
(動画あり)エンパナーダをdumplingと呼んだらマジギレされた話
●動画本編
●Dumplingの定義が広すぎる問題

先日、たまたまネット上でとある南米の国の方と話したのだが、「エンパナーダ(empanada)」というラテンアメリカで広く見られる餃子のような見た目の料理を英語で「dumpling」と呼んだところ「エンパナーダはdumplingじゃねえよ!! 餃子でもあるまいし」とマジギレされてしまった。
私はただ、最近図書館で借りてきた「ダンプリングの歴史」という本に先ほどの「エンパナーダ」を含め「ピエロギ(ポーランド)」や「モモ(ネパール・インド)」、「マントゥ(トルコ)」、「ラヴィオリ(イタリア)」なども載っていたので、英語ではそうやっていうのかぐらいのノリで言っただけだったのだが、実は「何をもってdumplingとするか」という定義はかなり言語や文化圏、延いては人による激モメ案件のようなのだ。


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英語版Wikipediaで「dumpling」と調べてみるとその定義は「ダンプリングというのは様々なでんぷん質から作られる加熱調理された生地を含む広範囲の種類の料理で、何かしらの餡が入っていることが多い。生地はパン、小麦、その他の粉、じゃがいもで、中には肉、魚、豆腐、チーズ、野菜、またはそれらの組み合わせが入っていることもある(拙訳)」というかなり雑な感じで、世界中に存在するかなりありとあらゆる料理がこのカテゴリに乱暴にぶち込まれていることが見て取れる
ざっと見ただけで、
・餃子(日本、中国、韓国など。水餃子、焼き餃子、揚げ餃子全部)
・団子(日本)
・小籠包、粽子、ワンタンなど(中国)
・ボーズ(бууз モンゴル)
・モモ(インド、ネパール)
・ピタ(pitha インド、バングラデシュ)
・コルカッタイ(kozhukattai タミルナードゥ。南インドの一州)
・ヒンカリ(khinkali ジョージア)
・ペリメニ、ピロシキ(пельмени, пирожки ロシア)
・ヴァレーニキ(ウクライナ)
・ウシュカ(ポーランド、ウクライナ、ベラルーシなど)
・ピエロギ(ポーランド)
・パステル、エンパナーダ (中南米)
・ラヴィオリ、トルテリーニ、ニョッキ(ravioli, tortellini, gnocchi イタリア)
・クネーデル(Knödelドイツ語圏)
・ハルシュキ(halušky 中東欧)
・パルト(palt スウェーデン)
・マタズ(コーサカス北西部)
などなど、もう多すぎてここには書ききれない。
日本人の私の目線から見ると団子と餃子とニョッキは同じカテゴリじゃないだろとかツッコミたくなるのだが、インド人の友達に聞いたら、どう見ても揚げ餃子のサモサ(samosa)はdumplingではなく、逆に団子によく似たコルカッタイはdumplingとのこと。
まぁ実際、具なしワンタンがdumplingなのかとか考え出すともう何がなんだか分からない。どうなってるんだこれ、誰か教えて(汗)
●おまけ:Chicken and Dumplingsという矛盾
例えばアメリカ南部のchicken and dumplingsは小麦粉を小さくボール状に丸めて鶏肉のスープで煮たものだが……
見ての通りこちらのdumplingは具なしである。