福生にある、ハウスの喫茶店(3)
ハウスを改造した店の多くは、国道16号沿いにある。しかし今回ぼくが訪れたのは、その国道から一つずれた、一般道にあるお店。
これが、16号から1本ずれた道。この道沿いにも、ぽつりぽつりとだが店がある。
この道沿いに喫茶店の案内が小さく出ていて、敷地に入るとハウスがいくつか建っていた。そのうちの一軒が『Dー13』という喫茶店。正確に店名を書くと、『CAFE Dー13、ときどき五味食堂』さん。長くひねった店名で、老舗ではないと分かる。
このDー13というのは、この周囲にあるハウスの番号だろう。ホームページによると、このお店の住所が「福生市福生2219 Dー13」とある(福生市は今もって住居表示ではなく地番なのだ)。五味食堂というのは、どういう意味だろう。苗字が「五味」さんなのか、それとも「5つの味覚」から採ったのだろうか。
ハウスの中には当然仕切りがあり、1つがカウンターと調理場、もう2つの部屋がお客さんの席になっている。2つのうちの1つにはカウンター席もあるが、もう一方の部屋に入った。
ここに座って、メニューからコーヒーを頼む。カレーもウリのお店なのだが、お腹がすいていなったので飲み物だけにした。
ここでぼんやりすごすだけでも、お金を払いたいくらい。気持ちがしずまるぜいたくな時間。そこにコーヒーがやってきて、いい香りも漂う。どうせならエスプレッソにすればよかったと、窓の外を見ながら思う。
平日の夕方ということも、よかった。薄暗く、だれもいない店内。落ち着くなと言われても落ち着いてしまう。
メニューには、焼き菓子もプリンもゼリーもある。今度はお昼ご飯を食べに伺おうと思った。
日が落ちかかった通りを、福生駅へと向かう。この辺りには以前、『ボロン亭』という有名な喫茶店があり、子どもの頃親戚のおばさんによく連れてきてもらった。小さくてコーヒーが飲めず、いつもバナナジュースを頼んでいた。美味しいが、氷が入ってとても少ないバナナジュースだったことを覚えている。
福生駅に着く。ちょうど電車が行ってしまったところだったので、
待つのも面倒だったので、ひょいと貨物に飛び乗った。
拝島に着くころには、全身石灰で真っ白。やれやれだ。
……ということはせず、次の青梅線立川行きで帰ったのだった。
(おわり)