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短編小説 「群れないカラス、コンコン」


深い森の中、古く大きなオークの木の下に、最もやる気のない目が半開きのカラス、コンコンが住んでいました。太陽が金色の光を森に差し込むと、コンコンは木々の間から漏れる暖かな光を浴びながら、「朝食の時間だ」とばかりに色鮮やかな木の実をついばみました。その姿は、まるでのんびりと時間を楽しんでいるかのようでした。

ある日のこと、森の中央の地に、羽音を立てながらカラスたちの群れが集まってきました。彼らの黒く光る羽が太陽の光に反射し、一斉にコンコンの方を向いた。群れの中心にいた、大きくて立派なリーダーのカラスが高々と声を上げて、「コンコン、君は群れから追い出されます!」と宣言した。

しかし、コンコンは木の影で涼しげに羽を広げ、緩やかに首を傾げて、「えー、それってつまり、今日も仕事しなくていいってこと?」とだらけた声で返した。

群れ全体が「ガァ〜」と一斉に怒った声を上げた。森の中がその声に震えるようでした。リーダーのカラスは羽を胸にあて、「だから、もうこの群れの仲間じゃないんだ!」と重々しく宣言した。
しかし、コンコンは澄んだ青空を背景に、気だるそうに翼を伸ばして「うんうん、そういうことだよね。じゃあ、午後の太陽が照らす温かい場所でおやつを探すわ」と言い放ち、風を受けながらゆったりと飛んで行った。

コンコンが森を飛ぶ、その姿はまるで詩のような優雅さを纏っていました。太陽の光が木々の間からさっと地上に降り注ぎ、彼の黒光りする羽にキラキラと反射する様子は、まるでダンスをしているよう。

下を流れる川の水面がゆっくりと流れ、輝き、コンコンはその上を滑るように飛び、深呼吸をすると森の香りが鼻をくすぐる。彼は時折、大きく翼を広げては、気ままに空中でループを描いたり、滑空したりしていました。

森の動物たちも彼の飛ぶ姿を見上げ、その自由さに驚きながらも、優雅な飛び方に心を奪われていました。シカやウサギたちが頭を傾げながら彼の動きを追い、キツネやタヌキたちはしばしの間、彼の姿に見とれていました。

コンコンが飛ぶ間に、木々の間からは様々な小鳥たちの歌声が響き、彼の飛ぶ姿を盛り上げていました。全てが彼を中心に、まるで一つの絵画のように動いていたのです。

そして、森の奥深く、光が綾のように差し込む場所で、コンコンは一つの大きな果物を見つけました。その果物は金色に輝き、甘い香りを放っていた。実は、それは他のカラスたちが一生懸命に集め、守っていた秘密の宝だった。
しかし、コンコンはそれを知らずに、「おー、これはラッキー」とつぶやき、果物の上で軽やかに踊りながら、美味しそうに食べ始めた。その様子を、森の木々の間から、他のカラスたちが目を丸くしてじっと見つめていました。

「コンコン、それは群れのものだ!」と群れの中から一斉に声が上がった。怒りに燃える数十の黒い瞳がコンコンを睨みつけた。だが、コンコンは果物の汁が顎を伝わりながら、驚くほど冷静に「あ、ごめんね。気付かなかったよ。でも、もう追い出されたんだよね?」と言い放ち、もぐもぐと美味しそうに食事を続けた。

群れのカラスたちは、彼の無頓着な態度に呆れるあいだ、不思議とその場に石化するように立ち尽くしていました。

風が葉をさらさらと揺らす中、あるカラスがつぶやくように、「こんなに自由に生きることができるカラス、実はちょっと羨ましいかも」その声に、何羽かのカラスがこっそりと頷いていた。

お腹いっぱいになったコンコンは、群れの視線を背に、森の中を自由に飛び回っていました。木の上で一休みしたり、川で冷たい水を啄んだり。太陽の光が、彼の光る羽をキラキラと照らして、それはまるで星のように輝いていました。

彼は高い木の上から、夕日が地平線に沈む美しい景色を楽しみ、深呼吸をしては森の香りを胸いっぱいに吸い込みました。彼にとって、自由は何物にも代えがたい宝物。

月がゆっくりと空に昇り、星々がキラキラと輝く夜、コンコンは大きな木の枝で羽を休めながら考えました。

「自由に生きること、それは心の自由を持つこと」彼は微笑みながら、眠りにつきました。

そして、森の中は静かに、彼のやる気のない、でも確かに幸せな生活を暖かく見守っていた。




時間を割いてくれて、ありがとうございました。

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