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Kの向くままにおススメ映画『生きる』ネタバレあらすじ感想日記
こんにちは。何となく生きているKです。今回は『生きる』。一言で表すと「生と死を考える映画」です。
こんな人におススメ
◎格好良い死に方をしたい人
◎家族で観れます
◎衝撃のラスト!美談にはしない!あくまでリアルさを追求…
要注意点まとめ
▲主人公の個性的過ぎるキャラクターには賛否あると思います
▲白黒映画ですよ
▲日本語字幕あり で観ましょう
こんな映画です
市役所で市民課長を務める渡辺は、毎日書類の山に黙々と判子を押して椅子を守るだけの仕事。
ある日、渡辺は体調不良のため休暇を取り医師の診察を受けるが、胃癌である事を悟り余命幾許もないと絶望する。
しかし、「まだ自分にもできることがあるのでは」と考えた末、以前から住民の強い要望だった公園を完成させる事を思い付いた。
2週間ぶりに出勤した渡辺はやる気と生命力に満ち溢れていた!
もう少し詳しく
突然、やる気と生命力に満ち溢れた渡辺、そして次の場面…!
渡辺の通夜!…アレ?まだ50分残ってますけど……だがしかし、、ここからが本編です。ここからようやく怒涛の展開(ここまでがやたら長いんだよー)。
この映画では地獄や天国に場面が移る訳ではなく、通夜に訪れた人々の回想によって渡辺が死ぬまでの5ヶ月間に彼が何を成し遂げたかが語られます。ここでパズルピースのような断片的エピソードを提示する事により、観てる人がそれを繋ぎ合わせて渡辺の偉業を完成させる、といった作りになっています。しかし、地元住民たちが号泣しながらお焼香をする場面だけでも渡辺がどれだけ情熱的に《公園建設》に取り組んだかが分ります。
住民たちは過去何度も《公園建設》を請願していましたが、その度にたらいまわしにされ、結局何もしてもらえませんでした。通常では市役所の一課長ではできない仕事であり、渡辺も住民たちをたらいまわしにした一人でした。それを償うかのように今度は渡辺課長自らが各課長に請願して回ります。このようにお役所でセクショナリズムを破壊する越権行為は大変なタブーでしょう。また一課長が助役に盾突くなど将来を考えたらできない事ですし、ヤクザの脅しにも屈しない。ヤクザに殺されるまでもなく死期が近いと知っているからこそです。
そして衝撃のラスト、納得がいきますね。通夜では団結した市民課の元部下たち。けど、翌日からは保身の塊…。そんなもんだよね、実際は…。
観た後はこんな気分になりました
この映画を語る人が100%言及する必出単語、《ヒューマニズム》て何だろう?《人間らしさ》という事ですけど、言えば何でも人間らしさです。
例えば、助役はさ、本当に賢しい下衆。ヤクザとつるんで公園建設を妨害した張本人なのに、完成して住民に喜ばれるとあたかも最大の功労者のような顔をするクソ。ウジ虫。だけどこういう人って多分普通にいますよね?人間らしいと言えばらしい。
例えば、渡辺の息子夫婦は財産や相続の事ばかり考えているけれどそれもまた人間らしい。
でも、監督の言いたいヒューマニズムとはそういう事ではなく、死期を迎えた渡辺に現れた生命力でしょう。彼がヒューマニズム(人間的な生命力)を獲得した条件とは、金でも享楽でもなく、《死》でした。
Kの人生もあまり格好良いとは言えないけれど、もしかして最期だけ良く振舞えばどうかな?とか悪知恵が働きましたが、、そういう考えの人ほど何となく死んでいくんでしょうね、改心せねば。。
心に残ったセリフ
ナレーション :「この男は非常に忙しい。しかし本当は何もしていない。課長の椅子を守る以外の事は。この世界では、地位を守るためには何もしないのが一番いい。彼は20年以上前から死んでいるのである。」
真剣に『生きる』とは明日死ぬ気持ちで行動するって事。理屈では解る、でも確実に死ぬ保証がないとできないかも、そんな格好良い生き方……。
黒澤監督の最高傑作と勝手に思ってます。
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