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短編小説から見る社会

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菅原ゼミで読んだ短編小説の書評を順次掲載していきます。書評は全てゼミ生が書いています。授業期間中の毎週末ごろ更新です。  ※ネタバレありですので気になる方はお気をつけください。
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#安岡章太郎

安岡章太郎「悪い仲間」書評(2)(評者:高瀬晴基)

安岡章太郎「悪い仲間」書評(2)(評者:高瀬晴基)

安岡章太郎「悪い仲間」書評(『群像短篇名作選 1946〜1969』収録)

評者:高瀬晴基

 素行不良、血行不良、天候不良、不良債権など「不良」という言葉は概して悪いもの、ロクでもないものを表すときに使われる。世の中ではあらゆる物事が区別され、不良であると判断されたものは排されていく。
 この区分けというのは人間においても適応され、我々は人生のカリキュラムの中で人間としての優劣を弥が上にも

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安岡章太郎「悪い仲間」書評(1)(評者:柴田美朝)

安岡章太郎「悪い仲間」書評(1)(評者:柴田美朝)

先週の4回生ゼミでは安岡章太郎の「悪い仲間」を読みました。70年近く前の作品ですが、現代の若者にも通ずるものを感じ取った受講生が多かったようです。

安岡章太郎「悪い仲間」書評(『群像短篇名作選 1946〜1969』収録)

評者:柴田美朝

魅力

 魅力を感じること、感じる部分は人それぞれである。しかし、基本的には自分にないものを魅力的だと感じるのではないだろうか。また、感性豊かな若者は様々

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安岡章太郎「夕陽の河岸」書評

安岡章太郎「夕陽の河岸」書評

菅原ゼミで読んだ短編小説の書評をこれから連載していきます。トップバッターは篠岡綾菜さんです!

安岡章太郎「夕陽の河岸」(日本文藝家協会編『現代小説クロニクル1990-1994』講談社文芸文庫、2015年)

評者:篠岡綾菜

 孤独とはたった一人で生きていくことだけを指すのだろうか。孤独死という言葉があるように看取って貰える間柄の人がいないことだけを孤独というのだろうか。周りに家族がいて、友達が

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