商品の盛り付けと強調ポイントを変化させるだけで、ヒット商品にすることは可能です。因みに、インスタ映えなどの話題ではありません!
宇宙一外食産業が好きな須田です。
今回は、商品の見せ方についてお話しをしていきます。
前回前々回と、価格設定についてお話しをさせて頂きました。
その中で、商品の見栄えをよくして、高い価値を表現して、適正と感じて頂ける価格を決めましょうとお伝えしました。
一般的に商品に関しては、美味しさを追求することがクローズアップされて表現されていますが、私はそれ以上に大事なことがあるとお伝えしています。
商品を消費するその前には、必ず買うという行動が発生しています。
誰もが飲食店に行って同じ行動をとっています。
それは、何を買うかを選ぶという行動です。
どれが一番おいしそうかな?
どれが一番お得かな?
どれが一番お腹いっぱいになるかな?
などなど、動機はどんなことでもいいです。
ただ、その時のモチベーションに沿って商品を選んで買っています。
メニューを見てその商品が解らないときは、スタッフに質問するかスルーします。
質問する時には強く興味があって、多くの場合回答次第ではその商品を買います。
スルーする時には、期待したほどの興味がそれほど湧かないので、スルーしています。
という具合に、思考と感情が働き行動を起こしております。
これが、消費者が商品を買うときの流れです。
ここまで読まれて「今更何を言っているんだ、そんなこと当たり前だろう!」と、思われた方も多くいらっしゃると思います。
この当たり前の思考と感情と行動を理解していたとして、では、それを商品設計に反映させていますか?という疑問が出てきます。
もし本当に理解しているのならば、商品設計に反映させているはずだと、私は思います。
しかし、現実はそうなっていない場合の方が多い気がします。
少し遠慮して多い気がしますと表現しましたが、訂正します。
多いです!
何故、商品の見栄えを気にせずに商品を世に送りだしてしますのか?
何故、もっと魅力的になるように見せ方を工夫しないのかと、飲食店を利用するたびに感じています。
これは、昨今流行のインスタ映えの話をしているわけではなく、基本的なことをお伝えしています。
インスタ映えのみを狙った商品は、玉石混合の状況です。
素晴らしい商品も沢山ありますが、基本的な商品力が追いついていない商品も見受けられるように感じております。
勿論、世の中の全ての商品を試したわけではないので、断定など出来ようもありませんが、間違った考え方のインスタ映え狙いの商品が、世に存在することは確かなことに思えます。
間違ったインスタ映え狙いの商品とは、
盛り付けに時間がかかりすぎてしまい提供時間が長くなる。
その商品のオーダーが入ると、他の商品もストップしてしまう。
テーブルに運ぶまでに、非常に注意が必要。
お客様が写真を撮られている間に、経時劣化が進む。
どこから手をつければいいのか、どうやって食べれば良いのかわからない。
その商品を目当てに集客はするが、その商品以外が全く売れずに、その商品の人気の終息と共にお店の人気も終息してしまう。
この様な商品が、間違ったインスタ映え狙いの商品と言えます。
こういったことでは無くて、もっと根本的なことをお伝えしたいと思います。
冒頭で消費者の商品購買の流れをお伝えしましたが、必ず消費の前に買いたいと思う感情が発生します。
言い換えれば、この買いたい、買ってもいい、買って試してみたいという、思考と感情が起こらない限り商品は売れません。
とどのつまり、飲食店は集客と販売を、永遠に繰り返さなければならないビジネスモデルです。
常に集客、常に販売、これを繰り返すことで成立しているビジネスモデルです。
一度その商品を買ったら、それ以降は自動で集金できるという仕組みにはなっていません。
集客のためには、商品力は必須条件になってきます。
お店に行く理由の一つは商品力です。
勿論、お店に行く理由は沢山ありますが、その中でもコアなモチベーションは商品であると断言できます。
どこのお店にしようかと街を流している時も、目に留まるのはやはり商品です。
表の看板を見て、その商品が気になり入店したことは、誰もが経験したことがおありと思います。
商品の見栄えをよくすることが、大きな集客力を発揮することは紛れもない事実です。
その商品を買いたい、買ってもいい、買って試してみたいという感情が起こすために、商品の見せ方は重要になってきます。
簡単な事例を紹介します。
東京の方なら、おそらく誰もがご存じのお店の商品です。
開発担当者の方に同行して、店舗調査をしたときの出来事です。
開発担当者の方曰く、この商品を何とかしたというお考えがあるとのことでしたので、真っ先に注文してみました。
メニューブックには、このような写真がありました。
こんがりと焼かれて非常に美味しそうです。
でも、やってきた商品はこんな感じです。
メニューに表現されてたこんがり感はどこへ行ったのでしょう?
盛り付けも乱雑に、ただお皿の上に置かれた感じで、メニューブックの写真のように美味しそうには感じられません。
これは、提供された通りに撮影しました。
商品の正面という考え方は、浸透していないようです。
商品が到着した瞬間の、がっかりした感じを今でもハッキリと覚えています。
他の商品も気になったので注文してみました。
同じくメニューブックには素晴らしい写真がありました。
この写真を見て感じたレシピは、パスタとボロネーゼソースを一度フライパンで合わせてから、更にデッシャーでボロネーゼをトッピングするんだろうと考えました。
それならば素晴らしい商品だなと、感じました。
その話をした時に、担当者の方はなぜか笑っていましたが。
実際に到着した商品はこれです。
あ~ やはりそうきたかぁ という感じです。
あの期待したトッピングは幻でした。
確かに、商品の構成要素は間違っていません。
ただ、大事なことが決定的に欠落した商品が到着しました。
この事例が、商品の見せ方に注意を払わなければならない理由です。
メニューブックでは表現されていることを、実際の現場で実直にそれを守り切って商品を提供しているのかということが、最も大事になってきます。
商品の見せ方を変えて、ヒット商品にした事例もご紹介します。
中華料理の人気メニューの担々麺を検索すると、このような写真が沢山出てきます。
どのお店でも人気の商品ですが、ここ迄似通っている商品も珍しいなと感じます。
どのお店も、ほぼ構成要素は同じです。
肉味噌と青梗菜をトッピングしたものばかりです。
そして大人気になった担々麺がこちらです。
野菜をたっぷりと乗せて、ヘルシー感を演出しました。
野菜の新鮮さとシャキシャキ感が伝わるようにしました。
たったこれだけですが、女性の圧倒的な支持を獲得しました。
勿論、味の方向性も考慮して、胡麻の深いコクを表現して、野菜のやさしさを強調するようにしたところ、大ヒットしました。
そもそも人気の高い担々麺を、あるターゲット層により強い興味を引いていただけるように商品設計を変えた事例です。
この様に、意図を明確にして商品設計を変化させると、大ヒットに結びつきます。
この担々麺には、いくつかの見せ方の鉄則を盛り込んでいます。
それを解説していきます。
1 彩り
先ず、彩りを豊かにしています。
それまでの坦々麺は、色味がありませんでした。
スープの赤い色、ひき肉の茶色、青梗菜の緑、以上!でしたが、大ヒットした担々麺はまず彩りが豊かです。
この彩の豊かさが、視覚的な効果を発揮して興味を引きます。
そして、彩からある思考と感情を感じさせる働きを仕掛けます。
2 立体感を出す
それまでの担々麺の盛り付けは平面的な盛り付けです。
高さが出るような盛り付けは、されていません。
大ヒットした担々麺は、野菜を高く盛ることで、立体感を強調しています。
これにより、野菜のボリューム感が伝わり、ここでも意図的に思考と感情を感じさせる効果を発揮しています。
3 食器とのバランス
それまでの担々麺は、スープが多く感じられる盛り付けになっています。
これは食器との関係で、器に対してある程度の量のスープを注がないと見栄えが悪くて、どうしてもスープの量が多くなってしまいます。
このスープの量が多いことが、特に女性には罪悪感を芽生えさせてしまい、スープに対してマイナスの感情を抱かせてしまいます。
大ヒットした担々麺は、スープがそれほど多くは感じさせません。
これは、食器とのバランスからスープの実注量は大きく変更しなくとも、少なく見えるように感じさせることで、思考と感情をコントロールしています。
商品の完成度を考えると、むやみにスープの量は少なくできませんが、見た目の量は少なく感じさせることで、ギルトフリーを感じて頂けるようにしました。
このほかにもいくつかの施策を盛り込んで、メニューブックには表現した結果大ヒット商品になりました。
1 彩りを豊かにする。
2 立体感を出す盛り付け。
3 食器とのバランスを取る。
この、たった3つのポイントをおさえて商品設計することで、商品の見た目は格段に違ってきます。
この見た目の違いから、意図的に特定の商品にオーダーを集中させて、ヒット商品にすることが可能となります。
是非、この考え方を取り入れて、狙ってヒット商品を作り上げてください。