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鴨川ホルモー
ここ1ヶ月での私的大爆発ヒットは、万城目学氏の本です。
岡山は倉敷。古本屋で母が目をとめ、たまたま手にしたエッセー本が、私と氏を引き合わせました。
![](https://assets.st-note.com/img/1668133207293-dZLCJDgOb8.png)
家に連れ帰って読んでみたら、なんとなんとまあ笑えること。
以来、万城目作品の虜になっています。
なかでも、氏の代表作『鴨川ホルモー』に、心が持ってかれたまま。
「10月買ってよかったもの紹介☆」をYouTubeでやるなら間違いなくランクインです。
『鴨川ホルモー』は京都が舞台の物語。
京大生が、サークルで繰り広げられる戦いに青春をかける話。
「ホルモーって何?」ってところは最後までつかめない人が多数だと思うのですが、それでもその熱気に、世界観に、自分も飲まれたいと願ってしまう。そんな魅力的なお話です。
![](https://assets.st-note.com/img/1668134473058-Ry2mbzXMZb.png)
万城目作品の何が好きって、一番に挙がるのはそのワードチョイス。
たとえば人の心情を描写するとき。
俺は恥辱のあまり、今すぐ清水の舞台まで駆け上り、我が身を放擲したい気分に陥った。
これは、大学生の主人公が、酔った勢いで好きな女の子にさだまさしの話をたらたら披露してしまったことを思い出したときの、心情。
なんや難しそうな文章にみえるな、こうやってみると。放擲とか読めないし。
でも、これがするすると入ってきてしまうのが万城目作品のマジックです。
読んでいて一向にくどくならないところが、氏の力量。
ちょっと古風な言いまわしが癖になる。
ちなみに、周りに人がいるときに読むなら一定の注意が必要です。
電車で読みたければ「噴きだした息を空咳にごまかす術」必須。
で、『鴨川ホルモー』の魅力はといえば、
なんといっても、その根底に流れているまっすぐでかわいらしい恋模様です。
ひねりの効いたお笑いワールド一直線の物語かとみえて、実はすっごく純粋な青春の恋愛沙汰がちょこちょこと顔を出してくる。
言葉のユーモアでにやけていたら、キュンともさせられる。
この二重攻撃には敵いませんでした。
なんて心地のよい降参。
こんな素晴らしい出会いはないぞと、普段は図書館派のこの私がブックオフへと向かうくらい、魅力あふれる楽しい本なのでした。
余談ですが、意気揚々とブックオフに出向いたときの話。
探しあてた推しのお値段、
なんと110円。
アプリクーポンを使ったから、100円引き。
つまり、正味10円。
素敵な出会いを、たったの10円で繋ぎとめてしまったこの気持ち。
節約魂歓喜の高揚感か、中古のリアルを突きつけられての放心状態か。
ちょっと笑っちゃうような、複雑な気持ちでした。