#141雑煮と地方性
先日、朝日新聞Podcastで、奈良県出身の記者が奈良の方言や習慣などの話をされている回を聞いていて、ふと著者の実家の風習と重なるなと思わされたことがありました。今回は正月の風習の話をしてみたいと思います。
著者の実家は大阪府下なので、白みそに丸餅の雑煮を子供のころから正月に食べていました。農林水産省の「全国のいろいろな雑煮」に丸餅、角餅(切り餅)あるいはすまし汁、みそ仕立ての概ねの範囲を記した地図と共に、代表的な雑煮を紹介しています。見ているだけで楽しくなるので、ぜひ下記のリンクからご覧ください。
現在の著者の家では、妻の家の雑煮がすまし汁に丸餅であったので、それを踏襲して正月に食べています。妻の実家は兵庫県なので、先の農林水産省のサイトにある地図ではみそ仕立ての範囲に入っていますが、どういういわれがあるのかは不明ですが、妻の実家ではずっとすまし汁だったそうです。
しかし、最近妻が白みその雑煮を外で食べておいしかったらしく、何年か前からは著者の家では、すまし汁と白みそ仕立ての雑煮を、元日と二日に分けて食べるようになりました。
朝日新聞Podcastの中でも奈良県出身の記者が「白みそに丸餅の雑煮」と発言しておりますが、続けて「雑煮の中の餅を取り出してきなこにまぶして食べる」と発言しておりました。これを聞いて著者も子供のころにそのようにしていたなと思い出しました。これは単に親が子供に餅を食べやすくするためにしていたものだと思い込んでいたのですが、どうやら奈良の習慣だったようです。というのも、母方の祖母が奈良県吉野郡の出身で、結婚後に大阪に出て来たという人で、その祖母の習慣を母が引き継いでいた、ということだったようです。
この雑煮の話を聞いて奈良との関係に気付いた時に、大学時代に同級生に通じなかった言葉があったことを思い出しました。
学食で同級生たちとコーヒーを飲んでいる時に、コーヒーカップの底に砂糖が沈殿している状態を指して、著者は「コーヒーに砂糖が”とごって”いる」と発言して、周りの同級生に全く理解してもらえなかったことがありました。あとで調べてみて判ったこととして、沈殿するということを指す「とごる」という言葉が奈良県の方言であることが判りました。
今回の「雑煮の中の餅を取り出してきなこにまぶして食べる」という行為や「とごる」という方言についても、知らず知らず継承している家の習慣、地域性、母や祖母の慣習があったんだなと、朝日新聞Podcastを聞いて改めて気づかされました。