
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不便なことのなかにも価値はある、
それに気づかせてくれただけでも本書には一読の価値があります。
自分にとって大切なものを見つめなおすきっかけとして、
一度手にとってみてはいかがでしょうか。
それは、これからの働き方を考える上でもきっと役に立つと思います。
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2020/05/27 sumi__
そういえば、ハッシュタグになにをつけるかも世界観のひとつですね。
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