夜中の金勘定対決
かれこれ20年くらい前のことです。
家族で夕食をとっておりましたら、どのような流れかは忘れましたが、父上が
「夜中に金勘定をするのは良くないんだぞ!」
そのように言いました。
昔(江戸時代くらい?)お金が紙ではなかった頃、夜中にお金を数えるとその音を聞きつけて盗っ人が現れるからよろしくない、ということのようですが(せきじゅん調べ)。
すると貯金が生き甲斐のような姉上が、
「えー、私は毎晩チェックしてるけど」
「毎晩?お金を数えてるの?」
貯金とはまるで縁遠い私がそのように訊きましたら、
「だって増えてくと楽しいじゃない?」
姉上がいかにも幸せそうな顔をしてそう言っていたので、私もその日の夜中に早速試してみることにしました。
せっせと貯めていたお金を、マイルームに鎮座していたブタの貯金箱の中からジャラジャラーンッと出して数え始めたのです。
すると音に敏感な姉が秒ですっ飛んできて、
「こんな時間に何やってんのよ!?うるさくて寝られないじゃない!」
「えー?だってさっき、○○ちゃんも毎晩お金数えてるって言ってたじゃん!」
すると姉上、フンッと鼻を鳴らして、
「私のは通帳!通帳の数字をチェックしてんの!」
格の違いを見せつけられた気がした私、さいですか、すみません…と言いながら、そっとブタの貯金箱に小銭を戻したのでした…。
盗っ人ではありませんでしたが、父上の言うとおり、夜中にお金を数えると本当に人がやって来るんだなと思った次第です。
※ブタの貯金箱の中には、お札どころか銀色に光る硬貨も入っておりませんでした…。あ、一円玉はあったかな?←なんか虚しいぞ