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#三題噺
【毎日三題噺】生命体 高速道路 妄想の
『一本道』「高木、大丈夫?」
「あ、うん」
大丈夫じゃなかった。金を取られた。「普通に、カツアゲくらうと思わなかった、けど」
「まあ、気を取り直せよ」
恭平はそう言って一号車の方にかけていく。「事故んなよー!」
笑いながら手を振り返して、僕も二合車の運転席に乗り込んだ。山田以外は戻ってきていた。山田を待っていると、後部座席の貝崎がひょっと顔を突き出してきて「あんたさっきカツアゲあってたでしょ」
「
【毎日三題噺】正直者 秘密の花園 想像上の
秘密の花園ガラス張りの建物が作るやわらかな影に思わず唸る。一個人の所有する施設でここまでの規模はなかなかない。この温室の中に生えている、たくさんの種類の草木のことを考えるだけで葉山の胸は踊った。
はじめて久世ナオミの声を聞いたのは半月ほど前のことだった。朝からの搬入作業を終えて、少し一息入れていたところだった。レジの電話が鳴り、表に出ていた木嶋さん店内を振り返ってすまなそうな顔をした。受話器の真
【毎日三題噺】くノ一 島根 勝利の
『女形』「ごめん、もうちょっと落ち着けない?」
メイク中の矢田技が俺に話しかけて来ることは滅多にないことだった。普段しない指摘をしてしまうくらい、俺は落ち着きがなかったらしい。
「…肩の力抜いて。そう。背中、もたれてきていいから」
鏡に映った彼女の表情が少し柔らかくなる。そしてまた、俺の顔をいじりだす。
俺の顔は、白い肌で、目が強調されており、髪の毛を抑え込む羽二重(はぶたえ)をしている。
【毎日三題噺】ヘラクレス 交番 暴かれし
カブトムシ盗み交番の白い光の中で、平良さんはうなだれていた。
「さちこぉ…」
「平良さん、紙書けますかー」
あ、書きます、ごめんなさい。鼻水をすすって続きを書きはじめる。
けれど、また少しすると「さちこぉ…」うなだれる。
かれこれ20分近く紛失届への記入に時間をかけていた。あまりにたらたらと書くもんだから、控えから上司の亀山が顔を見せる。「いつまでやってんだ」
「すみませんちょっと紛失届に時間がか
【毎日三題噺】ファン 惑星 初登校
【本文】なし
プロットなし
作成時に考えたこと惑星二回目だな。ファンは翼の方かな。初登校は素直に学校でもいいかもな。大学は登校って言わないな。小中高だけだな。
高校かなんかに受かったけど一度も通わず不登校。初めてが星でも見るとき。深夜に忍び込む。見晴らしのよいところでみる。ファンの音だけ聞こえる。
中学校に一回も登校することなく卒業式。初登校。初めて何かをする、ってのはそれなりのドラマ性がある
【毎日三題噺】おりがみ 道具屋 滅びの
道具屋筋のゴリラ篠崎がひっそりと耳打ちしてくる。道具屋筋商店街にゴリラが出るらしい。
そんなわけあるか。ミナミの中心にゴリラが出てたまるか。けど出る、けどゴリラが出るのだと篠崎は繰り返す。僕は完全にそれをばかにしていた。ただ篠崎があんまり道具屋筋のゴリラについて話すもんだから、なんだか気になってきて、定時後になんば駅で途中下車して道具屋筋商店街まで足を伸ばした。商店街はそこそこに賑わって、歩いてい
【毎日三題噺】うなぎ ゲーセン 結婚式
「やっと分かって良かったね」中央線が過ぎると、蝉は一斉に鳴き出した。耳を圧迫するそれに目をおおう。背中の裏で、シーツがじっとりと汗ばんでいる。目尻に涙が浮かんで、汗と一緒になって流れ落ちる。
「やっと分かった、今までずーっと付き合って、三年たってやっと分かった。私、あなたのことが嫌いだ嫌いなんだわ、けど嫌いたくなくってそれで一緒にいたんだわ」
結婚式の日取りまで決めて、内祝いの内容まで決めたのに。
【毎日三題噺】相棒 小学校 戦時中
キャラバンハートまだ小学校に通っていた頃、学校から帰ったら家の門扉に黄色いテープが貼られていて、玄関までの短い道に点々と血が落ちていたことがある。俺はびっくりして立ち尽くしていたんだが、後ろから警察官に声を掛けられて、パトカーで警察署まで連れていかれた。警察署に着くと、今度は母方のじいちゃんがやってきて、俺を隣の県にあるじいちゃんの家に連れて行った。
車内でじいちゃんから聞いたのは、母親が滑って転
【毎日三題噺】大統領 名古屋 不屈の
「骨董品店みたいなものですか?」(本文なし)
プロット①軟禁状態
日本で一人の韓国人男性。
パスポートを取り上げられているために外に出歩けない。同僚は韓国人たち。一人だけベトナム人、会話できない。タコ部屋に入れられている。
②経緯の説明
韓国で働いているけど貧困だから、日本に出て頑張ろうと。トラックの運転手をしながら、街のものを日本語で読み替えては勉強している。蛍雪。不屈の意志。
まだ日本語は完
【毎日三題噺】パティシエ カラオケ 奇妙な
凍らせたケーキで殴る殺人事件−−12月28日、22:30ごろ、都内のT市のカラオケ店からT市警察署に電話があった。客の一人が店内で頭から血を流し倒れているとのことであった。警察はすぐに担当の職員を派遣、現場の保存と事情の把握に当たらせた−−
タクシーから降りると、現場となったカラオケ店の周りには小さな人だかりができていた。年の瀬も迫る12月28日のことであり、この地域の会社では、この日を仕事納め
【毎日三題噺】浮気相手 惑星 腐敗する
日直日誌席順:水金地火木土天●
当番表:火海金水地天土●木
●6,453,500,459年
「今日あったこと」
今日からよろしくお願いします。(火)
「先生からのひとこと」
惑星の皆さん今日からよろしくお願いします(太)
●6,453,500,460年
「今日あったこと」
土星が大きすぎて時々黒板が見えないです。席が一番前にだったらよかったなとおもいます。あと冥王星が転校になって悲しいです(海)
【毎日三題噺】昆虫博士 アパート 赤の
黒魔術師と赤の他人(本文無し)
プロット出て行く同居人を引き止める主人公。あの黒魔術師と二人きりはいやだ、という。
黒魔術師の説明。登場。
三人目募集。
昆虫博士がくる。家賃の安さ。女癖悪いとのこと。毎日朝帰りとか。
黒魔術師とは初日からバトル。
おだてたら研究内容を少し話してくれる。
新種の昆虫。黒魔術師に聞かせると、それは伝説の…となる。
盗みに行くと。
深夜なのに真面目に研究してる。
黒魔
【毎日三題噺】女優 住みたい街 華麗なる
不動産と演劇「お考えのエリア以外だと、S町は結構おすすめです」
「えーそうなんですか。なんか若い人の街ってイメージばっかりで住むって考えたことなかったです」
「そうですね、確かに若者の街っていうのはあると思います。文化的なイメージのわりに最近は住環境も整って来ててなかなかいいです。まだ穴場なので手頃な賃貸もたくさんありますよ」
カウンター越しの訪問客が少しだけ乗り気になったのを私
【毎日三題噺】人類 幼稚園 はじめて
『オヨンチメグの一生』おおきな扉は開け放たれたままになっていた。そこからは春の陽光が差し込んでいる。時々風がふき、この国らしい、乾燥した空気が砂埃を屋内に運ぶ。だれかが気が付いて、時々扉は閉じられるものの、すぐ別の誰かがその扉を開けて家の中に入ってくる。だから扉は開けっぱなしだった。
こんなに人の出入りが多いのはいつぶりだろうか。オヨンチメグは平たいベッドで、多くの人にーーどれも懐かしい顔ばかりだ