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価格設定に対する恐怖と向き合っていますか?勇気がありますか?

宇宙一外食産業が好きな須田です。
 
 
ここのところメニューブックについて、解説をしておりますが、今日は少し趣を変えて価格改定のお話をします。
 
ご存じのように現在は仕入れ価格がこれまでにないほどに高騰しております。
 
調理には絶対に必要な油などは3倍の価格になっているケースもあるぐらいです。
 
「ウチはもう揚げ物はやめました」というクライアント迄いるほどで、兎に角仕入れ価格の高騰は異常値といえるほどです。
 
価格が高騰している原因は複数が絡み合っており、何か一つが解決すれば元の価格に戻るというほど単純ではありません。
 
戦争しかり、円安しかり、原油価格しかり、法改正しかりと、複数が関係しているのでハッキリと明言しますが、今後もこの価格の高騰は継続していきます。
 
この現象の正誤を論じても全く意味がなく、それよりも大事なことはこのような経済状況下でもどうやってお客さまに価値を提供し続けるのかということが、最も大事な選択基準となります。
 
原価の高騰をそのまま商品に反映できないのが飲食業の辛いところですよね。
 
と、いつまでも馬鹿なことを言っていては、事業の継続は不可能です。
 
厳しいことを言いますが、実態は価格に反映できないんじゃなくて、反映させる勇気も知恵も行動力もないだけじゃないんでしょうか。
 
今価格改定に向き合わないで、いつやるんですか?
 
 
テレビコマーシャルではないですが、「今でしょ!」
 
 
なぜ今日の記事を書くことになったかというと、先週一週間地方の出張の日々でした。
 
 
そこで真逆の体験をしたので、経営者の考え方の質の違いによって、会社のすすむ方向が大きく変わることをまざまざとみてきたからです。
 
 
現在リニューアル案件をいくつか扱っております。
 
先週回ってきたところはどちらも老舗企業で、地元では影響力もあり大きな成果も上げられている企業です。
 
 
仮にA社としますが、こちらは既存業態のバージョンアップを図る計画です。
内装も変更し大きな付加価値を提供していこうと、1年余りの時間をかけて取り組んでいます。
 
そこで、新商品の目玉の一つであるサラダブッフェの価格設定の話しになりました。
 
 
ここで少しサラダブッフェの特徴を紹介します。
そうでないとこの内容が理解しにくいので、私が提案しているサラダブッフェなるものを紹介します。
 
 
一般的に普及している「サラダバー」がありますが、私はこのようなサラダバーのことを、「サラダの素材バー」と呼んでいます。
 
お客さまが好きなサラダの素材を自分の皿にとり、いくつか用意されているドレッシングをかけて、自分好みのサラダに仕立て上げて楽しまれています。
 
ショーケースに並んでいるのは、サラダの素材です。
 
レタス、千切りキャベツ、トマト、缶詰のコーンなどなど、何処に行っても大差のないラインナップです。
 
この状況を踏まえて、私はサラダの素材バーと命名しております。
 
一方、私が提案しているサラダブッフェとは、この素材バーの要素もありながらも、マリネされたものや既にサラダとして完成されたものをはじめ、簡単なアミューズとかアンティパストなどの料理とグリルや煮込み料理など、幅広くラインナップされているイメージです。
 
 
以上の内容から呼び名も変えますよと提案し、最初はアンティパストバーにしましょうと提案しましたが、「ここらの住民には今一つピンとこないですよ」との理由で却下され、現在はサラダブッフェを命名しようとしております。
 
 
さて、本題はここからですが、なぜこのサラダブッフェを導入しようとしたのかですが、そもそもこの店では既存のサラダバーの取得率はまぁまぁ高いものでした。
 
ただ、大きな問題があって、サラダバーの価格設定があまりにも低すぎて利益がほとんどとれていませんでした、というか赤字でした。
 
 
するとサラダバーに対する情熱が無くなり、どんどんチープな内容となり管理もおざなりになっていました。
 
かつては人気があったサラダバーが、商品が出てくるまでのつなぎとして消費されているような状態でした。
 
 
そこにワクワクするような楽しい演出が、なくなってしまたわけです。
 
それと、もう一つがオペレーションの観点から導入を考えました。
 
メインの商品提供に時間がかかり、催促されるケースが頻繁に発生し、厨房が常に追われている感がありました。
それを解消するためにサラダブッフェを導入し、簡単に言うと時間稼ぎをしようとしました。
 
そしてもう一つが、最も重要な要素ですが、「華」が欲しかったためです。
 
お客さまが入店して、最初に目にする景色をこの華やかで豪華なサラダブッフェにしようと決めました。
 
以前の記事でメニューブックの役割をお伝えしましたが、迷わせないために、惑わせないために、一発で決まられるように、華のあるサラダブッフェを導入しようとしました。
 
 
ですから価格設定も2段階の設定となります。
 
このサラダブッフェだけを満喫したい方も当然いらっしゃるでしょう。
 
この充実したサラダブッフェとフリードリンクだけで十分という方がいておかしくはありません、それだけ魅力的なサラダブッフェです。
 
そして最も多いであろうメインの食事と共に楽しむケースが考えられます。
 
すると当然単品価格とセット価格の2段階の価格設定となります。
 
そこで提案したのが、例えばという前置きを置いてお伝えした価格のイメージは、単品オーダーなら¥880、食事とセットなら¥580、これぐらいのイメージですと伝えました。
 
 
最初はフムフムと聞いていたクライアントでしたが、訪問2日目の最後になって「須田さん、サラダブッフェは¥390に出来ませんか?もっと安くしないと売れない気がするんですよ」と、急に言ってこられました。
 
そこで、その考えに至った背景を伺うと、この辺りは所得が低い人ばかりで、しかも今利用していただいているのは年寄り連中ばかりだと、若い人間もお金を持ってる連中はウチには来ないから、もっと安くしないと売れないと思いますと、売れない限りはやっても意味がないですよ、ということでした。
 
まさに、この考え方が事業を間違った方向へ、自動的に誘導してきます。
 
先ず、この辺りは所得が低いは正確なデータをとったのか聞きましたが、とっていないと、昔からここらは所得が低いんですよと、数十年前のイメ―ジを基準にしていました。
 
 
そこで、この街の平均収入を調べると、県では6位の平均所得で、世帯収入で言うとターゲットとしている子育て世代を見ると400万から1000万までの層がボリュームゾーンでした。
 
そして今来ている年寄り連中の件ですが、その層がメインターゲットになってしまっているので、現状の売上と収支構造になっている、そこを脱却しなければお店の業績は好転しない、だから客層を上方へスライドさせる為に業態変更をする、それが目的であると再度お伝えしました。
 
これまで何度もお伝えしていることですが、自ら作り出したイメージと恐怖に洗脳されていて、新しい視座に立てない状況でいることが再認識できました。
 
安くしないと売れない、売れなければ全く意味がない点も、逆ですよ!
売れても利益が出ないなら、予算をかけて改装までして、新たな人材も登用してやったことが、全く無駄になりますよ、利益がなくて今苦労しているのに、既存のサラダバー単体では赤字だと言ってましたよね、それでもまだ、またしても同じ結果になる安売り戦略を執り続けるんですかと、質問しました。
 
この私からの問いに対する明確な答えは返ってきませんでしたが、でも、心配で怖くてしょうがない気持ちは十分に伝わりました。
 
 
というように、自ら不安要素を創り出して、恐怖に駆られて堂々巡りの思考を繰り返すパターンが、残念ながら一般的です。
 
少しデータを調べるとすぐに判明することが、古いイメージに洗脳されてしまい、改革が出来なくやれたとしての方向を間違えてしまいます。
 
そんな経験をした後に打ち合わせをしたクライアントは、業績がすこぶるよくて、現在3店舗経営なさっていますが単月で数百万の利益確保を実現されています。
 
この3店舗のグランドメニューの見直しをかけ、改装してから10年程経っているお店については一部改装もしたいという要望でした。
 
 
そこで出たお話は、現在の集客商品をもっと強化するためには、内容もさることながらメニューの見せ方もSNS戦略も今よりも数段バージョンアップしたいので、力を貸してほしいという内容でした。
 
 
そこで、現在のランチとディナーのそれぞれの客単価を伺い、ABC分析のデータを確認し今後事業計画はどのようにお考えなのかをインタビューさせていただきました。
 
その席上何度もクライアントの言葉として出てきたのは、「飲食業はもっと価値を提供しなければならない」「コアコンピタンス経営をもっと取り入れるべき」「企業の存在価値は社会貢献である」「従業員を幸せにすることが使命である」などでした。
 
 
まさにこれからの飲食業の在り方を具現化するためには、何をしなければならないのかというお話しでした。
 
質問された内容は「須田さん、ウチの商品の価値を高めるにはどうしたらいいですか?何か斬新ないいアイディアは無いですか?なんでも提案していください」と、まぁ熱い言葉を頂戴しました。
 
 
方や現状に恐怖を覚え、方や未来を見据えていまやるべきことに向き合っている、その考え方の質が現在の経営状態となって表れていると感じました。
 
 
そこで。
 
この記事を読んであなたは、どのように感じましたか?
 
そりゃ業績が良ければそれ行けどんどんという考えになるだろう、今の業績が苦しければ悲観的になるのは当然だろうと、考えましたか。
 
そのように感じたのなら、今すぐ考え方の質をもっと上げるべきです。
 
 
現状は全く関係ないんですよ。
 
未来志向か過去に縛られているのか、違いはこれだけです。
 
どちらも家族経営で、ご子息が代表となりそれぞれ会長職として敏腕をふるっておられます。
 
ただ考え方の質に大きな違いがあるために、現状がそれに伴っています。
 
で、あなたはどのように考えますか?
 
未来を計画し、そして今日を組み立てますか?
 
過去に縛られて、今日も過ごしますか?
 
決めたことが、とった行動が現実を創り上げます。
 
明るい未来を共に創り上げませんか!

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