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演劇感想

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演劇関連の感想まとめです。
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鄭義信 『てなもんや三文オペラ』 再生産される女性性,隠蔽される天皇制

生田斗真にウエンツ瑛士,渡辺いっけい,福井晶一……数多豪華なキャストを取りそろえて幕を上げた『てなもんや三文オペラ』は,コロナや地震などのアクシデントこそあれ,演目自体は今のところ成功を収めたと言えそうだ。私が観た回はほぼ全員総立ちのスタンディングオベーションで,割れるような拍手の音が渋谷パルコの空間を埋め尽くしていた。拍手のすきまを縫うようにして,前後の席からはすすり泣きの声が漏れていた。 実際役者の演技はよかったし,「吉本新喜劇っぽい」と評される種々のコメディシーンもわり

2021年 演劇感想リスト

一年が終わる。日記には「FUCK YOU」とだけ書かれたページが複数ある。研究も就活もなにも進んでいない身でこんな記事を書いているのは明らかにおかしいのだが(注:それらは本当になにも進んでいない),わたしは人生をなめているし,実際どうにかなるだろうと無根拠な確信を抱いている。 改めて羅列すると観劇数のすくなさが丸わかりだ。こんな程度でなにを語るつもりなのか? しかも書き溜めていたメモがすべて消えてしまったので,今ふりかえる限りでしか感想が書けない。感想は計画的に。 なお,

加藤健一事務所 『プレッシャー』 ☆9 不十分さを抱きしめる

君! いまから3日後の天気を教えてほしい。晴天か,嵐か。なにを使っても構わない。君にしか頼めないんだ。教えてくれるまで,家には帰らせないよ。 あなたはどうするだろうか。 スマホで調べる? ぶん殴って逃げる? 直前までわからないよと答える? 残念ながら,どれも不可能だ。 ここは1944年,第二次世界大戦まっただ中のイングランドで,あなたは作戦本部に呼びつけられた気象学者スタッグ博士で,あなたの決断が作戦の――兵員15万人,航空機2万機,車両14,000台,戦艦6隻,戦闘

新国立劇場 『リチャード二世』 ☆7 笑いを作る男,破る男

人生で二度目の『リチャード二世』を観てきた。 五年ぶりゆえ話をほとんど忘れており,前日にあわてて戯曲を流し読みした。結局読みきれなかったが,演出はきわめてスタンダードかつわかりやすく,おそらく未読でも問題なく楽しめたろうと思う。 本作は,愚かな君主であるリチャード二世が,王位という栄華の頂点から一転して奈落の底まで転げ落ちていくお話だ。 史実の彼はわずか十歳にして王座につくと,六年後には親政――君主みずから政治を行うこと――をはじめる。しかし外交は失敗がつづき,側近に金

『リア王』 & 徹底勉強会 ☆10 シェイクスピアの最高傑作

東大前期教養でいちばん面白い授業は河合祥一郎先生の「演劇論」でした。主軸は『ハムレット』で,エリザベス朝の演劇について簡単に学んだら,あとはひたすらハムレットの勉強をします。 映画やドラマの「リアル」な演技に慣れていた私は,はじめて舞台で『ジュリアス・シーザー』や『ハムレット』を観たとき,どのキャラも妙にベラベラと長ゼリフをまくしたてるのに困惑しました。ぜんぜん「リアル」なお芝居ではないんです。おまけに難しいことばが多く,先んじて台本を読んでおかないとなにを言っているのかまる