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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】

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あらゆるアートやフィクションは人に影響を与えると思います。 つまり人の心が清く安らかになる様なフィクションがあれば、良い世の中になると言えます。 どんなに下手で稚拙であろうと気に…
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2020年5月の記事一覧

【グッドプラン・フロム・イメージスペース】Episode.5 「今から数年後・・・」第10章 : 後編 Part.2 (No.0109)

後編 Part.1のつづき

 新しい政府はこの狂ったカルト宗教の思想が「常識」となっていることに深く悲しみました。
学校で教わることの根本がカルト宗教そのものの内容であるということは、大人になって社会に広まる風習が全てカルト化してしまうことを意味していました。

種のうちから毒を混ぜることで、育った後につける実も毒入りということになるのです。

これで社会は毒まみれとなります。その中で毒をばら撒

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】Episode.5「今から数年後・・・」第10章 : 後編 Part.1 (No.0108)

 学校の抱える問題は昔からずっと言われ続けてきましたが、全く解決されないどころか日を追うごとに、不自然で意味不明な状況が生み出されていきました。

学校では宗教を教えてはいけないことになっていましたが、「道徳」なる科目では過去の政府にとって極めて都合の良いお話や情報を押し付け、議題のフレームをコントロールしたうえに、「解答」を教師が指示通りの方向へ誘導して都合の良い思想に洗脳するという大人でさえ飲

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】Episode.5 「今から数年後・・・」第10章 : 中編 (No.0107)

 しかし、はるか以前から教師という職業は、大変なものでした。

責任が重大なだけでなくその責任の幅も深度もきりがないほど求められますし、日々の作業量も多く、かと言って給与なども決して良くありませんでした。

また、かつてのように親や子供達や世間から尊敬される事もなくなってしまったし、教育内容も方法も何もかもが上からの押し付けで決められてしまうために、教師達も子供達に愛を注ぐ気持ちにも成れませんし、

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】Episode.5 「今から数年後・・・」 第10章 : 前編 (No.0106)

新しい政府は、人々がマスコミの様な嘘偽りをバラまき続ける組織を何故そこまで信じて来たのかが分かりませんでした。

とっくにネットでいくらでも正しい情報が簡単にタダ同然で瞬時に手に入るのに、ずっと嘘偽りで人々を混乱される幼稚で愚かなマスコミが長く居座りました。

新しい政府はマスコミへの追求や研究と同時に、人々が騙されて来た理由も調べました。

そしてその原因のひとつが学校である事が分かりました。

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】Episode.5 「今から数年後・・・」第9章(No.0105)

 それでもなおマスコミは、エキストラを使い通行人に仕立て上げ偶然を装ってインタビューし、その何気ない意見をまるで市民の心の声の代表の様に持ち上げて、都合の良い世論を作り上げていました。

しかし、この頃にはマスコミ自体が人々の観察対象になっていましたので、その撮影現場を人々は撮影し、録音していました。

また、インタビューや出演の依頼があった人も、一見快く応じながらもその一部始終を全て撮影録音した

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】 「永遠のお客様:後編 Last Part」(No.0104)

後編 Part.2のつづき

 「私は、私を含めた他の店員さんもお客さんも全ての人が、まるでその一番下手な人達のために準備され仕立てあげられた舞台の様に感じたのです。脇役やエキストラのような。」
「マモルは、そのダイコンが主役のように感じたということですか?」
「まさにそうです。あの図太いふてぶてしい態度はまさに自分達が主役であると自覚している顔でした。
ただただお客さんの目線しか持たない人達、ど

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】 「永遠のお客様 :後編 Part.2」(No.0103)

後編 Part.1のつづき

「別の考えとは何ですか?」
「彼らにはお金を持っているという特徴がありましたから、気づくことが出来ました。つまり殆ど働いていないのです。私のようにホットケーキを楽しむ目線と、提供する目線、これを両方獲得するには両方の経験がいるのです。しかし働く必要がないものたちには、提供する目線は理解できないのです。」

ヨシオは黙って聞いていました。彼のお皿には、まだホットケーキが

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】「永遠のお客様 :後編 Part.1」(No.0102)

「ヨシオがこうやって人の作ったものに深く理解を示してくれるのは、君が私を深く知っていてその作ったものにも関心があり、苦労も含めて興味があるから出来るのです。」

マモルは、目を閉じて厳かなひと口を満喫しているヨシオに言いました。

「しかし知ってしまったのですよ。世の中にはそのような気持ちの欠片も無い人たちがいることを。」

ミルクで口を整えたヨシオはようやく目を向けました。

「それが先ほどから

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】 「永遠のお客様 :中編」(No.0101)

前編のつづき

「マモル、あなた達の作るこの素晴らしいホットケーキをいただくに相応しく無い者達とは一体誰の事でしょうか?」

厳しい顔つきでそう言うと、ヨシオはチョコレートホイップクリームをぽってりと盛った1切れを、今度こそ口の周りにクリームが付かないよう注意しながら慎重に口へと運びました。

「ヨシオ、一度に沢山のチョコホイップを盛るから口に付くのです。」

友人の適切な忠告ですが、満足げに頬張

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】 「永遠のお客様 :前編」(No.0100)

 マモルは児童館の催し物で模擬店をやりました。

父兄や職員の作るホットケーキを盛り付けたり、お客さんに渡したり、小銭の受け渡しなどを手伝いました。
とても楽しかったし、目当てのホットケーキも満足でしたが、この経験はマモルに色々な考えを思わせたのです。

「マモルはとても良い経験をしたものです。私はその楽しみを味わう事が出来ませんでした。全く羨ましいです。」

やや不貞腐れたヨシオは愚痴をこぼしな

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】 「視野の味: 後編 Last Part」 (No.0097)

後編 Part.2のつづき

「ナツオ。私はバナナをよく冷やしたミルクと一緒に頂くのが何よりだと考えています。」
「悪くありません。」
「いつだってそう思っていました。だって素晴らしいのだから。この組み合わせは素晴らしいのだから。ミルクもバナナもお互いをとっても丁寧に理解しあっているのですよ。相思相愛なんですよ。」
「ええ」
「だから私はこれが全てで、これ以上の事をバナナに求めてはいませんでした。

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】 「視野の味:後編 Part.2」 (No.0096)

後編 Part.1のつづき

「私が言いたいのは、今バナナを味わった時に味覚を使っていないと言うことです。」
「そうですね、まだ使っていません。使うのはこのサンドが片づいた後になるでしょう。」

ヒナタは利き手のサンドイッチをふらふらさせました。

「うん。でもヒナタも私もバナナの甘みを受けた訳ですよ。ではどこで受けたのですか?」
「ナツオ、それも当然なことです。私はバナナと聞くだけで充分に甘みを

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】 「視野の味:後編 Part.1」 (No.0095)

 2人はいつも通りの簡単なサンドイッチをぱくぱくしています。

「んん。おいしいおいしい。んん。どおですかヒナタ。景色を変えて食事をすると変わりますか?」

ヒナタは頬をふくらませたままウンウンと頷いています。

「ヒナタのやつは、いつものジャムサンドイッチですか?」
「んん。ブルーベリーです。」
「今朝は図書室で食べていますし、窓も開けて景色を変えて食べています。ヒナタのブルーベリーは甘みを強め

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】 「視野の味:中編」 (No.0094)

 2人は世話や掃除の終わったあと、遅めの朝ごはんを毎日のように一緒に食べていました。いつもは校庭や下駄箱前の浅い階段に座ってお弁当を食べるのですが、今朝は屋上で食べることにしました。
校舎へは鍵が掛かっているので入れない筈でしたが、下駄箱前の飛び出した軒によじ登り、窓を開けると簡単に校舎内に入る事が出来ました。

「少し不用心な気がしますねナツオ。」
「そうですね。でもこの窓の鍵を開けておいたのは

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