短編小説 「ジャガなしカレー」
空がオレンジ色に染まる頃、僕は台所に立った。今日は久しぶりにカレーを作ろう。野菜室を開けて、人参と玉ねぎ、そして冷蔵庫から牛バラ肉を取り出し、まな板の上に並べる。
まずは玉ねぎを大きなくし切り。包丁を入れるたびに、目から溢れる涙はいつものこと。次に人参を乱切りにする。人参は好きじゃないけどカレーだと話は別だ。カレー入った人参は人参じゃない。それはカレーなんだ。次は牛バラ肉は一口大に切り分け、脂の部分が美味しさを引き立ててくれるだろう。そして、牛バラ肉にはしっかり塩コショウ。