【毎日三題噺】正直者 秘密の花園 想像上の
秘密の花園
ガラス張りの建物が作るやわらかな影に思わず唸る。一個人の所有する施設でここまでの規模はなかなかない。この温室の中に生えている、たくさんの種類の草木のことを考えるだけで葉山の胸は踊った。
はじめて久世ナオミの声を聞いたのは半月ほど前のことだった。朝からの搬入作業を終えて、少し一息入れていたところだった。レジの電話が鳴り、表に出ていた木嶋さん店内を振り返ってすまなそうな顔をした。受話器の真ん前にいた僕は頷いて、受話器を耳に当てる。
「はい」
『葉山園芸さんですか?』
「あ、そうです」
電話口で聞こえたやや低い女性の声が、久世ナオミのものだった。彼女は庭の手入れを依頼してくる。聞くに、親戚宅だそうだ。
住所を聞く。
「石波町34です。…あの、コストコの近くの」
「あ」僕はすぐにぴんときた。「あの大きな温室のあるおたくですか」
「そうです、そこです」
話はトントンと進み、半月後に現地を一度見させてもらうことになった。
花澤啓とは駅のサイゼで待ち合わせをした。
僕が一人先に入って、青豆の温サラダとペペロンチーノを食べていたら、背後の客同士が喧嘩を始めた。どうも痴話喧嘩っぽく、耳だけをそちらに向けていた。話は全くまとまらないようで、結局女性が怒って出て行ってしまう。相手の男性客は少しだけ背中を追ったかと思うと、そのまま葉山の正面に体を滑らせてきた。
「話ってなんだよ太郎」
「うわびっくりした」僕は食べていたグリーンピースをいくつか落とした。「え、啓だったの。ていうか今の人? 追わなくていいの?」
「いやいいよ」
男は言いながらインターホンで店員を呼ぶ。ぽーんと高い音が鳴る。
「なんも食えなかったんだよな。なんか頼んでいい?」
「いいけど」
「あじゃあミートソースボロニア風の麺ダブルで」
プロット
園芸屋の主人公。ある女性客から、実家の庭を頼みたいと言われる。大きな家で、かなり気合の入った庭。デカいビニールハウス? みたいなのもある。これだけ大きかったら元々管理していた園芸屋があるんじゃ? 母がそこらへん管理してて分からない。母? 亡くなった一年前に。それ以来ボロボロになってしまって、父は母の死んだことを受け入れられずにいる。未だに手をつけられない。
大きな温室には女の子がでてくる。幽霊かと。想像上の同業者?隣の家の子と自白。穴が空いててそこから入った。父に穴を告げるも埋めない。主人公は嘘がつけないから信じてはもらえる。
最終盤、隣に家なんてないと分かる。昔の母本人。依頼者の娘が迷い込んで、遭遇からの叫ばれる。すごく似ている。事情説明。
イケメンの同僚がいてほしい、花澤啓とかって名前で。主人公は葉山太郎。電気系統ができる人も必要だな。店舗で花屋もやりたいから、そこの店員やってる人も必要、木嶋いつもさん。経理とかは外部の人を雇ってて、店員はバイトも3人くらい。葉山園芸とフラワーショップ葉山的なの。
作成時に考えたこと
ばあちゃんから正直者でいろと言われ続ける。嘘がつけない。自分に正直でいること。
想像上の存在、生き物、イマジナリーフレンド、強迫観念、秘密の花園があると。
怖い祖母がいて祖母の言いつけを守っている、偉大なる母が死んでその後みんなが依存先を失って、という話。どう家族が再構築されるのか? ある人間にとってのドラマと、他の人間にとってのドラマ、ってのをやってみてえなあ。その場にはそれぞれのドラマがあるはず。どんな気持ちで挑んでいるのか。
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