銅原子@スタジオ バンドデシネ

小説などを書いています。ホームページがあるので気軽に遊びに来てください!  【スタジオ バンドデシネ】URL https://8vgj9.crayonsite.com/

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マガジン

  • 銅玄師の世界

    銅原子の書いた物語を集めました。良かったら読んでみてください。

  • 銅原子の日常

    わたくし、銅原子の日常について書いたものを集めました。

  • 旅日記 秩父にて

    これは、僕が夏に秩父を旅した時の話をエッセイ調に書いた日記です。現実と妄想が入り混じった素敵な旅に仕上がっていると思います。良かったら見てください。 自転車のメリーとの妄想恋愛の結末もご期待ください。

最近の記事

CLYDE WAS HERE 夢の痕

 私は素敵な夢から覚めた。時刻は夜の三時を少し過ぎたところだ。私は自分のコレクションが詰まった棚を漁る。探しものはすぐに見つかった。宝物のレコードを腕に抱えてターンテーブルの前に立つ。回転数を確認しレコードを乗せた。そして、ゆっくりと針を落とした。爆音で流れるモリタート。私は其奴を口ずさみながら、縄と椅子とマジックを持った。  私は壁に大きくメッセージを残す。それが終わると、椅子に登って天井に縄を括り付けた。そして、縄の下には頭が一つ入るくらいの輪っかを作った。  インター

    • CLYDE WAS HERE 後編

       銃声が一つ鳴る。私は自分の着ていた白いワイシャツが赤く染まっていくのをじっと眺めていた。徐々に痛みが広がっていく。   「私の歌を聴かないでこの部屋から出ようなんて、許されないわ。」  振り返るとそこにはボニーが怒りを露わにして未だ、私にピストルを向けている。私は自らの血で汚れたワイシャツを指先で触ってみた。指についた血はヌルヌルしている。そして、とても綺麗な紅色をしていた。私は其奴をそっと舐めてみる。口いっぱいに鉄の味が充満する。   「これだ。これこそが自由だ。」

      • CLYDE WAS HERE 中編

         闇に目を凝らしながら慎重に歩いていると、先程、私が入ってきたのと同じ扉が大きな音を立てて開いた。男が乱暴に女の手を引っ張りながらこちらに向かってくる。女は必死に抵抗し続けたが、男の力の前に為す術もなかった。二人は私の横を通り過ぎる。女は私の顔を見ていたが、私は恐怖で何も出来なかった。男は少し先に進んだ所にある扉を開け、女と共に中へ入って行った。  二人が入って行った後、間をおいて一人の女が出て来た。女と目が合う。  「いらっしゃい、さあ早くお入り。もうすぐ演奏が始まります

        • CLYDE WAS HERE 前編

           私は夢を見ていた。闇の中をただひたすら歩く夢を。  自分がどこに向かっているのか判らぬまま進み続けた。この世界はやけに静かだ。だんだんと自分以外誰もいない様な心持ちになっていく。一歩、歩みを進めるごとに重たい不安が背中に伸し掛かっていく。進まぬ身体と止まりたくないという思いが交差する。それがしばらくの間続いた。そして、とうとう私の真ん中から「バキッ」という音が鳴った。途端に歩みが止まり、その場に座り込んで少しの間泣いた。  どれだけの時間が経ったのだろう。泣きはらした顔

        マガジン

        • 銅玄師の世界
          8本
        • 銅原子の日常
          1本
        • 旅日記 秩父にて
          9本

        記事

          全人類同時滅亡宣言

           「日本時刻、午前3時。全世界同時地球滅亡宣言が出されました。国民の皆様、残りの時間を有意義にお過ごし下さい。繰り返します。日本時刻、ごぜ・・・」  ラジオもテレビも壊れたおもちゃみたいに同じことを繰り返している。  もう、どこの国も混乱状態だ。    暗闇の中。カーテンを開ければ、深夜だというのに車が渋滞を起こしている。       近くのコンビニがボヤ騒ぎ。  大勢いの人が叫んでいる。  SNSも不安な気持ちがスマホから漏れ出て来そうなくらい深刻な状態になっていた

          言葉に出来ない感情 後編

           #読書の秋2021  私はレジの前に居た。  前のめりになって店員に尋ねる。 大橋裕之先生の「音楽 完全版」の在庫はありませんか!?  客の勢いに気圧された様子を見せながら近くのパソコンに文字を打ち始めた。  しばらくして返ってきた言葉に私は、肩を落とし店を出た。  乗って来たママチャリには古びた鍵が付いていた。スタンドを蹴って跨ると、ユラユラ揺れながら家に帰って行く。  なんて、簡単に諦めるか!ボケ!!  私は諦めきれず、コンビニに急いだ。そして、Amaz

          言葉に出来ない感情 後編

          言葉に出来ない感情 前編

            「うおおおおお!何じゃこの感情!どう表せば良いだ!?」  私はベッドの上でスマホ片手に悶える。そして、久しぶりに涙を流す。  いや、あんな情熱的な涙を流したのは生まれて初めての体験だった。  私はお気に入りの黒いスキニーを履いて、Gジャンを羽織るとすぐに家を出た。  愛車のママチャリに飛び乗る。勢いが余ってペダルを一度踏み外す。バランスが崩れるが、構わずもう一度ペダルに足を乗せる。  今度はしっかりと足が乗り、ゆっくりと自転車が進み出す。  外の世界は冷めてい

          言葉に出来ない感情 前編

          おわりに

           「旅日記 秩父にて」無事、完走致しました。  自転車に名前を付けて妄想恋愛したり、旅人気分に酔っていたりと、痛々しい部分が多々ありましたが、個人的には少し気に入っている作品です。  皆さん。楽しんで頂けたでしょうか。僕としてはこの作品を一人でも好きと思ってくださる方がいれば、それだけで満足でございます。  こんな時期ですが。世界が元通りに戻ったらぜひ、秩父に行ってみてください。きっと素敵な思い出が作れると思います。  では、僕はシラクスに行ってディオニス王に、鉄拳を

          旅日記 秩父にて 捌 終演

           数回の乗り換え。僕らの旅の終わりが近づく。二人はこれからのことを話した。  進路のこと。次はどこへ行くか。大学生のうちにしたいこと。なんて、自宅の最寄り駅に突くまで一度も途切れずに話し続けた。  駅に着いた二人は、また一緒に旅に行こうと約束して別れた。   さあ、バスで帰ろう。  バス停に向かうが、もうバスは走っていなかった。人の姿もほとんどない。金が無い僕は、仕方なく家まで歩いて帰ることにした。  耳にイヤホンをする。  流すのは、ベン・E・キングでスタンド・

          旅日記 秩父にて 捌 終演

          旅日記 秩父にて 漆 さらば秩父

           僕たちは西武秩父駅にいた。  思い出したようにお土産コーナーで物色をしている二人。僕は兄妹にクッキーを。両親には味噌モツを買った。  冷凍の味噌モツ。当然、保冷剤やら保冷パックなんかに包んでもらえると思ってレジを済ませたが、どうやら何もしてくれないらしい。  無地のレジ袋にキンキンの味噌モツ。後ろにはいつの間にか列が出来ていた。  諦めた僕は、水滴の浮いたレジ袋を持って友人の元へ行く。  先に買い物を済ませていた友人と豆腐味のソフトクリームを買った。出て来たソフト

          旅日記 秩父にて 漆 さらば秩父

          コロナワクチン二度目終了。

           今晩は、銅原子です。私事ながら、二度目のワクチンぶち込んで参りました。   いや〜それはそれは痛かったですね。一回目の感じを受けて完全に余裕ぶっこいていたら、まあ〜痛い!こんなん聞いてないっすよ!  てな感じで打ってすぐ痛みと痺れを感じ。動揺したまま、15分待機&帰宅をしました。  家についたらバタンキュー。まあ眠気に苛まれるわけでこざいます。夜の11時に目を覚ますも、一風呂浴びても頭は、ぼんやりしたまま。  それから、朝の5時くらいにまた目が覚め、ここで感じた寒気

          コロナワクチン二度目終了。

          旅日記 秩父にて 陸 しばしの別れ

           僕達は坂を登っていた。旅立ちの丘に比べたら大したことのない坂を。  太陽が少しずつ沈んでいく。時刻は4時を過ぎたところだ。  僕らの旅の最後を飾るに相応しい場所。見晴らしの丘に辿り着いた。此処は、秩父という美しい町を一望出来る。   僕は今日。此処に来れて良かったよ。   ええ、私もよ。 私は今までも。これからも。此処で生きていくの。   そっか。じゃあ、僕は必ず。また、此処へ来るよ。   それじゃあ、私はいつまでも貴方を此処で待ち続けるわ。  僕らは再開を誓

          旅日記 秩父にて 陸 しばしの別れ

          旅日記 秩父にて 伍 神に願う

           ここは「礼所10番 大善寺」。此処の神様はどうやらお喋りが好みのようだ。大慈寺の階段下には殻だけの卵がお供えされているが、その中には人々の言葉が籠められているらしい。それが、どんな御利益になるかはわからない。   貴方なら何を込める?   そうだね。君と出会えたこの奇跡を忘れないようにって籠めるかな。   バカ。  メリーは、照れながらそう呟いた。だけど、彼女を大慈寺に連れて行くことは出来ない。だから、僕達は道路の隅に愛車を置いた。   メリー、すぐに戻るよ。

          旅日記 秩父にて 伍 神に願う

          旅日記 秩父にて 肆 闘争心

           僕らは道に迷っていた。代わり映えのない住宅街をぐるぐると回る。   ねえ、メリー・ルー。僕達は辿り着けるのかな。   貴方なら大丈夫よ。だって私の愛する人だもの。   君がそう思うのなら心配ないね。だって君はいつだって正しいのだから。  それから何度も同じ景色を堪能して、やっと次の目的地である「秩父礼所17番 定林寺」に到り着いた。僕らは愛車を道の端に置いて定林寺を観光した。  木々に囲まれたこの寺は、心地良い風が流れている。それはまるで、僕の汚れた心を洗い流して

          旅日記 秩父にて 肆 闘争心

          旅日記 秩父にて 参 Mary Lou

           僕らは公園にいた。友人は園内の手入れをする高齢者達に挨拶する。僕もそれに習って挨拶をした。   こんにちは。   こんにちは。暑いのにご苦労さま。  初めて会ったはずの老人達は微笑みと共に挨拶を返してくれた。そして、労いの言葉も添えてくれた。僕らはただの旅人。自分達の思い出づくりのためだけにこの場所へ来た。  だから、暑いのに此処へ来る人をもてなす為、働いている貴方達の方が労いの言葉を送られるべきだ。心の中でそんなことを考えながらも、頭を下げ、その場を立ち去る事しか

          旅日記 秩父にて 参 Mary Lou

          旅日記 秩父にて 弐 旅立ちの丘

           僕らは旅立ちの丘にいた。  あんなに遠くで聴こえていた「旅立ちの日に」が、今では僕らのすぐ側で響いている。スピーカーから流れる音楽は罅割れ、ノイズが混じっている。柵には幾つもの南京錠が掛けられていた。世のカップル達が永遠の愛を誓い、離れないように鍵を掛けてこの地を去っていく。  素敵な話だが、疲れ切った男二人には少しも響くことなく、同じ敷地内にある音楽堂へ向かった。  途中、自販機でジュースを買った。熱を持つ身体、乾き切った喉を炭酸が刺激する。体中に水分が巡っていく。

          旅日記 秩父にて 弐 旅立ちの丘