マガジンのカバー画像

日記

10
日記風。
運営しているクリエイター

#エッセイ

#6(ギター)

#6(ギター)

ギターを始めた。

『ギター 初心者』で検索して、

初歩の初歩を調べた。

まずはピアノでいうドレミファソラシドから。

Cコード。

左手、

指が思った通りの場所にいかない。

弦をおさえると痛い。

そもそもおさえられていない。

下の弦に触れている。

右手、

親指が痛い。

マメがもうできた。

というよりチューニングしたら、

4弦と3弦と1弦が切れた。

新しい弦を、買った。

もっとみる
#4(夢)

#4(夢)

夢がある。

楽器を持って、世界を回ること。

どんちゃん騒いでるバーに入って、そこの人たちと一緒にどんちゃん騒ぐこと。

ライブをやってるバーだったらなおよい。

演奏の仕方を教えてもらおう。

知らない楽器を演奏できるようになろう。

その土地のリズムに浸って、

その土地の服を着て、

そこでステージに立てるまで、練習しよう。

腹いっぱい楽しんだらまた別の国に行こう。

そこでもまた、音楽

もっとみる
#3(ジャズライブバー)

#3(ジャズライブバー)

「赤ワインのグラスをお願いします。」

都内の一等地にあるライブバー。来たのは初めてだった。

カーペンターズやノラ・ジョーンズ、小野リサ、そういうゆったりとした音楽が昔から好きだった。

勉強や部屋の掃除をするときなどによく音楽をかけた。

ダンスミュージックのようなノリのよい曲、恋愛を歌った流行りの歌、どれも最初はいいのだが、だんだん乗ってきたときに、作業に対する意識と音楽がバッティングしてし

もっとみる

#2(焼き物ギャラリー)

「よかったら、お手に取ってくださいね。触った感じの質感とか、重さとか器によってそれぞれですから。」

私はギャラリーに来ていた。たまの休日、妻も仕事でいないからと、隣の町まで足を運んだ。K市は、焼き物で有名である。毎年5月の連休に行われる陶器の祭典は、市内外からの客でにぎわう。

「ありがとうございます。」

ギャラリーと言っても、カフェみたいなものだ。清潔感あふれる店内に、複数の作家の作品が並ん

もっとみる
#1(骨董店)

#1(骨董店)

「鍔なんかは今もそんなに変わらないけど、掛け軸とか刀とかはもう10分の1以下だね。」

 駅に行く途中に立ち寄った骨董店で、店主はそういいました。

「時代によって流行がある。今は床の間なんて家にないからさ、当然掛け軸なんて買う人がどんどん少なくなっているんだ。壁に飾る絵だってさ、今の壁じゃ耐え切れない。重くて。」

「そうなんですか。」

「君は白洲正子が好きだからって言ってたけど、若い人がここ

もっとみる