【毎日三題噺】ヘラクレス 交番 暴かれし

カブトムシ盗み

交番の白い光の中で、平良さんはうなだれていた。
「さちこぉ…」
「平良さん、紙書けますかー」
あ、書きます、ごめんなさい。鼻水をすすって続きを書きはじめる。
けれど、また少しすると「さちこぉ…」うなだれる。
かれこれ20分近く紛失届への記入に時間をかけていた。あまりにたらたらと書くもんだから、控えから上司の亀山が顔を見せる。「いつまでやってんだ」
「すみませんちょっと紛失届に時間がかかってて」
「さちこぉ…どこに行ったんだぁ…」
「あ? 須藤お前紛失届ってなんなんだ」
「あ、いや」
「しょうがねえな…あー平良さん、どうされました、さちこさんどうかされたんですか」
「さちこが逃げて…」
「逃げた? 失礼ですがさちこさんとのご関係は、どこ行かれたとかわかりますか?」
「多分近くの林に」
「林?」
「あごめんなさい、さちこさんヘラクレスオオカブトなんです」
「ヘラクレス?」
「オオカブトです。カブトムシです」
「ああ何カブトムシの失踪届け」
「さちこぉ…」
亀山は興味を失ったように目を上滑りさせる。
「そうか、それじゃあ頑張って」
「あ、亀山さん」
「すみませんこの住所って郵便番号わかんない」

プロット

さちこさんなんで逃げたの
掃除してたら窓から
窓から?
あ、いやさちこさんヘラクレスオオカブトなんですよ
ヘラクレスオオカブト?
カブトムシです
何匹飼ってんの?
150匹くらい。
今家誰がいる?

作成中考えたこと

ヘラクレスオオカブト、迷子。交番。名前はさちこ。70cm。一万円くらい。世代の中で一番大きなメスにつけられる名前。先代のさちこからは159mmのオスがでた。7万で売れた。アベノミクス。
ここに名前書いて。
・なんで逃げたの。
・愛情
交番の警察二人。おっさんは妻と離婚してる?さちこさんいなくなったの聞かせたらまずいかなって思って一人で話を聞いている?うーん。
何かの関係の破綻があったとして、それの修復を通して主人公は自分自身にならなきゃならないんだよな。冒頭でマイナスの出来事があったとして、その穴を埋めて終わるお話は単なる設定の開陳で終わること多いし。
じゃあこの人はこの件から何を学ぶのか。元妻への愛情? 

一匹逃して交番行かせて、残りの全部を窃盗する。

うーむ眠たいのとつまらないので、書くのやめてしまった。


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