ニーナ・バートン (著), 羽根 由 (翻訳)
出版社 草思社
発売日 2022/10/31
単行本 371ページ
目次
レビュー
まず本書冒頭を引用いたします。
ニーナ・バートン(以下、ニーナ)は母の死後、母のアパートを売ったお金にて別荘を購入し、そこで自然や生命について書くことにします。
その別荘には様々な生き物がやってきて、ニーナを観察し、ニーナも訪れた生き物たちを観察するのですけれども、その過程にて生じたニーナの思索の数々が、生き物たちの愛らしく、そして生命力に溢れる描写と共に、生物学や科学、その他あらゆる知識を交えて詩的に語られてゆきます。
一章~七章へと辿り着いた読者は、著者のある意図に気づくはずです。
それは原題にも冠されている意図であり、同時に本書が緻密に構築された世界であることを示すものでもあります。
空や大気に境界線は無く、ゆえに生命にも、境界線はありません。
ニーナの奏でる素敵なフィナーレに、幸せな気持ちになります。