未公認ベスト盤シリーズ~オフコース『YES-YES-YES』編。
昨日が山下達郎さん、今日は当時よく比較されたというオフコースのベスト盤『YES-YES-YES』を取り上げます。
オフコースにはしっかり作られたベスト盤『SELECTION』シリーズがありまして、東芝EMI時代には『SELECTION 1973-78』と『SELECTION 1978-81』の2枚が発売されています。
特に『SELECTION 1973-78』はアルバム未収録のシングル曲、ヴァージョンや未発表ライヴ、ヴォーカルを差し替えたヴァージョンなどを収録したり、まだバンド編成になる前の楽曲を含めてレコーディング・メンバーのクレジットが載っています。
つまりこだわりのベスト盤だったというわけですね。
この『YES-YES-YES』が発売されるまでの経緯が結構色々とありまして、読んだり聞いたりしたことではありますが、私の記憶に残っていることを書いてみます。
・オフコース『YES-YES-YES』(CA35-1063/東芝EMI)
実はこのベスト盤、小田和正さんには発売に関して了解してもらっているという説もあるんですよ。
1983年にLPが発売される際に東芝EMIのスタッフが小田さんに発売する報告をしに行ったところ、「新しいアルバムを発売する予定があるからもう少し(発売は)先にならないか?」と言われたのですが、東芝側の主張としては「無断で発売することもできるけど、一応報告したのです。発売を先延ばしすることはできません」というものでした。
その主張に対しての小田さんの答えは「勝手にしろ!」だったと伝えられています。
それに対しては「ご了承いただきありがとうございます」と東芝側が返答したらしいのです。
ちなみにオフコースの移籍先であるファンハウスは東芝EMIから独立したスタッフが立ち上げたレコード会社であり、独立してからの販売元は東芝EMIだったことが問題をややこしくしてしまったと聞いたことがあります。
この部分は小貫信昭さん「YES-NO 小田和正ヒストリー」(角川文庫)を参考にさせていただきました。
ちなみにこの時期はオフコースと東芝EMIのバンドとしての契約既には切れていて、鈴木康博さんが正式に脱退した(書類上でもという意)時期でもあったのです。
このアルバムはテレビ・スポットを大々的に打ったこともあって、オリコンの最高順位は2位となりました(ちなみにテレビ・スポットはオフコースのDVD『Off Course 1969-1989 Digital dictionary』に収録されています)。
『YES-YES-YES』は小田和正さん作詞・作曲しか収録されていなかったり、独自の編集をした作品が収録されているなかなかコレクター泣かせのベスト盤です(かなり詳しくWikipediaに書かれていますので、興味ある方は是非)。
特に小田さんの作品しか収録されていないベスト盤は未公認なベスト盤だからこその選曲ですね、間違いなく。。
そういえばオフコース『i(ai)』(メンバー公認のベスト盤)が発売される前には『YES-YES-YES』にボーナス・トラックを収録して再発するという情報が一部から流れてきました(実現はしなかったのですが)。
このベスト盤を発売(1983年11月)してから、東芝はオフコースのみならずチューリップも未公認ベストを乱発し、そこそこの売上を上げたのでした。。
選曲もジャケットも安易なベスト盤が乱発されたことはお世辞にも褒められませんが、新規リスナーの入り口になったのだったら、それなりに意味があるということかもしれませんね。。
明日もオフコースの未公認ベスト盤を取り上げてみる予定です。ま、あくまでも予定ですが。
ではまたー。