【時を刻む】自己紹介その4 設計事務所からの卒業とメンターとの出会い
設計事務所からの卒業
さて、前回の自己紹介その3では、設計事務所にて尊敬をしていた上司が急逝するところまでを書いた。それが理由という訳ではないが、12年間という時を振り返り、どことなく「時代の転換期」も感じ、日本一の設計事務所を退職すると決めた。今、その退職の理由はなんだったのか?と、改めて振り返る。
1つ目は、やはり憧れる上司の不在。唯一無二の「スゴイ人」を見てしまうと、他者と比較してしまい、憧れの存在を失った消失感が強かった。「マネジメントに強い人」「設計技術がスゴイ人」「デザインが上手い人」という特徴のある先輩方は山ほどいる。しかし、急逝した上司の持っていた「バランス感覚の良い超統合型マネジメントリーダーシップ兼建築デザイナー」はいなかった。そう、この組織で目指すべき人がいないと感じたのが大きかったかもしれない。
2つ目は、設計事務所に対する違和感。メーカー・建設会社さんに会うと、設計者は「先生、先生。」と言われる。これは古くからの慣習だと思うのだが、私自身、一級建築士は持っているが「先生ではない」と思っていた。そして、建築家が独自に私的行為のような表現として、自ら設計した建物を「作品」という言葉に強烈な違和感を持っていた。この話は、様々な意見があるので割愛する。
そして、最後の3つ目は、設計事務所ではこれから始まりそうな不確実な新しい時代に対応する「柔軟性・創造性・事業性」に対する提案力を学べそうにない。と感じたことが大きい。
目の前の課題は、創造性や働き方、生産性の向上という。それらは極論、建築だけで解決できる問題ではない。なぜなら、人それぞれの問題だから。場はその行為を支援する機能でしかなく、その人の根本的意欲の一部でしかない。その背後には、その所属する組織の制度設計や報酬設計、プロセスデザインがあり、さらに、個人の事情や性格など、場以外のさまざまな要因が重なっているからだ。
そんな提案力を学ぶにはどうすれば良いのだろうかと、モヤモヤと考え始めていた。
PMCM会社への転職
そんな中、いくつかの転職エージェントと会話を始めた。非常に面白かったのは、自分の経歴やキャリア、個人的な性格や特徴を客観的に整理することができたこと。自分自身が、どうも人と大きな違いがあることに気が付かされた。「あなたは実を取り、生きる人だ」と、いうことだった。
「実?」と、思うかもしれないが、「み」ではなく「じつ」。「名を捨てて、実をとる」の言葉の通り、日本一の企業(名声)を捨てても、自分の実力として必要な要素(実)を獲得するため転職をしたい。と、思っていること自体が珍しいようだった。
その頃、建設業界ではPMCMという言葉が出てくるようになっていた。「PMCM=プロジェクトマネジメント、コンストラクションマネジメント」の略称であるが、「コスト・品質・スケジュール」をマネジメントしながら設計推進を管理しようとする動きが強まっていた。むしろ、今頃?という感じだが、高度経済成長時代に蔓延ったどんぶり勘定終焉の気配がそこにはあった。
そして、縁あって、明豊ファシリティワークス(PMCM会社)への転職が決まり、事業開発を推進することになる。さまざまな土地のオーナーに土地活用の提案や新規PMCM案件の開拓を推進し、さまざまなクライアントに提案を繰り返し、案件受注していく仕事はやり甲斐もあり、楽しく仕事をすることができた。しかし正直、そこにあるものは設計事務所のスキルの応用でしかなく、私が身につけたい要素ではなかった。
メンターとの出会い
その頃から、私にはメンターができた。年上の異色経営者である。彼とはこの転職に関わる中で出会い、コミュニケーションやファシリテーションの技術、メンタルケアやフィジカルケアなど、さまざまなアプローチにおけるセルフマネジメントのやり方を教わった。同時に、自らのキャリアデザインについてもメンタリングしていただくようになっていた。
そのメンタリングは、多岐にわたり、「1.学び・自己啓発/2.遊び・余暇/3.人間関係/4.家族・友人/5.身体・健康/6.お金・経済/7.仕事・キャリア/8.環境(家、職場)」の8項目に対して、現状の理解とこれからの方向性や行動指針について、議論をさせていただく機会であった。この時間は、非常に重要な時間で「短期的な視点、長期的な視点」との両輪があることで、今日の行動が遠くの未来に繋がり、変化したとしても「軸が変わらない」という自分自身の準備をする良い機会になった。
そんなメンタリングの最中、メンターから、「杉ちゃん(メンターは私をそう呼ぶ)、PwCコンサルティングという会社で、杉ちゃんに適したチャレンジできる環境があるのだけどやってみない?」と転職のお話をいただいた。「PwCコンサルティング?」と、ふと、畑違いの香りを感じつつ、「ん?聞いたことはあるけど、そもそも、なんの会社だっけ?」とホームページを見ると…そのサービスや事業内容がほとんど理解できず、カタカナ横文字のビジネス用語満載のホームページだった。しかし、そのTOPページで、目に止まる言葉を見つけた。
「Our Purpose=社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」
「信頼を構築し、重要な課題を解決する」
設計事務所、PMCM会社と建築、設計、建設のこれまでの知見を活かして、重要な課題を解決する。どことなくしっくりくる言葉に、モヤモヤしていた同業界での横展転職ではなく、全く新しいフィールドでのスキルアップやチャレンジができそうな環境があるのでは?ということで、そのメンターからの申し入れを受け入れることに。
あなたには今、メンターはいますか?
次回の自己紹介その5は、大手コンサルティングファームへの転職、その中での設計業界とは全く異なる世界線。「論理的思考力、問題解決能力、マネジメント能力、コミュニケーションスキル、対話力(質問力、傾聴力)、プレゼンテーションスキル、精神的なタフさ」それらスキルアップへのコンサル戦場の現場について。お楽しみに!
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